- 経営戦略
リスキリングとは
リスキリングとは、働き方の変化や技術の革新に対応できるよう、新しいスキルや知識を身につけることです。スキルの学び直しや向上の繰り返しを意味する言葉で、アップスキリングやリスキルと同じ意味合いを持っています。
DX化や第4次産業革命など、社会の変化が進む世界各地でリスキリングが求められています。新たな事業やサービスを展開、浸透させていくためにも、人材の再教育といった観点で重要な要素です。
リスキリングとは
リスキリングとは、企業競争を生き抜くために必要な観点です。既存事業の新たな付加価値や、新規事業の展開において必要なスキルを、企業全体で身につけていく取り組みなどが該当します。
DX化や第4次産業革命に伴った新たな技術はもちろん、マーケティングやマネジメントを発展させるスキルなども該当します。
リスキリング自体は海外で注目されていた概念ですが、近年では日本企業でもその必要性が重要視されています。
リカレント教育・アンラーニングとの相違点
再教育や新たなスキルの取得という意味を持つのがリカレント教育です。リスキリングと同様の意味を持ちますが、教育の主体に違いがあります。
リスキリングは、企業が従業員に対して実施する取り組みです。対してリカレント教育は、個人が今後に備えて学び直すことを指します。
またリスキリングと似た概念として挙げられるのが、アンラーニングです。リスキリングは時代の変化などに合わせて、既存の知識をブラッシュアップする側面があります。
対してアンラーニングは、今ある知識や技術を棄却して、まったく新しいものを身につけることを指します。リスキリングがレベルアップを指すとすれば、アンラーニングは生まれ変わりを意味する言葉です。
リスキリング関連の資格
リスキリングを企業で実施する場合は、知識の偏りが出ないように関連資格を身につけることも大切です。リスキリングの関連資格には、以下が挙げられます。
- Microsoft Certified Fundamentals
- Pythonエンジニア
- ビジネス統計スペシャリスト
- IC3
関連資格を取得しておくことで、リスキリングが必要とされる領域の動向をキャッチアップしやすくなります。また、DXに関連する企画や開発などの実施、提案がよりスムーズになるのもメリットです。
なぜリスキリングが注目されるのか
リスキリングが注目される背景には、やはりDX化や第4次産業革命があります。より実践的な取り組みを実施するために、現場で活躍する人材のリスキリングが求められています。
また、2020年に開催されたダボス会議も、リスキリングが注目される理由のひとつです。ダボス会議では「2030年までに地球人口のうち10億人をリスキリングする」と発表されました。
同年11月に経団連から発表された新成長戦略の中でも、リスキリングについて触れられています。国内だけでなく、海外でもリスキリングに関する声明が挙がったことが、リスキリングが注目される理由です。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に、リスキリングが注目された節があります。リモートワークの浸透で、新たな働き方をベースとしたスキルの取得が求められることで、リスキリングが注目されています。
リスキリングを実施することで、企業に以下の効果がもたらされます。
- 人材育成
- エンゲージメント向上
- 人材不足対策
- 習得スキルの即時実践
- 業務効率化
- 新たなアイデアの創造
リスキリングを実施する従業員に関連する効果が挙げられます。人材育成を通じた企業としてのレベルアップも期待できます。
また、リスキリングを通じてエンゲージメントが向上することで、人材不足を防止することも可能です。習得したスキルを即時実践する風潮ができれば、業務効率化や新たなアイデアの想像にもつながります。
従業員にもたらす効果を通じて、結果的に企業全体に大きなメリットを与えるのがリスキリングです。
リスキリング導入の手順
リスキリングは、ただ実施するだけでは意味がありません。適切な導入手順を理解したうえで実施する必要があります。
- 習得する内容を決定
- 効率的なプログラムの策定
- 使用コンテンツの決定
- 従業員による実施
- 習得したスキルの実践
1.習得する内容を決定
企業の特性や目標などに応じて、適切な習得内容を意識してください。事業内容やこれまでの業績などのデータを活用し、習得すべき内容を決定します。
自社が習得すべき内容を把握するには、データベースや分析ツールなどを適切に活用するのがおすすめです
2.効率的なプログラムの策定
従業員がリスキリングに対してストレスを感じないよう、学びやすい環境を整えることが大切です。企業ごとに適切なリスキリングのプログラムは異なるため、自社の特性を鑑みたプログラムを策定してください。
また、策定したプログラムが意味のないものにならないよう、受講の順番や構成にも目を配る必要があります。
3.使用コンテンツの決定
リスキリングを実施する際、どのようなコンテンツを使用するかも大切な要素です。紙媒体やWeb教材など、予算やプログラムに適したコンテンツを選択してください。
リスキリングで使用するコンテンツは、自社開発か外部コンテンツを使用するかによって予算や運用方法が変化します。
4.従業員による実施
プログラムとコンテンツが用意できたら、従業員に実践してもらいます。勤務時間内にリスキリングの時間を設定するか、合間の時間をリスキリングに活用させるのが一般的です。
勤務時間外での習得は従業員の負担になる可能性があるため、実施前に従業員の意見を集めることも忘れてはいけません。
5.習得したスキルの実践
リスキリングで身につけたスキルや知識を、実際に発揮できる場面を用意してください。社内の業務で発揮できる場面があれば、積極的に実践させるのがおすすめです。
習得したスキルを発揮できる場面がなければ、リスキリングを実施する意味がなくなります。自社で発揮できるスキルが何かを把握したうえで行うことが大切です。
リスキリングを成功させるためのポイント
リスキリングは、以下のポイントを意識することで失敗を防止できます。
- 従業員の理解を得る
- モチベーションに配慮する
- コンテンツを慎重に選定する
- 社外のリソースも活用する
実際にリスキリングを行う従業員の理解を得ることが、何よりも優先されるポイントです。従業員のモチベーションが低下しないよう、配慮することも大切です。
また、自社の環境や予算に応じてコンテンツを選定することも忘れてはいけません。紙媒体かWeb教材か、適切なものを選定してください。
コンテンツに関しては、予算に余裕があれば外部のリソースを活用するのがおすすめです。自社で用意するのは時間がかかるため、効率を優先するのであれば外部に依頼する選択肢が適しています。
まとめ
新しい働き方や技術革新など、目まぐるしく変化する日本のビジネスシーンにおいてリスキリングは非常に重要な要素です。リスキリングは、DX化や新型コロナウイルスの感染拡大など、さまざまな要素から注目されています。
育成やエンゲージメント向上など、企業を存続するうえで大切な人材に向き合った施策です。従業員との関わり方や成長に課題を感じている企業にとって、特に注目すべき観点といえます。
導入手順や成功につながるポイントを把握し、自社に適した方法でのリスキリングが重要視されます。