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タスク型雇用とは
タスク型雇用とは職務ごとに採用せず、タスクやプロジェクトごとに採用していく雇用形態です。採用はタスクごとのため、柔軟にスピード感をもって仕事を遂行していくことができます。
ITの急速な発達によりタスク型雇用は注目を集めるようになりました。ITの導入により職務を細かく分けられるようになったため、各分野のスペシャリストを短期間限定で採用することができるようになりました。
また、プロフェッショナルな人材を導入し、プロジェクトの体制が整えやすいためスピード感をもって仕事を進めることができる反面、雇用が不安定であったり、定義された職務以外の仕事を依頼できないなどのデメリットもあります。
タスク型雇用とは
タスク型雇用とは職務内容が明確に定義されていて、タスクやプロジェクトごとに人材を募集する雇用方法です。雇用期間は1つのタスクやプロジェクトが完了するまでの間となるため、非常に短いのが特徴的です。
戦後の日本企業に多く見られるポテンシャルを見て採用して、退職まで面倒をみる雇用方法とは異なり、ある職務に対して適するスキルや経験をもっている方が採用されていきます。2000年代に突入してから、タスク型雇用で雇用していく形態が注目されるようになっていきました。
タスク型雇用はなぜ広がったのか
タスク型雇用を採用する企業が増えてきたのは、ITの急速な発達がもっとも大きな原因の一つといわれています。ITの急速な発達により職務を細分化できるビジネスが増えてきたのです。
ITの発達は未だ成長段階であるため、今後もタスク型雇用を採用する企業は増えていくと予想されています。
タスク型とほかの雇用形態の違い
タスク型と異なる雇用形態が存在しています。ジョブ型とメンバーシップ型の2種類です。
ジョブ型雇用とは職務内容に応じて、その職務に適した経験やスキルをもった人材を採用する雇用方法です。主に海外で多く取り入れられています。タスクを完了すると契約が終了してしまうタスク型とは異なり、職務に対して採用されるため契約終了までの期間が比較的長くなっています。
一方、メンバーシップ型雇用とは業務内容や勤務地などを限定せず、割り当てられた業務をおこなうシステムです。戦後のほとんどの日本企業が採用しています。
メンバーシップ型とタスク型は大きく異なり、会社のためにさまざまな仕事をこなしたり、会社に属してからスキルを磨いていったり、労働時間によって報酬が払われたりします。基本的に終身雇用となっていて、退職するまで面倒をみる企業が多い傾向です。
タスク型雇用のメリット
タスク型雇用のメリットは以下の4つです。
- プロジェクト体制を整えやすい
- プロフェッショナルな人材を入れやすい
- 第三者視点の目線で見れる
- ミスマッチを防げる
プロジェクト体制を整えやすい
各分野のプロを採用し業務の振り分けがしやすいため、プロジェクトの体制が整いやすく、スピード感をもってプロジェクトを遂行することができます。
プロジェクトに適した人材を確保し、即戦力を採用することができるとよりスピード感をもって、高いクオリティでプロジェクトを完遂できます。
プロフェッショナルな人材を入れやすい
タスク型雇用では業務に適した人材を確保していくため、プロフェッショナルな人材を確保することができます。よりレベルの高いプロフェッショナルな人材を採用することで業務の効率性は高まり、業務のクオリティを上げることができます。
第三者視点の目線で見れる
タスク型雇用を取り入れると、社内の人間ではない第三者からの意見を獲得することができます。タスクごとに人材を確保していくため、社員ではない外部の方を採用することになるからです。
社員以外からの意見をもらうことは非常に効果的です。社員だけの意見になると、どうしても似たような考えになることが多くなります。しかし、タスク型で採用した方からは、かたよりのない新鮮な意見を得られる可能性が高くなります。
ミスマッチを防げる
タスク型は業務内容に適したスキルをもっている方を採用する雇用形態です。つまり、その業務のプロフェッショナルを集めているため、業務内容に対するミスマッチを防ぐことができます。
しかし、業務に対するミスマッチを防ぐことができても、人間関係に対するミスマッチは防げません。人間関係のミスマッチが起きないかを気にしていく必要があります。
タスク型雇用のデメリット
タスク型雇用のデメリットは以下の4つです。
- 必要なスキルを明確にしなければならない
- チームワークを高めにくい
- 雇用が不安定
- 定義された職務以外の仕事を依頼できない
必要なスキルを明確にしなければならない
タスク型雇用を導入するのであれば、必要になるスキルを明確にする必要があります。求めるスキルを明確にしないと採用活動をおこなうことができません。
メンバーシップ型であれば経験のないところから会社で育てていくため、採用時点では業務に関するスキルはなくてもかまいません。
しかし、タスク型においては社員を1から育てることはなく、即戦力になる方を採用するため、職務に関する経験とスキルは必須になります。プロジェクトを完遂するために必要なスキルを洗い出さなければなりません。
チームワークを高めにくい
タスク型雇用で採用したメンバーはチームワークが醸成されにくくなっています。タスク1つ1つで採用となるため、パートナーと仕事をおこなうのは1つのタスクを実行している間だけです。
パートナーとはタスクをこなしている間だけしか一緒にいないため、終身雇用を基本としているメンバーシップ型と比べるとチームワークは高めにくくなっています。
雇用が不安定
雇用が不安定になることもデメリットの1つです。採用方法が正社員とは異なり終身雇用ではありません。そのため、雇用が不安定と感じる方が多いかもしれません。
雇用が不安定であることは従業員の心理面に影響を与えるため、仕事に悪い影響を及ぼす可能性もあります。
定義された職務以外の仕事を頼めない
タスク型雇用で採用した場合、定義された職務以外の仕事を依頼することはできません。業務に適するスキルや経験を買われて、スキルを発揮するために採用されます。そのため、スキルを発揮すること以外の職務は基本的におこないません。
まとめ
1つのタスクやプロジェクトごとに契約していく雇用方法はタスク型雇用と呼ばれ、世の中に浸透してきています。ジョブ型雇用やメンバーシップ型雇用の形態と比較すると、1つのタスクやプロジェクトごとに雇用されるため雇用期間はとても短いのが特徴です。
また、メンバーシップ型の雇用形態とは異なり、職務に適した経験やスキルをもっていることが認められてはじめて雇用されます。タスク型雇用はITの急速な発達により世の中に浸透してきました。
タスク型雇用のメリットは、各分野のプロフェッショナルな人材を採用しやすく、プロジェクト体制が整いやすくなり、第三者視点の視野が手に入り、職務に対してのミスマッチを防ぐことができます。
一方、デメリットは必要なスキルを明確にしなければならないことやチームワークが醸成しにくいこと、雇用が不安定であったり、定義された職務以外の仕事を依頼できないことが挙げられます。