提案型営業の重要性は、様々な業界においてもう数十年も言われ続けている話です。
しかしこの間、提案型営業を実現して目覚ましく成長を遂げた企業、高収益を実現した企業がある一方で、未だに過去の引き合い営業から脱却できず、徐々に減少する案件数に悩んでいる企業も多数あります。
その差は、どこにあるのでしょうか?
本記事では、リクルートとキーエンスを徹底比較し、売れる営業を量産するセールスイネーブルメントの仕組みを解説しながら、提案型営業をうまく実現するためのポイントをお伝えします。
まずお伝えしたいことは、この両社を比較して分かった非常に興味深い事実です。
両社とも売れる営業を量産しているものの、真逆な組織風土であることが分かります。
真逆の組織風土をもつ両社ですが、売れる営業を生み出すための「売り方開発」「営業サポート」「売り方の進化・改善」の仕組みは面白いほど共通しているのです。
共通点は次のようにまとめることができます。
・営業の売り方が専門組織で規定されている(Who, What, Howが明確)
・普通の会社の3倍の稼働量を担保するための活動ルール/サポートツールが整備されている
・顧客との情報格差を取るための情報を常に改善・進化させている
各社の詳しい取り組みについて知る前に、セールスイネーブルメントのポイントから読み解いてきます。
目次
①失敗するセールスイネ―ブルメント・成功するセールスイネ―ブルメント
セールスイネーブルメントに取り組んでいる企業はたくさんいますが、「営業成果につながっている」「うまく機能している」といった企業はどれだけいるでしょうか。
実は、「なかなか取り組みがうまくいかないんだよ…」というお声も良く聞きますが、その場合は、次の表に示される6つの要素の一貫性が欠けていることが多く見受けられます。
これらの一貫性を意識しないままに、一部の内容に取り組んでいるため、成果の好循環を生み出すことができていない企業をよく見かけることがあります。
言い換えると、成功している企業は、この6つの要素の一貫性を保つことができているのです。
今回は上記の要素の中でも特に、リクルートとキーエンスが優れている「進化する営業組織」「営業ルールや役割の最適化」についてみていきます。
②リクルートのセールスイネ―ブルメント
リクルートの強さ①徹底的なナレッジ共有によるナレッジの流通促進と質の向上
以前の記事でもご紹介しましたが、リクルートはナレッジ共有を週次で行うほどに、ナレッジの流通に力を入れて取り組んでいます。
またそのナレッジを共有することにとどめるのではなく、データベースとして蓄積をして、営業メンバーがいつでも参照・活用できる状態を実現しています。
リクルートの強さ②:ナレッジ共有と評価制度の連動
ナレッジ共有というものは忙しい営業メンバーからすると、つい後回しにしてしまいたいものでもあります。
それを徹底できる仕組みを評価によって実現している点がリクルートのすごい点です。
ナレッジ共有が評価制度と直接結びつき、社員がナレッジ共有に参加したい、参加せざるを得ない状況を作っているのです。
社歴に応じて、その期待役割も異なり、ベテラン社員はナレッジの質が求められ、若手社員はナレッジを活用した量をみられます。
③キーエンスのセールスイネ―ブルメント
キーエンスの強さ①:データベースによるナレッジ流通
データベースを起点として、営業・開発・販促を一貫して行っていることです。
営業が吸い上げたお客様の声を開発や販促に反映させることができる体制が整っているのです。
キーエンスの強さ②:ルールを守らせるルールの徹底
キーエンスはルールを徹底させることで有名な企業です。
キーエンスはルールを守らせるルールを設け、徹底することで、営業メンバーが最大のパフォーマンスを出せるようにしています。
その中には、上司から顧客への訪問有無や内容の確認をするTEL「ハッピーコール」といったものも含まれます。
「行動をせざるを得ない」環境を作るという点がキーエンスのすごさの1つでもあります。
このようにリクルートとキーエンスはそれぞれ異なる形で、セールスイネ―ブルメントを実現しています。
形式や方法は異なれど、この3つの共通点の中でリクルートとキーエンスは強い営業組織を作っているのです。
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