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スーパーシティ構想とは
スーパーシティ構想とは、内閣府が2018年に発表した構想であり、これまでのスマートシティとは違ったまるごと未来都市を目指すものです。日本初のスマートシティを実現することにより、世界への輸出も視野にいれています。国家戦略特別区域法の一部を改正する法律が2020年に成立し、スーパーシティ構想が広がっています。しかし、情報漏洩のリスクや住民の理解が必要などと課題も残っている状況です。
スーパーシティ構想とは
スーパーシティ構想とは、内閣府地方創生推進事務局において発表された方針です。スマートシティは温暖化やエネルギー供給を目的としてはじまりました。都市インフラや日常生活において利用する設備などにデジタル技術を活用して、ETCやカーナビなどの製品を発表してきました。さらに、従来のスマートシティにAIやIoTなどが加わり、これまでではできなかったような課題を解決できるようになったのです。
そんななか、2022年1月、内閣府地方創生推進事務局はスーパーシティ構想を発表しました。ICT技術を活用して住みやすい街づくりを進めることが目的です。
スーパーシティ構想の概要
スーパーシティ構想とは、最先端技術を活用することによってドローンや遠隔教育、遠隔での医療など、さまざまなサービスを住民が受けられることによって住みやすい未来都市を実現させる取り組みです。事業者や行政によって最先端の技術はすでに活用されていますが、国民目線においてより良い生活をするために環境づくりをしていく構想です。
国家戦略特区法を活用することによって、最先端技術の活用における規制を緩和することができ、これまでなかったような取り組みができることもスーパーシティ構想のメリットです。
スーパーシティ構想の需要が高まった背景
スーパーシティ構想の需要が高まった理由として、人口減少や少子高齢化、さらには過疎化などの社会問題を解決することが挙げられます。最先端の技術を活用することによって住みやすい街づくりや暮らしができるような環境づくりを進めることによって、課題解決をすることがスーパーシティ構想の背景にあるのです。
スーパーシティ構想において自治体からアイデアを募集したところ、2022年6月の段階で56団体からアイデアが集まっています。このようにさまざまな社会的な課題を解決するためにスーパーシティ構想に期待がされていることがわかります。
スーパーシティ構想の目的
スーパーシティ構想の大きな目的は、最先端技術を導入することによって人々の暮らしの絵て利便性を高めることです。例えば、スマホやタブレットなどの個人端末に置いて行政手続きの実現が進められています。さらにキャッシュレスはすでに一般的な生活に馴染んでいることをはじめ、デジタル化が浸透しつつあるのです。自動ごみ収集や遠隔医療、自動運転を利用した交通手段の提供など利便性を高めるための手段が年々増えているのです。
スーパーシティ構想実現のためのポイント
スーパーシティ構想を実現するためには次のポイントが挙げられます。
- 規制改⾰
- 先端的サービスの提供
- データ連携
規制改⾰
さまざまな地方自治体によって大胆に規制改革をすることによって、利便性の高い未来の生活を先行実現するスーパーシティ構想を進めています。例えば、大阪市では2025年に開催される大阪関西万博が開催される夢洲地区において、大阪にしかできない取り組みやこれまでなかったような技術を導入することによってイノベーションを進めているのです。
大阪府は、大阪市とともに、複数分野の先端的サービスの提供と大胆な規制改革等によって、世界に先駆けて未来の生活を先行実現する「まるごと未来都市」であるスーパーシティの実現をめざしています。関西経済の中心エリアに位置する「うめきた2期地区」、大阪・関西万博が開催される「夢洲地区」という、グリーンフィールドにおいて、大阪にしかできない取組みや、新しい技術を生み出すことで将来の社会が大きく変わる、イノベーションにつながる取組みを進めていきます。
引用:スーパーシティについて(大阪府)
先端的サービスの提供
スーパーシティ構想では常に先端的サービスを住民の皆さんに提供できる点が特徴です。そのため、これまでにはなかったような利便性の高いサービスを提供できる可能性が高まります。
データ連携
行政や一般企業が個人一人ひとりのデータを連携することによって、よりニーズの高いサービスを提供することが可能です。行政や一般企業以外にも教育や医療、移動手段など幅広い分野で活用することによって、さらに利便性を高めることを目的としています。
スーパーシティ構想実現への課題
スーパーシティ構想の実現において課題がないわけではありません。特に次に2点が大きな課題として挙げられます。
- 住民の意見が通らない可能性
- 情報漏洩の可能性
住民の意見が通らない可能性
スーパーシティの整備を広めるためには、一般的には住民の合意が必要です。しかし、実際には合意する基準や方法などは明確にされていません。そのため、住民の合意を得られないまま整備が進んでしまい、住民の意見が通らない場合があります。
情報漏洩の可能性
スーパーシティ構想実現において、住民一人ひとりの個人データをさまざまな場所で共有することになります。そのため、住民一人ひとりに対して的確なサービスができますが、反面情報漏洩のリスクがあります。
スーパーシティ構想の事例
ソンド(韓国)
韓国のソンドでは埋立地を活用して、グリーンフィールドとしてスマートシティを進めています。最新のビデオ技術を活用することによって自宅で遠隔操作により教育や医療を受けられたり、高層住宅ではゴミを収集センターまで自動集積するなど様々な取り組みが進んでいるのです。
バルセロナ(スペイン)
スペインのバルセロナは2000年からイノベーションの創出や地域集約型の新産業を進めるために、スマートシティプロジェクトを進めています。WiFiを都市基盤のICT共通基盤として活用しており、さまざまなサービスの利用が可能となっているのです。例えば、スマートパーキングを利用して空き駐車スペースを検索することで渋滞緩和につなげたり、見守りサービスやゴミの自動収集サービスなど、さまざまな点においてデジタル技術が活用されています。
まとめ
スーパーシティ構想は、最新技術を活用することによって、住みやすい都市を作ることが目的です。改正国家戦略特区法が成立したことにより、さらに実現に向けて動きが進んでいく可能性があります。スーパーシティにおいて地域が活性化する可能性がありますが、住民に対する同意や個人情報保護に関する観点など現状では課題が残っているのです。世界ではすでにスーパーシティ構想が進んでいるケースもあり、日本がどのようにスーパーシティ構想を導入していくか注目されています。