2024.11.20 顧客に対する高い解像度で「営業への理解度向上」と「社風に合った組織設計」を両立
株式会社ココナラは、知識・スキル・経験を売買できる「ココナラスキルマーケット」を運営。2024年10月時点で会員数は500万人を突破、出品サービスのカテゴリも740種類以上となり、あらゆるスキルを持つ稼働者が集まるプラットフォームとして成長を遂げている。2023年10月からは、クライアントに稼働者を紹介するエージェント(法人向け)事業を始動。数々のサービスを通じて、スキルを求めるすべての人々に人材を紹介する「ココナラ経済圏」の構築を目指す。
EXECUTIVE SUMMARY
- 1. 2023年10月よりエージェント(法人向け)事業を本格始動させたココナラは、顧客獲得のために営業組織を立ち上げることに。祖業であるプラットフォームビジネスで不足していた営業全般のナレッジを学び組織を円滑に運営するため、外部の協力を求めていた。
- 2. リブ・コンサルティングはビジョナリー・カンパニーであるココナラの社風や既存事業の性質を正確に捉え、組織の風土に合った営業組織の設計、営業戦略の立案と実行を支援。ココナラの営業組織の自走化や、商談化率の向上に貢献した。
営業ノウハウの不足という課題に直面
リブ・コンサルティング 坊 将徳(以下、リブ坊) ココナラ様とのプロジェクトは、2024年3月に弊社にお問い合わせをいただいたことをきっかけにスタートしました。貴社はどのような課題を抱え、外部の力を借りようと思い至ったのでしょうか?
ココナラ 萬 寧々様(以下、萬) リブ・コンサルティングに問い合わせしたとき、ココナラは営業組織の立ち上げと運営という点で大きな壁にぶつかっていました。
ココナラは2023年10月、新たに法人向けの事業をスタートさせました。現在、弊社では「ココナラテック」「ココナラ アシスト」「ココナラ プロ」「ココナラ コンサル」という4つの法人向けサービスを展開しています。
私たちの祖業である「ココナラ スキルマーケット」では、デジタルマーケティングやテレビCMを通じて、お客様にリーチするという施策が中心でした。
一方、法人向け事業は代理店を介さないハイタッチ営業的な手法で、顧客の皆様と接点を持つといったアクションが求められます。2024年4月に営業組織を立ち上げたものの、営業に関する知見や営業活動のベストプラクティスを私たちは持っていませんでした。
解決策として、営業に精通した人材の採用も検討しました。しかし、弊社の掲げる「ココナラ経済圏」の理解度が高く、それでいて営業経験が豊富な人材を見つけ出すことは、非常に難易度が高いと感じました。また、新たなメンバーに営業組織の立ち上げを任せて、正常に機能するイメージも湧きませんでした。
そこで私たちは、ココナラの文化を理解している既存メンバーに営業のナレッジを身につけさせて、自力で組織を立ち上げていこうと考えたんです。そして、営業のナレッジを学ぶため、コンサルティング会社の力を借りようと決めました。
決め手は「文化の尊重と高い柔軟性に基づいた提案」
リブ坊 数あるコンサルティング会社の中から、弊社へ依頼することにした決め手はどこにあったのでしょうか?
萬 大きな決め手となったのは、リブ・コンサルティングが「ココナラの文化を尊重した営業組織の立ち上げ・運営」を提案してくれたという点です。
依頼先の選定では、多くのコンサルティング会社から提案を受けました。しかし、提案内容の大半は“型化”された営業手法や組織運営を取り入れるというものでした。
前述のとおり、ココナラはこれまで営業組織の立ち上げ経験がありません。さらに、祖業である「ココナラ スキルマーケット」において、プラットフォームビジネスで一定の成功体験も持っています。こうした状況で、型化された営業スタイルという新しい文化に順応することは難しいのではという懸念がありました。
リブ坊 貴社は既存事業もあって、すでに社内で強固なカルチャーが根底にあったことを感じたのを覚えています。
その中で営業組織を立ち上げるのならば、既存の手法にこだわらずゼロベースとまでは言わないですが、カルチャーを尊重して、適切に運営/運用できる仕組みを設計するくらいの気持ちで臨む必要があると感じていました。
萬 坊さんがおっしゃるように、ビジョンミッションをベースとした我々のカルチャーを踏襲した営業組織の定義は、私たちにとって非常に重要なポイントでした。また、ベースとしてプラットフォームを運営してきたココナラの営業組織は、「スキルマーケット」で培ったマネジメント体制やモニタリング指標といった「ココナラの型」に基づく必要がありました。
リブ・コンサルティングの提案はこの2点を満たしており、随所に弊社の文化ややり方への尊重や、高い柔軟性を感じられました。私たちの目指す未来や方向性を共有しつつ、ハンズオンで営業組織や営業手法を設計してくださるという安心感がありました。
リブ・コンサルティングからの提案時には、随所に「ココナラ様ならこうお考えですよね」という発言がありました。これが決め手になりましたね。弊社の事業を自分ごと化して、発言してくださっていることを強く感じられたからです。
リブ坊 すごくありがたいお言葉をありがとうございます。お客様にご提案させていただくときは、「何を課題と捉えているのか。それはなぜか。」を常に考えています。今回のプロジェクトも、萬様からココナラ様の現状をヒアリングした後、「私が貴社の部門長ならどうするか」という主観を持って計画を練りました。
