- 営業戦略
提案営業とは
提案営業とは顧客の課題を解決することが1番の目的であり、顧客との信頼関係を築いていきます。自社の製品やサービスは課題解決のための1つの方法であり、必ずしも提案するとは限りません。
提案営業をするためには、顧客の立場に立ち課題解決をするためのビジネスパートナーとなる必要があります。顧客と信頼関係を築いていくことで、利益はあとからついてくるといった考え方が重要です。
提案営業とは
提案営業とは顧客が持っている課題を自社の商品を通して解決案を提案することをいいます。顧客の課題を正確に理解し自社の商品を使ったらどのように課題を解決できるかを判断して、相手にわかりやすく伝える必要があります。しかし、顧客の課題によっては自社の製品を提案しない場合もあります。
課題は顧客が話してくれるとは限らず、顧客でも理解していない潜在的な課題もあります。本質的な顧客の課題を把握することで顧客の課題を解決することが1番の目的です。
提案営業のメリット
提案営業には次のようなメリットが挙げられます。
- 顧客満足度が上がる
- 成約率が上がる
- 単価が上がる
- リピーターが増える
顧客満足度が上がる
顧客のニーズや課題を把握し解決のための提案をおこなうことで顧客満足度が上がります。顧客が持っている課題に対して相談に乗ったり、解決したりすることで営業担当者に対して信頼感が生まれます。
提案型営業はただ成約を上げるだけでなく顧客の課題解決のために、最適な提案をする必要がある場合があります。結果的に企業の利益にならなくても、信頼感を高めることができ長期スパンで考えたら良い顧客となります。
成約率が上がる
顧客のニーズを正しくつかみ必要な商品を提案することで成約率が上がる傾向があります。さらに、顧客との信頼関係が出来上がっているケースが多いことからも成約率につながります。しかし、顧客が抱えている課題を正しく理解できていない、または適切でない商品を勧めた場合、押し売りと判断され信頼を失うこともあります。
単価が上がる
提案営業をしていくなかでクロスセルやアップセルを取り入れることで、顧客単価を上げることができます。クロスセルとは関連した商品も同時に勧めることで、アップセルとは上位の(高額の)サービスを提案することです。しかし、あくまで顧客の立場にたった提案でなければ単価を上げるどころか顧客が離れてしまうことになります。
リピーターが増える
営業担当や企業に対して安心感が生まれることから、次に何か課題があったときにまた任せたいと考える顧客が増えます。このことから顧客の立場に立った提案営業を続けることでリピーターが増える可能性があります。
提案営業の流れとは
提案営業の一般的な流れは次のようになります。
- 提案営業をする準備
- 顧客と信頼関係の構築
- 顧客が持つ課題に対するヒアリング
- 解決策の提案
- クロージング
提案営業をする準備
顧客を訪問する前に顧客の会社概要や業界の特色、動向などを理解しておく必要があります。企業に関する情報を知っておくことにより、顧客とスムーズに話をできる準備をおこないます。
調べた内容をもとに問題に対する仮説を立てます。仮説をいくつも準備しておくことで、顧客が抱えている課題の本質とずれが起きることを防ぐことができます。そのために会社のホームページやブログ、フェイスブック、帝国のデータバンクなどあらゆるソースで情報を仕入れることが重要です。
顧客と信頼関係を築くためには、顧客に対して興味を持つことが重要です。例えば業界全体として抱えている問題であればある程度調べることができます。
顧客と信頼関係の構築
アプローチですが顧客と信頼関係を構築することを意識して、顧客とも商談をする目的を共有します。顧客の課題を解決するために商談をしていることをはっきりと伝えます。提案営業において顧客のニーズを理解しないと、的確な提案をすることはできません。
しかし、顧客が抱えている課題を信頼できない担当者や企業にいきなり話すことはほとんどありません。そのため本題に入る前に顧客と信頼関係の構築をすることが重要です。そのためにも顧客が話しやすいような環境作りを作ることを意識する必要があります。相手の話をしっかりと聞いて相手に合わせた話し方をすると、緊張が和らいで話しやすい環境作りができます。
顧客が持つ課題に対するヒアリング
話しやすい環境が出来上がったら顧客が抱えている課題をヒアリングしていきます。顧客の話を聞きながら質問をしてさらに課題を深堀していきます。このことによって顧客も把握していない潜在化している課題を発見できることもあります。
顧客もどこから改善していいのかわかっていないことが多いので、まずは現状の状況を確認します。次に企業として掲げているゴールを確認した上で、現在するべきことや課題の共有をあらためてします。
解決策の提案
ヒアリングした内容を一旦全て持ち帰り、課題の重要度や対応するべき順番を設定しあらためて顧客に提示します。ヒアリングの場ですぐに応えるよりも一旦持ち帰り資料化した方が、顧客の信頼感が高まります。資料には提案内容を導入したことによってどうなるかを具体的に説明する必要があります。これまで同じような悩みを持っていた企業のデータを盛り込むことにより説得力を持たせることができます。
提示した課題対策案をもとに仮説を立てながら今後の活動内容について説明していきます。ヒアリングした内容に自社の商品やサービスを紹介することが適切であれば、自社の商品やサービスが顧客の目指しているゴールを達成するまたは課題を解決できると結び付けることができます。
解決案を提案する時の話し方ですが、営業担当者が一方的に話すのは避けるべきです。提案が通りやすい営業担当者は解決策の提案をしている時でも、顧客に話を振っていることがほとんどです。どれだけ解決策が充実していても自分の話ばかりする営業担当者は、相手を不快にさせる可能性があります。
相手に対して提案内容を変えることも求められます。例えば相手が経営者であれば利益につながる具体的な話を、現場の方であれば業務効率化につながるような提案をします。ヒアリングをしているときに、どのようなことを求めているのかを見極めることが解決策を作る上で重要になります。
クロージング
解決策や詳しい今後のスケジュールに顧客が同意をしたら、その時点でクロージングとなります。契約を結んだあともビジネスパートナーとして、顧客が抱えている問題解決に向けてサポートをしていくことになります。
注意したいのはクロージングを進めるタイミングです。顧客が納得した様子を見逃さないようにすることが重要です。そのため、クロージングをするべきタイミングは説明をしている途中で来る可能性もあります。しかし、最後まで反応が今一つの場合は無理にクロージングをしにいくと、押し売りを思われてしまい信頼関係を失うことになります。
まとめ
営業といえば自社の商品やサービスを売り込むことによって利益を上げる仕事であると考えられてきました。しかし、近年では顧客の立場にたってニーズを考えないと売れない傾向にあります。特に提案型営業は顧客の問題解決が最も重要な目的であり、自社の商品やサービスを紹介しない場合もあります。
このため顧客から感謝されやすい傾向にあり、結果的に利益を継続的に向上させることにもつながっています。提案型営業はコミュニケーション能力、提案力、ヒアリング力などさまざまな能力が必要になることから、日々スキルを磨く努力をする必要があります。