COLUMN
EVX新規事業開発はアジャイル型が肝
新規事業は「やってみないとわからない」要素が大きいプロジェクトです。特にEVX領域は新しい領域であるため、プロダクトやソリューションを素早くリリースして顧客の反応を見ることが求められます。アジャイル開発では機能をそぎ落とし、最短で最初のリリースを目指すため、検証に必要なコア機能だけを先に作って比較的素早くリリースすることができます。完全な状態でなくとも、プロジェクトの早い段階で目指している方向性がユーザーの求めているものとずれていないかテスト・検証することが可能です。
新規事業開発の極意
新規事業開発にはさまざまな難しさがあります。プロジェクト担当者が口にする悩みにはいくつか共通のものがあり、その1つが「アイデアが正解かどうかわからない」というものです。でも、少し考えれば、それは当たり前のことだと気づけるはずです。「新規」事業なのですから始まってもいない時点で正しいかどうかなどわかるはずもありません。
しかし、日本人は学校で正解することを繰り返し教えられてきたこともあって、どうしても正解を見つけようとしてしまいます。しかも、正解は1つしかないとも教えられているため、最初から「たった1つの答え」を探そうとしてしまうところがあるのです。そのため、正解を見つけられないときは思考停止してしまうという傾向も目につきます。
リブ・コンサルティングでは、この「正解」主義ともいえる思考は、新規事業開発において前へ進むことを阻害するものだと考えています。なぜなら、正解主義は、正解のない問いに答えることが苦手だからです。せっかくアイデアを思いついても、そのアイデアが結果的にどれほど秀逸なものであっても、それが正解だという確信を多少でもいいから持てないと行動に移すことをためらってしまう。それでは、新規事業開発において重要なスピード感は生まれません。そのため、私たちは脱正解主義という考え方を大切にしています。
脱正解主義を目指す
脱正解主義とは、「見えない未来は見ない」と割り切り、目の前にあるアイデアの実行&検証&意思決定のサイクルを高速に回していくことで正解へ近づけていこうという考え方です。いわゆるアジャイル型という開発手法です。
この手法は、ITの世界でよく使われています。初めから完成された製品を開発するのではなく、ユーザーにとって必要最小限のものを「計画」し、「設計、実装、テスト」を行って「機能をリリース」するという流れを何度も繰り返しながら完成へと近づけていく開発手法です。スモールスタートで製品を世の中に送り出せるため、スピード感を出しやすく、ユーザーの反応を確かめながら次の開発につなげることが可能で、結果的に満足度の高い製品をつくることができます。皆さんもスマホのアプリが頻繁にバージョンアップを繰り返し、少しずつ機能が充実していることをご存じのはずです。これがアジャイル型開発です。
このように、アジャイル型開発は、新規プロダクト開発など、初めから何をつくればいいかが明確になっていないプロジェクトで力を発揮します。逆に、ある程度、何をつくればいいのかが明確になっていて、開発工程のムダを削ぎ落として効率を優先する場合は、ウォーターフォール型の開発を行います。これは、要件定義をしっかり行い完成形を明確にしてから、設計、プログラム設計、プログラミング、テストと工程を分割して、上流から下流へ水が流れるように後戻りすることなく開発する手法です。こちらは既存事業のブラッシュアップなどを行うときに適しているといえるでしょう。
つまり、新規事業開発がどちらの開発手法向きかは一目瞭然というわけです。見えない未来を見つけようとして、正解探しに労力と時間を割くのではなく、アイデアの仮説検証に活動の重きを置いて、コア技術と将来トレンドの掛け合わせから創出したアイデアの調整を繰り返すことで正解へ近づけていく。このアジャイル型開発が、見えない正解をあぶりだす、もっとも効果的な手法だと考えています。
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- UPDATE
- 2023.06.02