萬 自分ごと化して考えるスタンスは、スタートアップ企業とのプロジェクトを多く経験するリブ・コンサルティングならではなのでしょうね。
営業への理解度が飛躍的に深まり商談化率も向上
リブ坊 プロジェクトは、ココナラ様にとって期末にスタートしました。改めて、どのようなプロジェクトだったのかをここで振り返りたいと思いますが、いかがでしょうか。
萬 今回のプロジェクトでは、リブ・コンサルティングに1.5ヵ月という短期間で営業組織の立ち上げと戦略設計を支援していただきました。それらを持って、来上期にスムーズに組織を始動できる準備を整えていただきたいというのが、私たちの依頼内容でした。
プロジェクト初期では、私たちが作成した営業組織の全体像を見てもらい、より適切な組織図の設計・作成に協力していただきました。また、ココナラの営業組織に最適な営業手法や目指すべき指標など、具体的な戦略も設計していただきました。
さらには、アカウントプランニングやエンタープライズ顧客の獲得方法、営業組織に求める人材像を明確化するためのジョブディスクリプションなどもご支援いただきました。
リブ坊 1.5か月は異例のスピード(期間)のプロジェクトなので、正直、ヒリヒリしていました。1.5か月の間にさまざまな結果を残さないといけないプレッシャーはすごかったですが、ご期待に添えたことを大変うれしく思います。よろしければ、実際にプロジェクトを通じての感想をお聞かせいただけますでしょうか。
萬 リブ・コンサルティングが関わる前と後とで、私たちの営業への理解度が飛躍的に深まりました。
抽象的な表現なんですが、それまで私たちは「営業とはどういうものか」を明確に理解できていませんでした。これまで営業は、「商品を魅力的に伝えて購買につなげる」ことが仕事だと思っていました。表面的な営業行為の裏にある、営業という職業の本質を捉えられていませんでした。
例えば、リブ・コンサルティングとのプロジェクトを通じて弊社に浸透した言葉のひとつに「心頼形成」があります。営業過程の中で、お客様に心から信頼してもらうための手法ですが、信頼を得ることは重要であると頭では理解していても、実際にやってみて効果を実感するまで、その本質まで知ることができていなかったと気付かされました。リブ・コンサルティングによって、ココナラのロイヤリティを高める最初の入口に、営業という職業があることを実感できたんです。
また、営業人員へのマネジメントで大切なことも理解できました。
事業開発やプロダクト開発のチームでは、メンバーとキャリア形成や未来のビジョン、身につけるべきスキルについて話し合うことが、仕事のモチベーションにつながります。
しかし、日々多忙に働く営業メンバーとのコミュニケーションでは、日々の営業活動やそこで得た成果を称賛することが、モチベーション向上には何より重要だということを学びました。リブ・コンサルティングと共に営業組織を運営しなければ、こうした些細なポイントにも気付けなかったと思います。
リブ坊 戦略・戦術の両面から、さまざまな気づきを得られたわけですね。実際に、営業活動の数値面での変化や改善は見られましたか?
萬 ある営業メンバーは、商談化率が0.5%から2.2%まで改善しました。
リブ・コンサルティングはプロジェクトを通じて、お客様の購買心理から逆算したスクリプトを考案してくれました。実際にお客様にアプローチした様子を録音して、貴社からフィードバックしてもらう。そうした活動を繰り返した結果、これだけの成果につながったと思っています。
最近では、商談で一定の成果が出ることで営業メンバーのモチベーションも向上するという好循環が周り始めています。
リブ坊 定量面で成果が生まれ、それが組織に良いサイクルをもたらしているようでよかったです。
「ココナラ経済圏」の入口拡大に営業力アップは不可欠
リブ坊 最後に、ココナラ様の今後の展望について教えていただけますか?
萬 目下の目標は、4つの法人向け事業をそれぞれグロースさせることです。その上で、弊社が掲げる「ココナラ経済圏」を拡大させることを、大きな目標としています。
弊社はビジョナリー経営を掲げており、全社員がビジョン・ミッションに共感している状態を何よりも大切にしています。
「ココナラ経済圏」は、既存のスキルマーケットではカバーできない余白を埋めていくことで、弊社のミッション・バリューの達成を目指すという発想から構想されました。
「ココナラ スキルマーケット」や「ココナラ テック」、「ココナラ アシスト」、「ココナラ プロ」、「ココナラ コンサル」、そして「ココナラ 法律相談」。こうしたすべてのサービスを通じて、ココナラであらゆる人材不足の課題を解決へ導くという、ココナラ独自の手法によって形成されるのが「ココナラ経済圏」です。
新規事業開発や既存事業の成長を通じて、この経済圏を今後もさらに拡大させていくことを目指しています。そのためにも、営業メンバーのヒアリング力やソリューション提案力をさらに磨き、より多くのお客様にアプローチして「ココナラ経済圏」をさらに拡大させたいと思います。
リブ坊 今後の成長をますます楽しみにしています。
(※本記事は2024年10月の取材時の情報をもとに作成しています)