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パルスサーベイとは
パルスサーベイとは、従業員の満足度や心の健康度を測るためにおこなう調査手法の一種です。
パルスサーベイを導入すると、従業員も運用する側も負担が増えたり、調査する間隔が短いため惰性になってしまう可能性もあります。しかし、うまく運用していくことでタイムリーな従業員の満足度を把握できたり、従業員のエンゲージメントを向上させることもできます。
パルスサーベイをおこなううえで、調査結果の細かい実態がわかりづらいことや調査結果の取り扱いには十分に理解して、注意しておく必要があります。
パルスサーベイとは
パルスサーベイとは、会社が従業員の満足度や心の健康度を調査する手法のことです。パルスとは、脈拍を意味し、サーベイは調査を意味する言葉です。脈拍をチェックするように高頻度で企業の組織と個人の健全度を測ることが名前の由来となっています。
特徴としては月に1回、週に1回など、短期で反復的に少ない質問数で調査をおこなっていきます。反復的に調査を実施することによって、リアルタイムで従業員の満足度や心の健康度を把握できたり、課題が大きくなる前に対処できたり、フォローをすばやくできたりします。
パルスサーベイの目的
パルスサーベイの目的は組織と個人の関係性の健全度合いを測ることです。
刻一刻と変化する状況をリアルタイムでいち早く捉え、問題解決に向けて素早く行動をとることができます。従業員にとっては取り組みやすく、企業にとっては最新のデータを逐一収集できます。
また、パルスサーベイは調査結果をこまめに知ることができるため、従業員や組織の問題が大きくなる前に未然に防ぐことができます。組織を動かしていく際に、もっとも気をつけなければならないことは、従業員の会社への思いです。従業員は会社の土台であり、なくてはならない存在です。
したがって、従業員のエンゲージメントを保つことは必要不可欠です。
パルスサーベイを導入するメリット
パルスサーベイをおこなうとすぐに従業員の状況を把握できるため、会社と従業員双方にメリットがあります。パルスサーベイを導入するメリットは、以下の3つです。
- 従業員満足度をすぐに測れる
- エンゲージメントが向上する
- 一般的な従業員満足度調査よりも安価でできる
従業員満足度をすぐに測れる
パルスサーベイをおこなうことで、従業員満足度をすぐに測ることができます。パルスサーベイは、センサス(大規模な全数調査)と比べて少ない質問数を定期的に質問していくため、タイムリーな情報を得られます。
また、調査の頻度が高いため、前回との比較をしやすくなります。前回との比較がしやすいことで、前回よりエンゲージメントが下がった従業員のフォローをしたり、対策の成果のできばえを測ることができます。
エンゲージメントが向上する
エンゲージメントとは、従業員の会社への思い入れや愛着心を指します。
パルスサーベイをおこなうことで企業理念を浸透させたり、主体的な行動を促すこともできます。そして、問題を未然に防ぐことができ、モチベーションを維持させることができるのです。
ここで注意したいのが、だれが回答した答えなのかを特定できないような仕組みを作ることです。従業員の本音を聞くには匿名性が必要です。回答に自分の名前を書かないことではじめて本音で回答してくれるようになります。
そして、本音で出た回答を適切に改善していくことで、従業員のエンゲージメントは保たれます。
近年では、ソフトバンクやサイバーエージェント、アディダスなどの人材の活用に力を入れる先進企業がパルスサーベイを導入しています。なかでもソフトバンクでは自社でパルスサーベイを開発し、導入することで上司が部下のコンディションを把握できるようになりました。
一般的な従業員満足度調査よりも安価でできる
パルスサーベイと比べて規模が大きい調査方法であるセンサスは数十万円から数百万円のコストがかかります。
センサスとは、年単位でおこなわれ、設問も数十問ある一般的な従業員満足度調査を指します。
年単位で調査をおこない、一度に膨大な情報量が必要になるため、どうしても費用が高くなってしまいます。加えてフィードバックにも数ヶ月かかり、その分の費用も上乗せで加算されます。
一方、パルスサーベイは質問項目が5問から15問程度と少なく、調査会社に依頼することなく、自社で質問を設計することもできます。したがって、1人あたり月に数百円で利用できます。パルスサーベイはセンサスと比較して質問が少ないため、回答率も高くなり、コスト効率の面から考えてもとても優秀な調査方法といえます。
パルスサーベイを導入するデメリット
パルスサーベイを導入するデメリットは、以下の2つです。
- 回答する従業員側も運用する側も負担が大きい
- 間隔が短いため惰性になる可能性がある
回答する従業員側も運用する企業側も負担が大きい
質問に回答する従業員側も、パルスサーベイを運用していく企業側も、負担が大きくなることがデメリットです。
常に従業員の状況を把握できることがパルスサーベイの強みですが、その分、仕事の時間を割かなければならなくなります。
特にパルスサーベイの回答に時間がかかる場合は注意が必要です。回答する社員側のモチベーション低下に繋がってしまいます。したがって、調査をしても有効な結果が現れづらくなります。
間隔が短いため惰性になる可能性がある
頻繁に行うパルスサーベイは、次回の調査との間隔が短いため、惰性になってしまう可能性があります。
パルスサーベイの結果を出せずにいると、調査結果が活用されているのかと従業員側に不満が募ります。すると、毎回同じ回答をしたり、回答しなかったりといったマンネリ化した考えが蔓延してしまいます。
パルスサーベイ導入の注意点
パルスサーベイを導入する際の注意点は、以下の2点です。
- 細かい実態がわかりづらい
- 調査結果の取り扱いに注意する
細かい実態がわかりづらい
パルスサーベイでは、従業員や組織の細かい実態がわかりづらくなります。理由はパルスサーベイは短いスパンで少ない質問をしていく調査手法を採用しているからです。
質問数を必要最低限にするため、表面的な質問になる傾向があり、詳細がわかりづらくなるので、細かい実態がわかりづらい場合は、調査結果をもとに面談をする機会を設けるなどのフォローが必要です。
調査結果の取り扱いに注意する
パルスサーベイをおこなう際、個人が特定されるような調査をおこなってはいけません。回答する従業員の本音を引き出すことができず、組織や従業員の真の状態を把握することができないためです。
また、調査結果を共有する方法や範囲、調査目的を明確にしておく必要があります。調査結果の共有の仕方を事前に知らせておかないと、従業員に不信感をもたれて、本音を引き出すことはできないからです。
まとめ
パルスサーベイとは、会社が従業員の満足度や心の健康度を調査する手法のことです。パルスサーベイを導入することで、リアルタイムで従業員の満足度や心の健康度を調べることができます。
パルスサーベイを導入すると、回答をする従業員も運用する側も負担が増えたり、回答が惰性になる可能性もあります。しかし、上手に運用していくことで従業員の満足度や心の健康度が把握でき、従業員のエンゲージメント向上に繋がります。