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EV×エネルギー販売・導入サービス

EXECUTIVE SUMMARY

電力料金の問題や車体の高さ、充電時間の問題などが個人または企業におけるEV
の導入を妨げる要因になっています。EV化を加速するためには、ユーザーがメリットを感じられるような形で提案し、導入を促進することが求められています。

その中で、特に個人ユーザー向けには電力プランなどをセットプランとして提示することで自社としての収益も上げながら顧客にメリットのある形で車を提供するモデルを構築使用としています。

また、法人向けにはどの程度の台数をどこにどのようにして導入するか、をサポートするサービスも出てきております。今後、いかにして導入ハードルを下げた形でEVを提供できるのか、大きな論点として注目がされそうです。

EV+エネルギーセット販売とは

EV購入を検討している人にとって真っ先に気になるのが電気代です。ガソリン車
であれば、ガソリンスタンドで給油するのが当たり前でしたが、EVになると充電場所が自宅、法人であれば会社や営業所などの拠点になり、充電費用を電気代として毎月支払うことになるからです。実際、EVを自宅で充電するとなると電気代が高くなるケースが多いのも事実です。

そのため、ディーラーでは、自社専門の電力プランを用意して、「当社でEVを購入していただければ、特別な電力プランをご紹介できます」といったセット販売を行うビジネスモデルが登場しています。2020年に、トヨタ自動車が定款を変更し、
「発電ならびに電力の供給および販売」を追加していることから、今後、ディーラーにおける電力小売りが広がっていく可能性が予想されます。もちろん、OEMメーカーが電力小売りに乗り出さないと系列のディーラーはエネルギーのセット販売ができないというわけではありません。地域の新電力会社などと連携することで電力を調達することができるからです。また、セット販売するものも電力だけとは限りません。

普通充電設備や蓄電池、太陽光発電システム、V2Hまでお客様の要望に応じてワンストップで提供している販売店もあります。

ビジネスモデルイメージ

価格以外の付加価値を打ち出したセットもあり、例えば、ENEOSでんきからは、EV、PHEV、FCVを購入した人を対象に、供給する電気を実質再生可能エネルギー100%にするプランが提供されています(適用には複数の条件あり)。コスモエネルギーホールディングスのように、EVのカーリースやカーシェアとセットにすることで再エネ由来のクリーンエネルギーを販売する「コスモ・ゼロカーボンソリューション」といったビジネスも登場しています。

EV+エネルギーセット販売事業におけるポイント

EV+エネルギーセット販売の事業開発においてポイントとなるのは、マスユーザーの行動や電力使用状況、電力使用に求めていることといったニーズに合わせたソリューションをパッケージ化できるかです。

例えば、EVを使うのは土日だけなのか、通勤に使っているため夜間の限られた時間しか自宅に駐車していないのか。毎日、フル充電できなくても航続距離に問題はないのか。軽EVで事足りるのか、バッテリー容量の大きいEVが必要なのか。バッテリー容量によって充電時間は大きく変わってくるので、車種によっても電力プランを変える必要が出てくるかもしれません。また、自治体のようにグリーン化ニーズの強いお客様の場合は、再エネ電気のプランのほうが喜ぶでしょうし、太陽光発電システムや蓄電池をセットにしたプランも刺さる可能性があります。工場など消費電力量が大きなお客様であれば、コスト削減ニーズが強くなるケースが少なくないため、EMSとセットにしたソリューションも需要があると考えられます。

このような自社のマーケット特性をしっかりと見極めながら電力プランやEVにセットする商品を設計することが重要です。

また、エネルギー系企業であれば、EV販売の連携をどのように設計するかも試案
のしどころです。ディーラーと提携して独自のプランを開発・提供したほうがいいのか、特定の販売会社と提携することはせず、EVの新車新規登録や新車新規検査届出をもってEV電気プランの対象として認定し、ユーザーから申し込んでもらうようにするのかで、ユーザー接点が大きく違ってきます。

