- 経営戦略
スタートアップエコシステムとは
スタートアップにはさまざまな解釈がありますが、一般的に新しい市場を開拓し、新しい価値を提供することを目的とした成長スピードの早い企業や企業の集まりのことを指します。
スタートアップエコシステムは、アメリカのIT関連をはじめ大手企業が始めるシリコンバレーが由来です。新しい事業を立ち上げる起業家が多く、スタートアップ企業が自然に集まったり、成長できる環境にあったりするスタートアップエコシステムが形成されています。日本でもスタートアップエコシステムへの取組が始まっています。
スタートアップエコシステムとは
スタートアップエコシステムとは、公的機関や研究機関などがネットワークを作ることによってスタートアップを押しながら発展するシステムのことです。自然が巡回するのと同じ流れであることから、スタートアップエコシステムと呼ばれるようになりました。アメリカのシリコンバレーは起業家が集まっていることから、自然とスタートアップ凸システムが出来上がっているのです。
スタートアップエコシステムは起業家以外に、企業や研究機関、行政機関などさまざまな機関が集まっています。例えば、研究機関で開発した技術を基にスタートアップして、大企業が集まってR&D(Research and Development、研究開発)をおこなうなどお互いに連携できるネットワークを形成しています。
新しくビジネスを立ち上げるためには、技術を持った人や起業家などのほかに資金が必要です。そのため、スタートアップエコシステムを形成するためには投資家の存在も必要不可欠です。これまで成功している起業家が投資家となることで、それぞれの地域においてのスタートアップに投資します。
このように、スタートアップエコシステムでは、人材や機関(モノ)、資金が集まってそれぞれがうまく循環することにより、イノベーションが起きやすい環境ができます。
スタートアップエコシステムの由来
スタートアップエコシステムはもともとアメリカの大企業が集まる都市であるシリコンバレーが発祥です。シリコンバレーでは自然が巡回するようにエコシステムが作られ、シリコンバレーの街自体がスタートアップエコシステムを形成しているのです。新しい事業を何度も継続して立ち上げている起業家が多く存在しており、メンターとなることからスタートアップができやすい仕組みが出来上がっているのです。
日本におけるスタートアップエコシステム
日本でも2019年に政府がスタートアップエコシステム拠点都市を結成するために必要な支援をするようになりました。同じ時期に大企業もオープンイノベーションについて取り組むようになり、スタートアップに対して投資をする企業が増えています。
スタートアップ政策
安倍政権や菅政権においてもスタートアップへの支援は進められてきましたが、岸田政権においては政策課題において中心的に考えられています。スタートアップ政策には次のような要素が含まれています。
- 投資環境の整備
- 規制改革による新市場創出
- グローバル化の促進
- 創業基盤形成
投資環境の整備
スタートアップ政策における投資契約に係る指針の策定や、新株予約権の活用拡大などが必要です。2022年の6月に公表されている経済財政運営と改革の基本方針2022においては、今後5年間で投資額を10倍に増やすといった目標を掲げています。
規制改革による新市場創出
規制改革における新市場創出とは、企業実証の特例やグレーゾーン解消などが含まれます。グレーゾーン解消制度とは、産業競争力強化法において新しく新事業活動をできるように規制が適用するかどうかを確認できる制度です。
「グレーゾーン解消制度」とは、産業競争力強化法に基づき、事業者が、現行の規制の適用範囲が不明確な場合においても、安心して新事業活動を行い得るよう、具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度です。
引用:グレーゾーン解消制度に基づく回答(デジタル庁)
グローバル化の促進
スタートアップを進めるために、スタートアップビザの準備やアクセラレーション・プログラム、国際イベントの開催などが進められています。資金面においても海外ベンチャーキャピタルの誘致に取り組んでいるのです。
創業基盤形成
創業基盤形成において、拠点都市におけるエコシステム形成、支援機関連携、起業家教育などが必要です。特に成長分野において優れた技術を持った人材を選抜することによって、適切な支援をできるような取り組みをおこなっています。
スタートアップエコシステムの事例
日本でも2019年に世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略が閣議決定し、各地でスタートアップエコシステムの事例があがっています。
グローバル拠点都市
グローバル拠点都市は、シリコンバレーのようなスタートアップエコシステムを整備することが目的です。2023年現在では東京都や大阪府、福岡県、愛知県を中心とする4つの都市圏が選ばれており、海外から人材や投資を誘致する動きを再生しています。
推進拠点都市
グローバル拠点都市に選ばれた4拠点以外にも、広島、北九州、仙台、札幌といった4つの都市が推進拠点都市として選ばれています。推進拠点都市は、グローバル拠点都市と同じような支援を受けられるのが特徴です。
それぞれの拠点で活動が進められており、例えば仙台では産学官金連携によるスタートアップへの支援をはじめとして支援者やスタートアップ関係者が定期的に意見交換をおこなっています。さらに、札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会では、民間組織や大学、さらに地方自治体が一体となって、エコシステムの形成を目的として協議会を進めているのです。札幌からグローバルで活躍できるようなスタートアップの育成を目指します。
東京コンソーシアム
グローバル拠点都市として選ばれている東京では、スタートアップエコシステム東京コンソーシアムがあります。スタートアップエコシステム東京コンソーシアムでは、東京の経済を長期間に渡り発展させることが主目的で、スタートアップの成長や国際競争力の強化などを目指せる環境作りをしているのです。2020年7月の段階で、大企業や東京大学などが参画しています。
大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム
大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアムは、大阪や京都、兵庫といった京阪神の地域が連合したコンソーシアムです。ヘルスケアやライフサイエンス、ものづくり、バイオ等の分野を中心としたエコシステムの構築が進められています。
まとめ
急激な技術革新が続いたり外部環境が変化したりしたことによって、世界中でスタートアップエコシステムが導入されるケースが増えています。日本でも2019年より本格的に導入されており、大企業を始め、自治体や大学などが結束したスタートアップ支援が普及しています。まだ日本では歴史が浅く課題が残っている状況であり、今後の取り組みに注目されているのです。