- 営業戦略
セールスレッドグロース(SLG) とは
セールスレッドグロースとは営業担当者が顧客にアプローチする営業戦略を意味します。これまで多くの企業で活用されてきた営業戦略であり、今でも導入が進んでいる営業戦略です。セールスレッドグロースには顧客とのつながりを大事にする特徴があります。
しかし、パンデミックの影響を受け、セールスレッドグロースの強みが活かせなくなったため、最近ではプロダクトレッドグロースを活用する企業が増加傾向にあります。製品を販売する方法の幅を広げたいのであれば、セールスレッドグロースやプロダクトレッドグロースなど、営業活動についての理解が大切です。
セールスレッドグロース(SLG) とは
セールスレッドグロース(Sales Led Growth)とは、営業担当者が顧客にアプローチする戦略を意味します。商品を売るための一般的な施策であるため、多くの企業で取り入れられています。
顧客1人ひとりに直接プロダクトを売り込めるため、最適なアプローチが可能です。しかし、パンデミックの影響を受けたことにより、対面式での商品販売が困難となったため、セールスレッドグロースの強みを活かせる機会が少なくなりました。そのため、近年は非対面式の集客方法に注目が集まっており、WEB広告やSNSなど非対面式の取り組みが進められています。
セールスレッドグロース(SLG)の特徴
セールスレッドグロースにはメリットとデメリットどちらもあります。セールスレッドグロースのメリットは次のとおりです。
- 属性に合わせてアプローチできる
- 信頼関係を構築しやすい
対面式での営業活動は、顧客1人ひとりに対してアプローチをかけることができるため、ニーズに合わせた効果的な施策が実現可能です。また、顧客と直接コミュニケーションを取れるため信頼関係を構築しやすく、安心感を与えることもできます。結果、契約へと結びつけやすくなり、費用対効果も高められます。
一方で、セールスレッドグロースのデメリットは次のとおりです。
- グローバル展開に適していない
- セールスサイクルが長い傾向にある
- 商品の価格が高くなりやすい
近年はインターネットやSNSの普及により、世界に向けて不特定多数のターゲットにアプローチをかけられるようになりました。一方で、対面式のセールスレッドグロースは、アプローチをかけられる人数に限りがあるうえ、セールスサイクルが長いため時間も足りません。また、人件費をかける分、商品自体の価格も高くなるため、契約にむすびつかないケースもあります。
プロダクトレッドグロース(PLG)との違い
セールスレッドグロースと反対の位置にプロダクトレッドグロース(PLG、Product Led Growth)があり、双方の違いは販売の仕方です。プロダクトレッドグロースとは、プロダクト自体が別のプロダクトの販売を促進する営業戦略です。顧客が商品を体験して良いと思った場合、ほかの人にシェアすることでさらに売上が向上する連鎖を生み出すことを目的としています。
プロダクトレッドグロースのメリットは次の通りです。
- グローバル展開に適している
- セールスサイクルが短い
- 商品単価が安い傾向にある
プロダクトレッドグロースは場所を問わず商品を不特定多数のターゲットに向けて発信可能です。そのため、グローバル展開しやすく、セールスサイクルも短いため検証と改善に短期スパンで取り組めます。
一方で、プロダクトレッドグロースのデメリットは次のとおりです。
- コストがかかる
- 信頼関係を構築しにくい
WEB広告には多くのユーザーへ情報発信できるメリットがありますが、その分コストがかかる点に注意が必要です。さらに自社だけでは取り組みが進まない場合、業務代行への外注費用を負担しなければなりません。また、非対面式での営業活動になるため、顧客と信頼関係を構築しづらく、施策次第では契約にまで発展しないケースも多々見受けられます。
セールスレッドグロース(SLG)流れ
セールスレッドグロースにおける業務の流れは次のとおりです。
- 認知
- 確認
- 見込み客の育成
- 購入
- 顧客化
まずは製品の認知です。顧客に自社商品を知ってもらうために広報活動をおこない、認知の拡大を目指します。次に認知拡大に向けた施策が効果的であるか確認し、問題があれば改善をして再度検証と広報活動を繰り返しおこないます。
商品の認知度がある程度向上したあとは見込み客の育成です。自社商品に興味を持った顧客に対し、定期的に情報発信して関係性を構築します。関係を深めることができれば、自社から商品購入を販促する営業活動の開始です。商品の魅力を充分にアピールし、購入までつなげます。
営業活動が功を奏して顧客が商品を購入すれば、セールスレッドグロースの施策は完了です。
SLGからPLGへ移行が進んでいる理由
セールスレッドグロース(SLG)からプロダクトレッドグロース(PLG)へ移行が進んでいる理由は次のとおりです。
- 自発的に営業活動しなくて良い
- SaaSビジネスに最適である
- 属人に合わせたサービスを提供できる
自発的に営業活動しなくて良い
プロダクトレッドグロースはプロダクトを用いて商品の販売を促進するため、自発的な営業活動をおこなう必要がありません。プロダクトレッドグロースを活用した販売施策は、顧客が商品やサービスに触れると、知人との共有により連鎖式で商品の認知や売上が向上する仕組みです。
機能に制限を設けて一部のサービスを体験させることで、顧客はサービスの良さを実感でき、購入へとつながります。また、クロスセルやアップセル商品と組み合わせて販売すると、利益の獲得がより期待できます。
SaaSビジネスに最適である
SaaSビジネスとは月額料金制でプロダクトを利用するビジネスのことです。料金はかかりますが、業務の効率化や生産性の向上に大きく役立つ商品をSaaSビジネスでは提供しています。
しかし、料金のかかるツールを導入する際は、サービスを体験してから購入を検討したいと考える顧客は多い傾向にあります。そのため、SaaSビジネスでは無料でサービスを体験させ、満足してもらえた場合に有料プランを購入してもらう仕組みを設計しており、知人に共有してもらうことでさらなるユーザーを獲得可能です。
属人に合わせたサービスを提供できる
プロダクトレッドグロースでは無料で使用できるサービスに物足りないユーザーに対して、今以上に求める機能や使いやすさを提供可能です。顧客は有料プランに含まれる機能を求めてサービスを購入するため、欲しい機能がない、想像してたサービスと違ったなどの問題が発生しにくいです。
まとめ
セールスレッドグロースとは営業担当者が自社商品を顧客へアプローチする営業戦略のことです。セールスレッドグロースにはグローバル展開できない、セールスサイクルが長いなどのデメリットがある反面、属人に合わせてアプローチできる、信頼関係を構築しやすいといったメリットもあるため商品の販売促進に役立ちます。
しかし、パンデミックの影響によりセールスレッドグロースの活用は減少傾向にあり、近年はプロダクトレッドグロースに多くの企業が注目を集め、活用が進められています。ただし、セールスレッドグロースが必要とされなくなった訳ではなく、プロダクトレッドグロースと組み合わせることで営業戦略の幅が広がり、効果的な販売施策を立案可能です。