- 営業戦略
シーズドリブンとは
シーズドリブンとは自社のサービスや技術シーズを活用することにより、新規事業機会を作り上げることです。自社の高い技術や製品を活かすことで、新しい価値を提供することによってこれまでになかったようなライフスタイルの変化が可能になります。インターネットやスマートフォンの普及により、顧客ニーズを基とするマーケティング手法が主流となっていますがシーズドリブンを導入するケースは少なくありません。
シーズとは
シーズとは、企業が保有しているサービスや技術、材料のことをいい、まだ市場に出ていないことが特徴です。顧客に新しい価値を提供することによって、課題を解決したりライフスタイルの変更をするなど新しい感動を与えられます。新しい価値を顧客に提供することで、顧客は顕在化していないニーズを持つ可能性があります。
シーズドリブンとは
シーズドリブンとは、自社の独自となる技術や商品を活用することで新しい事業を展開することです。これまでになかったような商品を開発することで新しい市場を展開することが一般的です。
ドリブンとは
ドリブンとは効果測定などをしたデータを基準として行動に移すことです。データを活用したマーケティングのことをデータドリブンといいます。
シーズドリブンのスタイル
シーズドリブンとは、新しい価値を世の中に提供することにより新しい市場を作るスタイルです。シーズドリブンは自社の技術を活かすことが優先であることが一般的です。しかし、画期的な商品であっても顧客のニーズを満たしていなければ売れる可能性が低くなります。前もって顧客のニーズに合わせることなく、独自の技術を十分に活用した商品でなおかつ顧客のニーズを満たすことが必要です。
顧客のニーズを満たすことができれば、独自の技術を使っていることから競合他社が真似をするのは容易ではありません。そのため、市場を独占できる可能性があります。
シーズドリブンに必要なこと
シーズドリブンを進めるためには、新しい時代を作るためのマーケティング能力や新しい商品を展開する資金力、人材力が必要です。導入時に多額の資金がかかることから、資金を回収するまで時間がかかります。そのため、十分な資金力がなければシーズドリブンを進めることはむずかしくなるのです。
ニーズドリブンとの違い
新しい商品を開発するときに活用されるマーケティング手法には、シーズドリブンのほかにシーズドリブンがあります。シーズドリブンが生活者視点であり、企業側が主体となって顧客に提供できる商品の価値のことを指すのに対して、ニーズドリブンは顧客が商品に対するニーズである潜在的な欲求を満たすことを指します。
ニーズドリブンは顧客のニーズを満たした商品やサービスを提供することから、売れる可能性が高いのが特徴です。しかし、競合他社も同じような商品やサービスを展開するため市場を独占するのがむずかしく、さらに価格競争になりがちです。
シーズドリブンは独自の技術を使った商品やサービスを展開することが一般的であり、他社と競合することはほとんどありません。しかし、顧客のニーズを基準にしていないため顧客が興味を持たなければ売れない可能性があります。さらに、シーズドリブンはニーズドリブンと比べて開発に費用がかかることが一般的です。
シーズドリブンのメリット
シーズドリブンには次のようなメリットが挙げられます。
- 市場を独占できる可能性がある
- 多額の資金が必要
市場を独占できる可能性がある
シーズドリブンは独自の技術を使って商品を開発していることから、競合他社が同じような商品を作るのは容易ではありません。そのため、顧客が増えれば市場を独占できる可能性があります。さらに、競合他社に対して差別化を図れるため、価格競争になりにくい点が特徴です。
多額の資金が必要
独自の技術やノウハウを活用してこれまで市場に出回っていないような商品を開発するため、事業を始めるために多額の資金が必要になることが少なくありません。商品が市場に浸透して顧客ニーズにつながるまで時間がかかるケースが多く、資金の回収も容易でありません。今や世界中で大ヒットしているiPhoneもいきなり売れたわけではありません。
シーズドリブンのリスク
シーズドリブンには次のようなリスクが挙げられます。
- 開発コストがかかる
- 売り上げにつながらない可能性がある
開発コストがかかる
シーズドリブンはこれまでになかったような商品を開発するため、ニーズドリブンと比べて開発コストがかかる可能性が高いのが特徴です。さらに、これまで市場にないような新規事業を展開するため、事業全体としても高額な資金が必要になる可能性が高くなります。
売り上げにつながらない可能性がある
シーズドリブンは顧客のニーズを基準としていないことから、ニーズドリブンと比べると売り上げにつながらない可能性があります。シーズドリブンの商品が売れるためには、顧客の潜在ニーズを満たしていることが条件です。潜在ニーズとは顧客自身が気が付いていないニーズであり、ニーズに気が付いたうえに満たせる商品を開発する必要があるのです。さらに、顧客のニーズを満たせず売れない可能性も少なくありません。
シーズドリブンの事例
Apple
Appleの創設者であるスティーブジョブスは、顧客に対してニーズを伝えていくといった考え方を持っていました。そのため、顧客のニーズに合わせた商品を作るのではなく、これまでになかったような商品を作って顧客に認知してもらうことを続けていました。
「このような商品が欲しかった」と思えるような商品を作り続けることで、iPhoneやiPod、Apple Watchといった大ヒット商品を作り続けています。いずれの商品もいきなり売れたわけではなく、必要性を感じた顧客がだんだんと増え続け今は知らない人はほとんどいないような商品となっているのです。
富士フイルム
富士フイルムはカラーフイルム事業が衰退したタイミングにおいて、独自の技術として磨いてきた3次元構造化技術や高機能材料を活かしてヘルスケア事業をはじめました。多くの人が想像できなかった新しい事業ですが、現在では富士フイルムにおいて主力の事業となっているのです。富士フイルム独自の技術を活かした事業であり、シーズドリブンの主な成功例となりました。
まとめ
シーズドリブンは独自の技術やノウハウなどを活かして、これまで市場になかったような商品を生み出す手法です。これまで市場にない独自の価値があることから、大ヒットする可能性があります。
さらに、独自の技術を活用していることからほかの企業が真似をするのはむずかしく、市場を独占することもあるのです。競合他社が発生しにくいことから、価格競争になることもほとんどありません。しかし、顧客のニーズと一致しない場合は売れない可能性があります。独自で高度な技術を使っていてもニーズを満たせないこともあるのです。