2022.10.18

society 5.0とは

society5.0とは2016年の閣議決定において、政府が策定した第5期科学技術基本計画において説明されている社会の在り方です。デジタル技術を使って現実空間に仮想現実を融合させることによって、社会問題を解決することにより暮らしやすい社会づくりを目指します。

societyはこれまで1.0から4.0まで提唱されており、情報社会を目指した4.0につづく5番目の社会システムです。

society 5.0とは

society5.0とは現実空間に仮想現実を組み合わせることによって、経済発展と社会問題の解決をできる社会にするための取り組みです。農業や不動産、金融などさまざまな業界においてAIが導入されるなどスマート化が進んでいます。社会においてもAIをはじめとした仮想現実を導入することで、最適化された社会を実現するのがsociety5.0の目的です。

Society 5.0の定義

society5.0は、第5期科学技術基本計画において次のように提唱されています。

サイバー空間(仮想現実)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
引用:Society 5.0とは(内閣府)

society5.0ではIoT(Internet of Things)において、人とものがつながることでこれまでにない新しい価値を生み出しています。

society5.0導入前の課題

情報社会の導入が特徴のsociety4.0では、企業内で情報を共有したり作業工程を分断したりすることでシステム化が進みました。システム化により効率化を進めることができたのですが、労働力が少子高齢化の影響で減ったことにより十分な対応が出来ていないのが課題として残りました。

今後さらに少子化や高齢化社会が続くことにより、人的リソースの不足がより問題になると懸念点としてあげられています。

society5.0で目指す社会

society5.0導入の重要なテーマが、SDGsの目的である持続可能な世界の実現です。しかし、そのためには物流や食料生産などにおいてインフラの整備が重要ですが、現状人手不足が原因で十分なインフラが届いていないケースがあります。そこで、society5.0ではIoTやAIを導入することにより、これまで人間がおこなっていた作業を自動化できるため人手不足を解消します。

society5.0の目的

society5.0には次のような目的が挙げられます。

  1. 食品ロス対策
  2. 地域間の格差対策
  3. 脱炭素社会の実現

食品ロス対策

society5.0において、農業に最先端技術やデータを活用するスマート農業に力を入れています。スマート農業を取り入れることにより農作業においての労力を減らしたり、農業に必要な技術向上をしたりなどの効果が期待できます。スマート農業が普及することにより、食品を計画的に生産でき無駄な食料のロスを減らす効果もあります。

地域間の格差対策

日本では、地域によって人口減少が進んでおり所得や財政力においての格差が発生しています。人口が減少した地域においては、財政力が低下することから交通手段をはじめとした公共サービスを十分に提供できなくなり、さらに人口が減るといった悪循環が続いています。そこで、自動運転のバスを導入することをはじめとして交通手段の確保が重要です。

自動運転バスの導入を進めることにより、高齢化社会の問題にも対応でき地域間の格差対策にsociety5.0は必要不可欠です。

脱炭素社会の実現

日本は温室効果ガス削減を進め、2050年までに温室効果額の排出を全体としてゼロにするための活動をしています。

菅総理大臣(当時)は、2020年10月26日、所信表明演説において、「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。
引用:2020年以降の枠組み:パリ協定(外務省)

IoT(Internet of Things)やAI、ビッグデータ、ロボットなどを活用して街づくりに取り組むことによって、都市が抱えている課題解決を進めている最中です。Society 5.0の取り組みの1つとして挙げられるスマートシティにおいて、エネルギーを効率的に使うための施策が広まりつつあります。国土交通省において、スマートシティは次のように定義されています。

都市局では、「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」を『スマートシティ』と定義し、その実現に向けた取り組みを進めています。
引用:都市交通調査・都市計画調査(国土交通省)

society5.0にて活用される技術

society5.0では次の技術を使って社会問題を解決することを目指しているのです。

  1. 仮想現実(VR)
  2. 無人店舗
  3. キャッシュレス決済
  4. 自動運転

仮想現実(VR)

仮想現実を活用することにより、自宅にいながら賃貸物件の内見や商品説明会などにVRを使って参加することが可能です。このように、これまでは時間と費用をかけて実際に行く必要があったことでも、自宅でさまざまな経験ができるようになりました。仮想現実の技術は年々上がっており、今後さらに使い方が増えることが予想されます。

無人店舗

コンビニエンスストアや一部のスーパーなど24時間営業の店舗において、従業員に負担をかけるケースが増えています。そこで、無人店舗を導入することにより人の負担を減らすことが可能です。例えば、顔や指紋認証によってドアを開けたり電子決済システムを活用することにより自動会計するなどさまざまな技術が活用されています。

キャッシュレス決済

ここ数年さまざまな店舗でキャッシュレス決済を導入し、日本でも普及が進んでいます。現金が足りなくてもATMに行く必要がなくなり、お釣りを手渡しする必要がありません。キャッシュレス決済のメリットはユーザー側だけでなく、店舗側にもあります。現金の残高をチェックしたり、輸送したりする手間を減らすことが可能です。そのため、従業員の負担を減らす業務時間の短縮ができます。

自動運転

国土交通省では自動運転レベルを6段階に区分しており、2022年現在において日本は自動運転レベル3まで進んでいますがレベル3とは次のような概要です。

決められた条件下で、全ての運転操作を自動化。ただし運転自動化システム作動中も、システムからの要請でドライバーはいつでも運転に戻れなければならない。
引用:自動運転はどこまで進んでいますか?(JAF)

自動運転システムを導入することによって、交通事故の削減や環境等への影響軽減、ドライバーの負担軽減、渋滞の緩和、地方においての交通手段の確保などを目指します。

まとめ

society5.0とは、現実世界に仮想現実を導入することによって社会問題の解決や経済発展などにつなげることです。特徴のsociety4.0においてシステム化に成功したことにより、業務効率化を進められました。しかし、少子化や高齢化社会において労働力不足が現状であることから、課題を解決できたとはいえません。

そこで、仮想現実を導入することで自動的に車の運転や店舗における接客などをすることで労働力不足の解決につなげます。さらに、自動運転をすることで交通事故削減や地方における交通手段の確保など仮想現実を導入することで社会問題の解決に向けて取り組んでいます。

一覧に戻る

関連コラム