2023.04.28

生産性とは

日本の労働生産性はほかの国と比較しても低下しており、企業が継続的に成長していくためには生産性の向上が必要不可欠です。高齢化が進む日本において労働人口が減少しており、人手不足に対応したり、働き方改革への対応をしたりなどが必要な状況において、生産性を上げることは企業にとって重要な経営課題の1つとなっています。生産性を高めるために補助金や助成金を出すなど、国でも生産性の向上を推進しているのです。

生産性とは

生産性とは、成果(アウトプット)÷経営資源(インプット)の数式で表されます。つまり、いかに少ない経営資源において、どれだけの成果を出しているかといった経営効率を測る指標となります。例えば10時間労働して500万円の商品を生産している場合、生産性は500÷10で50です。同じ商品を5時間労働で生産できるようになれば、500÷5で生産性は100に向上します。

生産性の定義

生産性の定義とはインプットに対してのアウトプットの比率です。つまり投資をすることによって得た成果が生産性となります。生産性向上と業務効率化が比較されることがありますが、業務効率化は無駄な業務を改善するためにおこなう施策であり生産性向上は資源や投資に対してどれだけ成果をあげられるかといった生産性を上げることです。

生産性が必要な理由

生産性を高めることによって、同じ従業員数や仕事量であっても短時間で完了できることから人手不足の解消ができます。従業員が退職した場合でも、ほかの従業員に対する負担が大きくなりすぎずモチベーションを保つことが可能です。さらに、欠員が出たことによって無理に採用することも必要がなくなる場合があります。

生産性を高めることによって従業員一人一人の負担が減り、過度な残業時間の防止や有給休暇の取得促進などを進めることで従業員満足度が上がったり、働き方改革の対策になったりするなどさまざまなメリットがあります。従業員満足度が上がることで、離職率が減りさらに生産性を高められる可能性があるのです。

国際的な競争力の向上

このほかにも、生産性の向上は国際的な競争力の向上にもつながります。日本の労働生産性はOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development、経済協力開発機構)に加盟している国の中で37ヵ国中21位と低迷しています。さらに主要先進7ヵ国の中では1970年以降最下位となっているのです。

OECDデータに基づく2019年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、47.9ドル(4,866円/購買力平価(PPP)換算)。米国(77.0ドル/7,816円)の約6割の水準に相当し、順位はOECD加盟37カ国中21位だった。
引用:労働生産性の国際比較2020(日本生産性本部)

グローバル化が続く現状において、生産性を高めて労働生産性の高い国に負けないようにすることが必要不可欠です。

生産性の測定方法

生産性には次の測定方法が挙げられます。

  1. 物的生産性
  2. 付加価値生産性
  3. 全要素生産性

物的生産性

物的生産性とは、従業員1人が販売した商品の数や製造した数などを算出することで出した指標です。従業員1人あたり以外に、1時間あたりの生産性を算出することも可能です。物的生産性で出した数値は、企業において品質管理や設備投資に対する判断基準として使われます。

付加価値生産性

付加価値労働生産性とは、従業員一人が生み出した付加価値を基準とした測定方法です。1人あたりだけでなく、部署全体や企業全体が決まった時間で生み出した付加価値の算出も可能です。1人あたりの付加価値労働生産とは会社全体の付加価値額 ÷ 総従業員数で算出します。

1時間当たりの付加価値労働生産性は、会社全体の付加価値総額÷(労働時間×従業員数)といった式となります。付加価値は人件費や企業に出資している資本や配当の増強にも活用されることから、企業の生産性を測定する場合においてもっとも活用されている指標です。

全要素生産性

全要素生産性(TFP、Total Factor Productivity)とは、付加価値労働生産性を基準として、技術革新をはじめとした外部要因の変化や従業員のスキル向上などの要因を加えた指標です。全要素生産性を出すためには複雑な数式が必要ですが、より具体的な生産性の伸び率を把握できます。全要素生産性に資本分配率や労働分配率を加えることによって、企業の成長を考える上での指標として活用可能です。

生産性が低下する理由

生産性が低下する理由として次の点が挙げられます。

  1. 長時間労働
  2. 複数の作業を同時進行
  3. 必要な要素を削減

長時間労働

生産性向上を考えすぎて。少ない人数で大きな成果をあげようとすると従業員一人ひとりの負担が大きくなりがちです。無理して長時間労働をしても生産性が高まるわけではありません。短期的に生産性があがったとしても、長期間同じ成果が続く可能性とは限らず現実的な施策とはいえません。

従業員の負担が大きすぎて退職をしたり、体調を壊したりすることがない労働環境を作ることが重要です。生産性を高めるためには、従業員が企業にとって宝であることを認識して適正な労働環境を設定することが求められます。

複数の作業を同時進行

従業員一人ひとりの生産性を高めるために、従業員の人数を減らして1人にさまざまなことをさせているケースがあります。しかし、許容範囲であれば問題ないのですが過度に複数の作業を同時進行していると、従業員にとって負担が大きすぎることから生産性の低下につながるのです。

さらに、従業員が負担の大きすぎる職場に耐えることができず退職を余儀なくされる可能性もあり、人手不足と新たな課題に直面する可能性があります。場合によっては、複数の作業を同時進行することで生産性が上がる可能性がありますが、普段から同士進行が必要である仕組みを作ってしまうとさまざまなリスクが生じます。

必要な要素を削減

生産性を高めるために、業務効率化をしようとしすぎて人員やコストなど必要な要素まで削減するとかえって逆効果です。業務効率化をする場合は、業務に必要な部分と不要な部分をはっきりと見分けることが重要です。

生産性を高めるための方法

生産性を高めるためには、次の方法が挙げられます。

  1. 関連する情報を可視化する
  2. 従業員のスキルアップ
  3. ICTツールを活用する
  4. 業務効率化をする

関連する情報を可視化する

生産性を高めるためには現状の把握をすることが重要です。企業におけるあらゆる業務を可視化したうえで、現状ある課題やボトルネックの存在などを明確化してください。企業全体で取り組むことが重要であり、経営者や管理者、従業員一人ひとりの意見を聞くことでより具体的な現状把握が可能です。

従業員のスキルアップ

生産性を向上するためには従業員一人ひとりのスキルアップが必要不可欠です。一人ひとりが短時間で成果を出せるように、研修や面談など施策を続けることが求められます。企業によっては、新人研修以降はスキルアップの場をあまり設けない場合がありますが、企業によって生産性を高めるためには従業員のスキルアップが重要です。

ITツールを活用する

デジタル技術を導入することで、生産性を改善できる可能性があります。例えば、これまで従業員がおこなっていた業務をITツールが進めることで、ヒューマンエラーや従業員の負担が減ります。従業員は空いた時間でコア業務に集中することで生産性の向上が期待できるのです。

さらに、ITツールを導入することでペーパーレスとなり、印刷代や郵送代、紙代、さらに人件費の削減ができるなどコスト削減につながります。コスト削減をすることで従業員を採用したり新たにツールを導入したりすることで、生産性の向上に繋がる可能性があります。

まとめ

生産性とは成果÷経営資源であり、企業はいかに少ない経営資源で高い成果を出すかが求められます。しかし、決して従業員やコストを削減したり、従業員一人ひとりに無理な労働をさせることが適切な生産性向上を達成するための方法とはいえません。業務効率化やツールを活用するなど生産性を高めるための工夫が必要です。

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