- 営業戦略
プロダクトアウトとは
プロダクトアウトとは、企業の技術や思想を軸とした商品を市場に出す販売戦略のことです。大量生産が主流のときに生まれた販売方法ですが、ユーザーのニーズに合わない可能性があります。しかし、市場商品ありきでの販売戦略であるため、自社の強みを最大限に活かせるのが特徴です。もし、戦略が成功した場合は大ヒットにつながる可能性があり、この商品といえばこの企業といったイメージ作りにつなげられます。
プロダクトアウトとは
プロダクトアウト(product out)とは、企業が良いと判断した商品を市場に展開することをいいます。ユーザー課題を解決したり、ニーズを満たしたりできる商品を市場に展開するマーケットインとは対義語です。プロダクトアウトは企業の強みや特徴に沿った商品開発をすることから、他社と差別化をした商品が生まれやすいのが特徴です。しかし、ユーザーのニーズに合わず受け入れられない場合があります。
プロダクトアウトは、これまで世の中になかったような革新的な商品であるケースも多く、商品を使うことによってユーザーが潜在ニーズに気が付く可能性もあります。主なプロダクトアウトとしてApple社のiPhoneが挙げられます。
プロダクトアウトは、マーケットインと比べて開発した商品がユーザーのニーズに合わない可能性があります。しかし、大ヒット商品や定番商品につながっているのはプロダクトアウトにおいて開発された商品がほとんどです。このため、プロダクトアウトには、マーケットインとまったく違った部分においてメリットがあります。
プロダクトアウトのメリット
プロダクトアウトには次のようなメリットが挙げられます。
- 企業の強みを生かしやすい
- コストを抑えられる
- 大ヒットを生む可能性がある
- 独占的な市場を生み出す可能性がある
企業の強みを生かしやすい
プロダクトアウトとは、企業が良いと判断した商品やサービスを開発することです。そのため、企業の強みを活かすことが基準となることが一般的です。企業独自の技術やアイデアを活かすことにより、競合他社がまねできないような用品を作ることができ差別化を図れます。もし、多くのユーザーを獲得できればこの商品といえばこの企業といったブランドイメージを確立することも可能です。
コストを抑えられる
企業が持っている技術や強みを活かすため、新しい部門を作ったり市場調査をしたりする必要がありません。そのため、コストを抑えられるメリットがあります。市場調査や部門設置などのコストや時間を、商品開発にかけることが可能です。
大ヒットを生む可能性がある
ユーザーのニーズにあった商品を開発しようとすると、競合他社と内容がかぶる可能性が高くなります。しかし、プロダクトアウトの場合は企業の強みを優先した商品の開発方法であり、これまでになかったような商品の開発につながったケースは少なくありません。
独占的な市場を生み出す可能性がある
プロダクトアウトを基に製品を開発することで、独占的な市場を生み出せる可能性があります。自社の技術や強みを最大限に活かして開発することにより、競合他社に対してイニシアチブを取ることが可能です。
プロダクトアウトの注意点
プロダクトアウトの注意点には次のようなものがあります。
- 開発した商品がニーズに合わない可能性がある
- 修正に費用がかかる
開発した商品がニーズに合わない可能性がある
プロダクトアウトの考え方であれば、企業の良しとする商品を開発することからユーザーのニーズに合わない可能性があります。そのため、売り上げ予想に対して大きく下回ることは少なくありません。
修正に費用がかかる
ユーザーのニーズにまったく合わず方向修正が必要になった場合、大幅な修正をする場合はコストがかかることがあります。さらに、費用だけでなく時間も無駄になることを考慮することが必要です。
プロダクトアウトの種類
プロダクトアウトは、次のように観点によっても異なります。
- 製品開発におけるプロダクトアウト
- 販売戦略におけるプロダクトアウト
製品開発におけるプロダクトアウト
製品開発においてのプロダクトアウトの場合は、企業の技術力や発想、ノウハウを基に製品を開発する方法です。企業はこれまであるような製品と比べて、さらに高いスペックが高く機能性のある製品作りをします。
しかし、ただスペックが高いだけの製品を開発するとユーザーのニーズに合わない可能性があります。そこで、ユーザーの課題を企業が持つ技術によって解決できる製品を開発するのです。ユーザーのニーズを無視してスペックや技術だけを求めると、プロダクトアウトの失敗例となってしまいます。
販売戦略におけるプロダクトアウト
販売戦略においてのプロダクトアウトとは、在庫を抱えている状況などで売らなければいけない製品を売ることをいいます。つまり、製品はすでに開発されており、その製品をどのように販売するのかを考えることが必要です。
プロダクトアウトの重要性
プロダクトアウトは次のような点において重要であるといえます。
- 他社との差別化
- 定番化
- 商品を頻繁に変えられない産業での対策
他社との差別化
プロダクトアウトを進めることにより、企業の技術や特色を最大限に活かすことから他社との差別化につながります。例えば、食品を生産している企業であれば特定の品目を長期間生産していることから、ユーザーのニーズに合わせるのではなく徹底的に同じ品目を追求することで他社との差別化を図ることが可能です。
定番化
マーケットインはユーザーのニーズに合わせて商品を開発することから、定番化するのは容易ではありません。定番化した商品を作ることにより、長期間にわたりユーザーに信頼され愛着を持ってもらえることが期待できます。つまり、商品が定番化することは顧客ロイヤリティにつながることも少なくありません。
商品を頻繁に変えられない産業においての対策
産業によってはユーザーのニーズに合わせて頻繁に作成する商品を変えられない場合があります。例えば、農業者は特定の品目を何年も追及して作ることが一般的です。
農業者が簡単には品目を変えられないということである。農産物であればある程度品目を変えられるかもしれないが、果樹であれば「桃栗3年、柿8年、柚子の馬鹿めは18年」とも言われるように、簡単には品目を変えることができないのが現状である。ではどうすれば良いか?ここで筆者が提言したいのが「徹底的なプロダクト・アウト」である。生産者は意図してか意図せずか、ある品目をずっと生産してきておりその品目のプロと言っても過言ではない。
引用:「プロダクト・アウト」と「マーケット・イン」6次産業化に必要なのは?(一般社団法人日本食農連携機構)
このように、そもそもユーザーのニーズにあわせて商品を変えられないような業界もあります。この場合は特定の商品を長期間にわたり追求しており、専門家といって過言ではありません。徹底的にプロダクトアウトを進めることによって、ブランディングすることにつながります。
まとめ
プロダクトアウトは企業の強みを活かした商品を開発して市場に出すことです。企業の強みがあることで市場において優位性を持てる可能性があり、大ヒットにつながることがあります。さらに、これまでにまだ出回っていないような新しい市場を立ち上げられ、先行者利益につながることも期待できます。ユーザーや市場のニーズに合わないことがありますが、ユーザーの潜在的なニーズを開拓して市場を独占することによりブランディングできる可能性のあるのがプロダクトアウトの特徴です。