- 営業戦略
ニーズドリブンとは
マーケティング戦略において、大きく分けてニーズドリブンとシーズドリブンといった2種類の手法があります。自社の技術や商品を基準としてマーケティング戦略を進めるシーズドリブンと違い、ニーズドリブンは顧客のニーズを基準として商品展開やサービスの提供をします。
シーズドリブンとは異なり、顧客のニーズを満たしていることから売れやすい特徴がありますが、競合他社との差別化がむずかしいのがデメリットです。そのため、顧客のニーズを満たすだけでなく付加価値を付けることが重要です。
ニーズとは
マーケティングにおいて取り上げられるニーズとは、顧客一人ひとりの理想と現実のギャップを埋めるような欲求のことをいいます。つまり、豊かに暮らしがしたいといった理想と生活に困らないように節約をする必要があるといった現実を両方満たすことができるような物を欲するのがニーズです。
顧客ニーズとは顧客の需要を満たすことになります。しかし、単に顧客が欲しい商品やサービスを提供するのではなく、なぜ必要であるのかまで突き詰めることが重要です。商品そのものを顧客ニーズととらえると、顧客との間で認識のずれが生まれる可能性があります。
ニーズとよく比較される言葉にウォンツがあります。この商品が欲しい、このようなサービスを求めているといった内容はニーズではなくウォンツです。例えば、マッサージチェアが欲しいといった要望がウォンツであり、疲れを取りたいといったマッサージチェアを購入する目的がニーズです。つまり、どれほどのマッサージチェアを作っても、疲れをとれなければニーズを満たすことにはなりません。
ニーズドリブンとは
ニーズドリブンとは、顧客のニーズを満たす商品やサービスを展開することを基準とするマーケティング手法です。顧客ニーズに沿って商品を作るためシーズドリブンと比べて売れやすい特徴があります。しかし、競合他社も同じような商品の作り方をするため、特徴の似た商品を作るため結果的に価格競争になる傾向にあるのです。
- ドリブンとは
- ニーズドリブンのスタイルとは
- ニーズドリブンに必要なこと
ドリブンとは
ドリブンとは何を基準にして物事を進めるかということです。つまり、ニーズドリブンとは顧客のニーズを基準としてマーケティングを進めることをいいます。
ニーズドリブンのスタイルとは
ニーズドリブンとは、顧客がどのようなニーズを持っているのかを把握し、顧客のニーズを満たすような商品やサービスを提供することです。ニーズドリブンとは顕在化しているニーズに適応している商品やサービスを提供し、優位性を知ってもらうことで販売につなげていくスタイルです。
ニーズドリブンに必要なこと
ニーズドリブンはすでに顕在化しているニーズを満たすことが目的であるため、新規開発や研究において多額な資金が必要ではありません。アイデアや商品を改良できる能力が求められます。さらに、ニーズドリブンを進めるうえで重要なのが顧客のニーズをつかむことです。
顧客のニーズには潜在ニーズと顕在ニーズがあります。顕在ニーズは自分で自覚しているため、アンケートやイベントなどで直接意見を集めることが可能です。しかし、潜在ニーズは本人が自覚していないためニーズをつかむのは容易ではありません。顕在ニーズを掴んだ商品やサービスを提供することで競合他社と差別化を図ることができる場合があります。
二ーズドリブンのメリット
二ーズドリブンには次のようなメリットが挙げられます。
- 売れる可能性が高い
- 顧客満足度を高められる
- ニーズドリブンを重視するケースが多い
売れる可能性が高い
ニーズドリブンをもとに商品を開発した場合は、シーズドリブンをもとにして商品開発をするよりも売れる確率が高くなるのが一般的です。そのため、一定の利益を見込めるのがニーズドリブンの大きなメリットです。シーズドリブンは商品の開発に多額な費用がかかることが一般的で、さらに顧客のニーズを基準としていないため売れない可能性があります。
顧客満足度を高められる
顧客のニーズを満たす商品やサービスを展開することで、顧客満足度の向上につながります。顧客満足度を高めると、SNSなどで拡散してもらえることにより多くの人に商品やサービスが認知される可能性があります。
ニーズドリブンを重視するケースが多い
近年ではスマートフォンやインターネットが普及したことにより、顧客1人ひとりが必要な情報を必要なタイミングで入手することが可能です。さらに、ライフスタイルや外部環境の変化によりニーズが変化することから多様化するニーズを満たすことが求められます。そのため、ニーズドリブンが重視されることが増えているのです。
二ーズドリブンのデメリット
二ーズドリブンには次のようなデメリットが挙げられます。
- 競合他社が真似しやすい
- 競合他社と差別化がむずかしい
競合他社が真似しやすい
ニーズドリブンは顧客ニーズを基準として商品を開発するため、他社も同じような基準で商品を作るため真似をしやすいデメリットがあります。同じような商品で似た特徴がある場合は、最終的に価格競争になりやすい点も特徴です。
競合他社と差別化がむずかしい
ニーズドリブンは顧客のニーズを満たすことを目的としているため、自社の技術やノウハウなどを活かせない場合があります。この結果、競合他社と差別化がむずかしくなる可能性があるのです。そのため、ニーズドリブンを進めていくためには商品やサービスなどにおいて差別化をしたり、アプローチの方法を変えるなど工夫が必要です。
ニーズドリブンの事例
ニーズドリブンを導入している企業の事例には次のような例が挙げられます。
- ソニーのウォークマン
- パナソニックのパソコン
ソニーのウォークマン
1970年代に外で音楽を聴く場合はラジカセを持ち歩く必要がありました。そこで、コンパクトに音楽を聞けるものが求められた時代に、初代ウォークマンが販売されたのです。
その結果、初回生産分が2か月で完売しそのあとも注文が殺到する結果となりました。コンパクトに外で音楽を聴けるものを求めていた時代に、ニーズを満たすものを販売し成功したニーズドリブンの典型的な例となったのです。
パナソニックのLet's note
パナソニックはパソコン市場においては出遅れていました。しかし、法人のニーズに目を付けたパナソニックは耐久性が高くて軽い、また長時間利用できるノートパソコン、Let’s noteを開発したところ、2013年における日本市場のシェアを38%を占める大ヒット商品となったのです。
外回り営業マンのニーズを把握していたパナソニックが、ニーズを満たすパソコンを開発したところ成功した例となりました。
まとめ
ニーズドリブンは顧客が求めているものを、さらに改良したり価格を下げたりすることで販売していくスタイルです。そのため、シーズドリブンのように新規開発費用はそれほどかからず、人材やモノなどのリソースもあまり必要としていません。
ニーズドリブンを進めるためには、アイデアや商品を改善するための技術が必要です。ニーズドリブンを成功させるために重要なのが顧客のニーズをつかむことであり、競合他社と価格競争になりやすいことから付加価値を付けることも大切です。
ニーズドリブンとシーズドリブンの両方に良さがあり、特に大企業では両方取り組んでいくことが重要です。