2023.01.16

VRIO分析とは

VRIO分析とは経済的な価値や希少性、模倣可能性、組織といった4つの要素において経営資源を評価するために使われるフレームワークです。自社の経営資源において強みと弱みを把握できることから、効率的な経営戦略の立案に活用できます。自社の経営資源を把握することで、競合他社に対して差別化ができ弱みを改善することで業務改善につなげられるのです。

VRIO分析は、自社の商品やサービス、人材、システムなどといったさまざまな面において経営資源を把握することで経営改善に活かすことが可能です。

VRIO分析とは

VRIO分析は、自社の経営資源や競合優位性を把握するために、有形資産や無形資産、そのほかにも企業の組織力などを含めて分析をおこなうフレームワークです。有形資産とは一般的に企業が持つ不動産を指し、無形資産とはノウハウや商標、特許などが挙げられます。そのほかにも、人材が持つ能力やスキルなども自社の経営資源に含まれます。

VRIO分析は次の要素において、自社の経営資源を評価する場合に活用されます。

  1. Value(価値)
  2. Rareness(希少性)
  3. Imitability(模倣可能性)
  4. Organization(組織)

Value(価値)

Value(価値)とは、経営資源がどの程度の価値があるのかを評価します。例えば、経営資源があることで売り上げや社会にどれほどの影響があるのか、ビジネスチャンスの機会につながっているのかなどさまざまな角度で価値につながる可能性があります。価値は企業が持つ資金をはじめとして資金だけでなく、社員の能力やノウハウ、企業が持つ不動産、システムなども含まれます。これらの価値を使ってビジネスに活かすだけなく、トラブルがあった場合の被害を最小限に抑えることが重要です。

Rareness(希少性)

Rareness(希少性)とは、他社と比較することにより独自性がどれくらいあるのかを評価します。例えば、競合他社とサービスや商品を比較した場合独自性があることで希少性が高くなります。つまり、顧客からの評価が高くなるため競合他社に対して差別化をでき市場シェアの獲得をしやすくなるのです。

競合他社に対して自社が持つスキルやノウハウ、技術などで差別化できるかどうかをVRIO分析において把握できます。VRIO分析において把握できる競合他社と比較して優れている部分は、マーケティング戦略に活かせます。

Imitability(模倣可能性)

Imitability(模倣可能性)とは、競合他社が自社が持つ経営資源をどの程度模倣できるのかどうかを評価します。他社が模倣できない経営資源を持つことで競合他社に対して競争優位な状態にあり差別化につながることになるのです。自社が特別なスキルを持っていたり、特許をとっていたりする場合は、競合他社にとっては模倣がむずかしいことになり競合他社に対しての差別化につながります。

Organization(組織)

Organization(組織)とは、経営資源をスムーズに活用できる組織があるのかどうかを判断することです。経営資源を活用できるような人材採用や育成、組織におけるフローなどが揃っていることで経営資源の価値を最大限に活かすことができます。VRIO分析においてValueやRareness、Imitabilityにおいては他社の比較がメインです。しかし、Organizationは自社内での分析となります。ノウハウや競合他社が模倣できないような経営資源を持っていても、自社の組織運営が機能していなければ経営資源を活かすことができないのです。

VRIO分析のメリット

VRIO分析を進めることで、次のメリットが挙げられます。

  1. 自社の強みを弱みを把握できる
  2. 差別化を生み出しやすい
  3. 経営資源を明確化できる

自社の強みを弱みを把握できる

VRIO分析を進めることで自社の資源において自社の強みや弱みを把握できます。強みを活かして競合優位性を高めたり、弱みを把握することで商品開発やサービスにおいて改善ができるなど効率的な経営戦略につなげることが可能です。

差別化を生み出しやすい

VRIO分析をして経営資源を把握することで競合他社と差別化を生み出しやすいといった特徴があります。自社の商品やサービスにおいて模倣可能性や希少性などを把握でき、競合他社と差別化をしやすくなるのです。経営資源を把握することで、商品やサービス、人材、ビジョン、ノウハウなどにおいて独自の価値を創り出すことができます。

経営資源を明確化できる

VRIO分析をすることで、経営資源の明確化が可能です。経営資源において、経済的な価値や希少性、他社が模倣をできるかどうかを分析することで、競合他社に勝てるような自社の経営資源を把握できます。さらに、自社が持つ経営資源を最大限に活かすための組織があるかどうかの評価も可能です。

VRIO分析の課題

VRIO分析において、次の課題が挙げられます。

  1. 定期的な分析が必要
  2. 短期間の分析に不向き
  3. 競合他社の分析には不向き

定期的な分析が必要

経営資源の価値は定期的に変わるため、定期的に分析をすることが重要です。さらに、顧客のニーズの変化や法改正があった場合など外部環境の変化によって価値が変わる可能性もあります。過去に評価が高かった項目でも、現在では評価が低くなっている場合もあるため価値が流動する可能性があることを頭にいれ、VRIO分析を進めることが重要です。

短期間の分析に不向き

VRIO分析は中長期向けの分析方法であり、短期間の分析には向いていません。経営資源とは商品やサービス以外に、人材や資金、導入しているシステムなどさまざまな要素があります。そのため、すべてのデータを集めて正しく分析するまで時間が必要です。規模が大きい企業であればその分分析に時間がかかります。そのため、VRIO分析は中長期向けの分析であることを理解することが重要です。

競合他社の分析には不向き

VRIO分析は自社の経営資源を把握することが目的ですが、競合他社の分析においては十分ではありません。競合他社の情報はホームページやSNS、そのほかの公開している資料などからおおまかに理解することはできても、細かく分析することはむずかしいのが一般的です。

VRIO分析の事例

VRIO分析には次のような事例が挙げられます。

  1. ユニクロ
  2. トヨタ

ユニクロ

ユニクロの経営理念である高品質低価格は多くの顧客にとってニーズがあり、ユニクロが採用しているSPA(Specialty store retailer of Private label Apparel、製造小売)は希少性が高いのが特徴です。さらに、人的コストや金銭面において模倣可能性は低く、組織が横につながって徹底しています。

トヨタ

トヨタでは自社に工場があるため、顧客ニーズに柔軟な対応ができるほか独自のノウハウがあることから模倣可能性が低いのが特徴です。さらに、ロボット共存型の工場があることから希少性が高く、これらに対応した組織を持っています。

まとめ

VRIO分析では、自社の経営資源をさまざまな項目において分析できます。経営資源を把握することで自社の強みを把握し競合他社に対して差別化が可能です。さらに、弱みを把握することで改善することで経営戦略につながるのです。経営資源の価値は変動するため定期的に分析することが重要であり、VRIO分析はあくまで自社の経営資源の分析であることを理解することが重要です。

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