いずれにしても、マネタイズの難しさという課題はついてまわります。EV販売の
支援、電力契約者の拡大支援のためのツールから、いかに収益化を目指していくか、他サービスとの組み合わせも含めてビジネスモデルを構築する必要があるでしょう。

EV導入サービスとは

カーボンニュートラルの意識の高まりとともに、EV導入を真剣に検討する企業が増えています。しかし、日ごろからEVに乗り慣れている人は限られており、ガソリン車からEVに入れ替えることで、どのような課題が発生するのかを把握している企業は多くありません。そのような不安を払しょくし、EVの導入をスムーズに進めるための支援を行うのが、EV導入サービスです。

EV導入サービスのイメージ

導入を検討している企業が、特に気にするのは充電に関する課題です。10台、20台とEVを導入した場合、電気代がどうなるかというのは、コストに関わる話なので企業にとっておろそかにできないところだからです。まずEVを何台も導入する場合、電力契約が「高圧」になるため、使用した電気のピーク(最大デマンド)によって基本料金の金額が変わってきます。

基本料金と最大デマンド

日中は業務で使用しているので充電時間が電気代の安い夜間に限られるといっても、10台、20台を同時に充電してしまうと使用した電力のピークが高くなり、基本料金が跳ね上がる可能性があるわけです。しかも、一度上がった基本料金はその後1年間下がることはありません。

また、導入した台数に対してどのような出力の充電器を何台入れるべきかという課
題もあります。最近のEVは、フル充電すると300〜400キロメートルほど走れるようになり航続距離が伸びてきています。週末、会社が休みのうちにフル充電しておけば、平日追加で充電する必要がなく、週末に時間をずらしながら充電することで、電気使用量のピークが高くなることを防げます。充電器の種類も普通充電器で十分でしょうし、数も少なく抑えることができます。しかし、ラストワンマイル配送にEVを使いたいといったように、使用頻度が高くなると、まとまった充電時間を確保することが難しく、出力の大きい急速充電器が必要になる可能性もあります。

当然ながら充電設備を導入するには、機器の購入費だけでなく、設置工事費も発生します。現在は充電設備導入に対して補助金が出るとはいえ、導入数が増えてくるとコストはどんどん膨らんでしまいます。法人の場合であっても、EV導入以前にそれほど電気を使用しない営業拠点だったりすると、電力契約が低圧ということも少なくありません。それを高圧に変えるためには変圧器の工事を行う必要があるのですが、その費用が200〜600万円ほどとかなり高額なのです。そもそも、充電設備を設置するスペースがあるかという課題もあります。バス会社の場合、営業所内にほとんどすき間なくびっしりとバスを並べているため、設置スペースがあまりとれないといったケースも散見されます。

EV導入サービスにおけるポイント

EV導入サービスを提供するためには、こういったさまざまな課題に対してコンサ
テーションする機能が求められます。EV+エネルギーセット販売と同様に、コストを重視しているのか、カーボンニュートラルへの貢献といった環境文脈を重視しているのかということを前提に、EVを何台、どのようなタイプの充電器を何台導入すれば充電計画に支障が出ないのか。付随する電力契約や電力プランをどうアレンジするのか。EV導入サービス提供者には、専門知識を踏まえて具体的にアドバイスできる専門性が必要です。このような事情から、リース会社だけでなく、東京ガスや北陸電力など、エネルギー系企業が取り組んでいるケースもあります。

とはいえ、すべてのお客様に対して1から10までコンサルテーションするのは業務量という面でも費用対効果という面でも無理が生じてくるでしょう。そこで、知見がたまった段階で、例えば、「1〜2台のEVを導入するお試しパターン」、「保有社用車の半分をEVへ入れ替えるパターン」などパッケージ化して効率化を図る必要も出てきそうです。

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2023.06.01
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