- 経営戦略
POCとは(Proof of Conceptとは)
POC(Proof of Concept)とは新事業や新商品を導入する前に、短期間で新しい事業を立ち上げるべきか検証をすることをいいます。
ユーザーニーズやビジネス市場は常に変化しており、新規事業を始める必要性が高まっています。また業務の効率化を進めるため、デジタル化するケースも増えています。しかし、それらが必ずしも成功するわけではなく、結果的にかえってコストや手間がかかってしまうこともあります。
そこでPOCで投資判断をすることで、費用対効果や新しい事業をするべきかどうかを判断することが重要になっています。
POCとは(Proof of Conceptとは)
POC(Proof of Concept)とは、新たに検討されている理念やアイディアなどがどのような効果があるのか、実現できるのかなどを実証していくことです。以前は大きな金額の投資が必要な映画業界、製造業界などで導入されていました。
ITにおけるPOCとは、プロダクトやサービスなどを開発するにあたって試用版を作成することにより検証していきます。実際に運用する環境で検証して、運用が先行するかどうかを確認します。POCは本格的に運用を開始したあと、損失をするリスクを減らし投資判断をしないための判断材料になります。
IT以外にも新商品を開発したときにテスト販売やモニター募集をすることもありますが、これらもすべてPOCです。このようにPOCをおこなうことで本格的に始める新しい事業やシステムの導入の前に、試してみることで失敗するリスクを減らすことができます。
また試作品に対して、ユーザーの声を取り入れ改良することもできます。
POCの目的
POCには以下の3点の目的が挙げられます。
- 具体性の確認
- DX導入への準備
- 新事業のリスク軽減
経費削減
POCを導入することにより、リスクを最小限にすることから経費削減につながります。POC自体は必要最低限に収めることにより、多額の費用としないことがほとんどです。
またPOCを実施した結果、開発を止める可能性もあります。その場合無駄な環境構築をしないことにより、コスト削減になります。
新事業だけではなく、企業を経営するうえで重要な要素の1つが費用対効果です。もし商品が売れても費用対効果が悪ければ、続けてその商品を売ることはできません。そのためPOCを通して、導入後にどれほどの費用対効果が得られるか判断することが大切です。
具体性の確認
POCは実際にシステムや製品を導入したときの環境と同じようにすることで、具体性の確認ができ、必要なデータを集めることができます。また商品の試作品を作ってユーザーに試してもらうことで、ユーザーの声を反映して実際に製品を売り出すときに改善をすることができます。
あまりにも課題が残る場合はさらにPOCを重ねることにより、より改善した状態で新製品の発表ができます。
DX導入への準備
さまざまな業種や業務内容にDXが導入されているのですが、必ずしも効果が出るとは限りません。そこでPOCを短期間で導入し効果を測定をします。このようにPOCをおこなうことにより、DX導入への準備をすることができます。
特に初めてDXを導入する場合、効果を予測するのが難しい場合があります。そこでPOCをおこなうことにより、DX導入の効果予測を容易にすることができます。
新事業のリスク軽減
新規事業を導入するうえで、POCを導入することで効果があるのか、不足している点があるのかなどを把握することができます。また、試作を作ることによって前もってユーザーに利用してもらい評価をもとに改善することも可能です。そのためPOCの導入はリスクの軽減をすることにつながります。
PoCの手順とは
POCを導入するためには、以下のような手順を踏むことが大切です。
- POCを導入する目的の設定
- 検証の設定
- 実証
- 効果測定
POCを導入する目的の設定
POCを導入するための目的を明確にする必要があります。新しい商品やシステムを作り出すうえで実現できるのかどうか、効果測定するためにはどのようなデータが必要なのかをPOC導入前に明確にしておく必要があります。
本格的に商品やシステムを導入するゴールをまず設定して、そのゴールを達成できるかどうかを判断する必要があります。POCはそのために必要なもので、POCを設定する目的は本格的に商品やシステムを導入する目的につながっていることが大切です。
検証の設定
POCを導入する目的を設定したら、次に具体的な実施内容を必要最小限の内容で構築します。例えば、IoTシステムであれば、必要なセンサー類を最小限準備して解析していきます。しかし、必要最低限とはいえ実際の使用環境に近い状態で検証をすることが重要です。
実証
POCを導入する目的や検証方法を決定し、実証していきます。最低限の内容とはいえ、実際にシステムや製品を導入することを前提とすることにより、適切なデータを集めることができます。
効果測定
POCを導入したあとに、どれほどの効果があったのか、また本格的に運営するべきかどうかを測定することが大切です。最終的にこの効果測定をもとに、新しい事業を始めるかどうか判断します。
もしPOCの結果で大きな問題が出た場合、システムの構築をしなおして再度POCをおこなう必要が出る場合もあります。
POC導入に大切なこと
さまざまなケースでPOCが導入されていますが、共通して大切なことは以下の2点です。
- 小規模に進める
- 実際に利用される環境に近づける
小規模に進める
POCは小規模で実施することにより、費用や手間を抑えて素早く検証の成果を出すことが大切です。POCはあくまで実際のシステムや製品の効果を確認するための方法で、POCで成功することが一番の目的ではありません。
またPOCで成果が出ない場合、課題が見つかった場合は早めに切り替えて再度POCをしたり、開発自体を止める判断をする必要があります。
実際に利用される環境に近づける
POCは小規模におこなうことが大切ですが、実際に利用される環境に近づけないと必要なデータを得ることができません。例えば試作品を作るのであれば、ターゲットとなるユーザーのデータが必要になります。
このように実際の環境に近くなければ、POCをする意味が低くなってしまいます。もし仮にPOCで失敗をしても、次に活かすことができます。何度もPOCを繰り返すことにより、よりサービスが改善される場合もあります。
しかし、あまりに回数を重ねすぎるとプロジェクトの遅延にもつながるのでPOCの精度も必要になります。
まとめ
デジタル化が進んでおりIoTやAIなどの技術を駆使したシステムが増えてきました。しかし、必ずしもデジタル化が成功するとは限りません。IT化するためには、高額なコストや手間がかかるため、できるだけリスクを減らす工夫が必要です。
そこで導入されているのがPOC(Proof of Concept)であり、新たに導入しようとしているシステムや事業を実証することにより効果測定やユーザーの反応を確認することができます。
そのため本格的に事業を始める前によりよい状態に改善することができ、POCは新事業やシステム導入をするうえで欠かせないものとなっています。