2023.04.04

スーパーシティ法案とは

スーパーシティ法案とは、複数の分野に対して規制を緩和することでAIやIoTなどのデジタル技術を活用することで住みやすい都市つくりをするための法案のことをいいます。国家戦略特別区域法を大幅に変更して、より柔軟に規制緩和や特例措置ができるようになったのです。このことで、よりスムーズにスーパーシティ構想を実施しやすくなり、日本でもさまざまな都市で計画が進められています。

スーパーシティ法案とは

スーパーシティ法案とは、地域に住む人が住みやすいような街づくりをすることが目的の規制改革制度です。法案によって規制を緩和することで、最先端にデジタル技術を導入した大規模な街づくりをしやすくなります。国家戦略特別区域法の一部を改正する規制改革制度であり、従来の国家戦略特別区域法を比べてより柔軟に特例措置や規制緩和が設定できるように、従来あった国家戦略特別区域法を大幅に変更しました。

国家戦略特区は、「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を目指して戦略戦略を実現するために、大胆な規制や制度改革を実行することです。変更をした結果、スーパーシティ構想を進めるための定義づけに沿っている内容となっています。

※スーパーシティ構想:国家戦略特区制度を活用して、事業者と住民が協力することによって最先端の技術を活用したスーパーシティを実現することを目的とした構想。

スーパーシティ法案が誕生した背景

スーパーシティ法案が誕生した背景として、次のような状況が挙げられます。

  1. 海外でスーパーシティ実現が進んでいる
  2. 大阪万博

海外でスーパーシティ実現が進んでいる

海外ではスペインのバルセロナで、都市の渋滞緩和や街路灯と連動した住民を見守るスマートパーキングと呼ばれるサービスやゴミの自動収集サービスが検討されています。さらに、オランダのアムステルダムでは継続可能目的としてスマートメーターを導入することによる消費電力の可視化やEV車の導入などが進められており、世界一の省エネ都市といわれています。スーパーシティ実現を進めている国は多く、それぞれの国にあった工夫をしています。

大阪万博

2025年に大阪万博が開催されます。大阪市では大阪万博を目標として、スマートシティ戦略部を設定し最先端技術を利用した利便性の高い街づくりを進めています。例えば、世界のトップランナーを目指せる環境作りができるスマートヘルスシティを提供しています。デジタル端末を活用した高齢者の生活を支援する仕組みや健康づくりにおいてデジタル技術を活用したスタートアップなど、さまざまな取組を進めています。

スーパーシティのメリット

スーパーシティのメリットには次のものが挙げられます。

  1. 住民に利便性がある領域
  2. 決済のキャッシュレス化
  3. 行政手続のワンスオンリー化

住民に利便性がある領域

スーパーシティ法案は、住民にとって利便性があることを重要視しています。エネルギーや交通などのさまざまな分野において最先端技術を活用し、2030年に「ありたい未来」を実現することを目標として、社会や暮らしに実装する領域であることが必要です。

決済のキャッシュレス化

スーパーシティ法案において、決済のキャッシュレス化が定義の1つです。キャッシュレス化とは、支払いに現金を使わない決済方法であり、クレジットカード以外に電子マネーや決済アプリ、口座振替などが挙げられます。近年スーパーやコンビニなどキャッシュレス決済が利用可能な店がほとんどであり、日常生活においても浸透しています。

キャッシュレス化にすることで、ATMの設置や紙幣の印刷、偽札確認などの工程を省けるためインフラコストの削減につながるのです。そのため、人材不足への対応や業務効率化などの効果もあります。さらに、脱税をはじめとした不正行為の防止にもなるのです。しかし、クレジットカードや決済アプリなどを不正に使われる心配があるため対策が必要です。

行政手続のワンスオンリー化

ワンスオンリーとは、デジタル手続法における原則の1つであり、1度提出した情報は2度提出する必要がないといった内容です。国民や一般企業が提出した個人情報を含めた情報は、行政機関同士で連携することでほかの目的であっても提出する必要がありません。そのため、国民や一般企業にとって負担が減ります。

スーパーシティのリスク

スーパーシティのリスクには次のものが挙げられます。

  1. プライバシーの問題
  2. セキュリティの問題

プライバシーの問題

スーパーシティを進めるには、市民一人ひとりの情報を集めることが必要です。例えば、行政におけるサービスや店舗などの混雑状況を予測するためには、スマートフォンの接続情報から特定の地域にいる人数を算出することによって解析する場合があります。しかし、プライバシーの侵害と考える人も少なくありません。そのためデータを使う目的を明確にして流出しないような保護をする仕組みを作ることが重要です。

セキュリティの問題

スーパーシティを進めるうえでデータの収集が必要不可欠です。豊富なデータを分析して、住民により利便性の高いサービスを提供します。しかし、データ収集をする際に活用するIoT機器にはセキュリティリスクがあります。個人データを収集する可能性が十分にあるため、サイバー犯罪者やハッカーから個人情報を守るためのセキュリティ面においては十分な対策をすることが重要です。

まとめ

スーパーシティ法案とは、スーパーシティ構想を進めやすくする状況を作るための規制改革をする法案です。スーパーシティ構想とは、最先端の技術を活用して、住民にとって利便性の高い未来都市を作ることです。行政手続きのワンスオンリー化や自動走行のフル活用などが定義付けられています。しかし、セキュリティ面やプライバシーにおける問題などスーパーシティ構想を進めるにあたって課題は決して少なくありません。

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