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タスク型雇用ダイバーシティとは
タスク型雇用ダイバーシティとは、目に見えにくい知識や経験や能力などの内面的な多様性を表します。経済のグローバル化と世の中が多種多様な価値観を許容する文化が拡大したことで注目されるようになりました。
タスク型雇用ダイバーシティを推進するメリットは数多くあります。優秀な人材が確保しやすくなったり、グローバル化へ対応しやすくなったり、働き方の改善点が見つかりやすくなったりすることが挙げられます。
組織や事業にイノベーションを起こすきっかけを与えてくれたり、予測不可能な事態にも迅速に対応できるようになったりする可能性も高まります。
タスク型雇用ダイバーシティとは
まず、ダイバーシティ(Diversity)とは、日本語訳をすると多様性を意味します。集合体のなかにさまざまな属性のものが集まっている状態を指します。
ビジネスシーンにもダイバーシティはよく用いられ、多種多様な人材を採用していくことで、企業の価値や生産性を高めるために注目を集めています。
そして、タスク型雇用ダイバーシティとは、年齢や性別など目に見えやすい部分でなく、能力や知識、経験など目に見えない部分のダイバーシティのことを表しています。
目に見えるダイバーシティでなく、目に見えづらいタスク型雇用ダイバーシティを意識していくことで、企業組織に良い影響をもたらすとされています。
ダイバーシティとインクルージョンの違い
似たような意味をもつダイバーシティとインクルージョンの違いは、多様性がある状態を表しているか、多様性を意識する考え方を表しているかの違いです。
ダイバーシティは多種多様な人材が組織に属している状態を指します。一方で、インクルージョンはお互いの多様性を認め合いながら活動していこうという考え方を指します。
ビジネスシーンにおいて、インクルージョンはしばしばダイバーシティとセットで登場する言葉です。両者の違いを知っておくことは損ではありません。
デモグラフィー型ダイバーシティとタスク型ダイバーシティの違い
デモグラフィー型ダイバーシティとタスク型ダイバーシティの違いは、目に見える多様性か目に見えない多様性を意識するかの違いです。
デモグラフィー型ダイバーシティは、性別や年齢、国籍や人種など目に見える外見の多様性を表します。一方で、タスク型雇用ダイバーシティは、目に見えない能力や経験、知識や宗教、パーソナリティなどの内面の多様性を表します。
私たちの企業はダイバーシティを意識していると謳っている企業は多く見られます。しかし、ほとんどの企業の表すダイバーシティは、タスク型雇用ダイバーシティでなくデモグラフィー型ダイバーシティであります。
企業価値を高めるためには、タスク型雇用ダイバーシティを意識していく必要があることを知っておかなければなりません。
タスク型雇用ダイバーシティが注目されている背景
タスク型雇用ダイバーシティが注目を集めてきている大きな理由は、経済のグローバル化や多種多様な価値観を許容する文化に成長したからです。
2020年においては、日本の貿易総額はおよそ136兆円でした。そして、ものの流通だけでなく、お金や人、情報の流通はさらに大きく早く発展しています。
また、LGBTQへの理解も進展を遂げています。性的マイノリティに許容的な渋谷区では、同性カップルに対して、2人をパートナーとして認める渋谷区パートナーシップ証明書を発行できるようにしました。
渋谷区パートナーシップ証明書は法的に婚姻を認めるものではないものの、証明書を見せることで携帯料金の家族割などのサービスを受けられるようになりました。
タスク型雇用ダイバーシティのメリット
タスク型雇用ダイバーシティを推進するメリットは以下の5つです。
- 優秀な人材が確保できる
- グローバル化へ対応しやすくなる
- 働き方の改善点が見つかる
- 新しいイノベーションを起こすきっかけが見つかる
- 予測不可能な事態にも迅速に対応できるようになる
優秀な人材が確保できる
タスク型雇用ダイバーシティを意識して活動することで、優秀な人材を確保できる可能性が高まります。多様な経験や知識や経歴をもつ方が増えることで、さらに特殊な考え方をしている優秀な人材に巡り合えるかもしれません。
また、定年を迎えたシニアや海外にルーツをもつ方の採用など、一見採用を見送りがちな方を採用すると、蓄積された知識や新鮮な価値観により組織に良い影響がもたらされる可能性もあります。そして、優秀な人材が多数在籍することで、最終的に利益も増大します。
グローバル化へ対応しやすくなる
タスク型雇用ダイバーシティを推進していくことで、グローバル化に対応しやすくなります。さまざまな経歴をもつ方や日本にルーツがない方などを採用することで、さまざまな方の価値観や日本以外の国の文化や価値観を受け入れやすくなるのです。
海外展開を視野に入れている企業であれば、日本以外の価値観への理解は当然必須であります。しかし、日本国内にも外国から来られた方の数も増えてきているため、国内だけで事業展開をおこなっていく場合でも、外国の文化を理解しておくことで革新的なアイデアの種を拾えるかもしれません。
働き方の改善点が見つかる
多様な価値観をもつ人材を採用し、それぞれの話を聞くことで働き方への改善点が見つかる可能性があります。確かにそれぞれの会社に社風があり、価値観のすり合わせを行うことは重要かもしれません。
しかし、時代の流れを把握しておかないと、すり合わせをする社員すらも確保できなくなります。価値観のすり合わせの塩梅は永遠の課題となりますが、社員の働き方への考え方を聞いておくことは必須事項となり得ます。
新しいイノベーションを起こすきっかけが見つかる
多様な人材が企業組織に入ってくることで、組織や事業に革命的なアイデアがもたらされる可能性が高まります。組織や事業にイノベーションを起こすために固定概念を打ち壊すことは重要なことです。
そして、固定概念を打ち壊しやすいのはその業界に属している期間が浅い方です。長年の知識が蓄えられている方の意見も尊重し、新参者の意見も尊重していけるとイノベーションを起こせるかもしれません。
予測不可能な事態にも迅速に対応できるようになる
予想不可能な事態を解決するヒントをくれるのは、自分と違う考え方をもっている方です。予測不可能な事態が起こった際、どうしても解決策が浮かばないという八方塞がりな状況が出てくるかもしれません。
さまざまな価値観をもつ方がいればその数だけ多様なアイデアが浮かんでくるため、トラブルを解決する糸口を見つける可能性が高くなります。
まとめ
タスク型雇用ダイバーシティとは、目に見えづらい経験や知識、能力などの深層的な部分の多様性を表します。一方で、目に見えやすい性別や年齢、国籍などの表層的な部分の多様性のことをデモグラフィー型ダイバーシティといいます。
タスク型雇用ダイバーシティは、世の中がさまざまな価値観を認める風潮になってきたことと経済がグローバル化していることで注目を集めてきている言葉です。
タスク型雇用ダイバーシティのメリットは、優秀な人材が確保できたり、グローバル化に対応しやすくなったり、働き方の改善点が見つかったりするなど多く挙げられます。