- マーケティング
ペルソナキャンバスとは
ペルソナキャンバスとは、マーケティングに使われる概念であり、ペルソナ設定の際に用いられるフレームワークのひとつです。ペルソナキャンバスを活用することで、より具体的、かつ、ブレのないペルソナを設定できます。
ペルソナキャンバスとは
誰に売るかが重要な今の時代、ペルソナ設定が曖昧だと顧客に刺さる商品開発はできません。そこで用いられるフレームワークのひとつがペルソナキャンバスです。
ペルソナシートの進化系ともいわれているペルソナキャンバスは、8つすべての項目を埋めることで商品を売る相手を具体的に設定できます。8つの要素を1枚にまとめることでペルソナの全体像を把握でき、プロジェクトの進行とともに各要素を1つずつ更新することも可能です。
ペルソナキャンバスの8項目
ペルソナキャンバスは8つの要素で構成されています。埋める順番に決まりはありませんが、下記1〜8の順に考えるとスムーズです。
- 課題・悩み・ゴール
- シチュエーション
- 成果・目的
- 得たい感情・得たくない感情
- 現在の解決手段
- 支払い意思
- 好きなメディア
- プロフィール
1.課題・悩み・ゴール
商品やサービスをつくる際、まずは顧客の悩みや課題の把握が必要です。解決すべき問題を把握したうえで、どのような商品およびサービスが必要であるかを決定します。
2.シチュエーション
解決すべき課題と悩みがみえたら、その問題がどのような状況や場面で発生するかを考えます。ハンドクリームであれば、乾燥しやすい冬場もしくは日々の炊事や水仕事での手荒れといったことです。
3.成果・目的
成果・目的とは、商品およびサービスを利用することにより顧客が求めているものを指します。どのような目的を持って商品を購入し、どういった成果を求めているかを具体的に洗い出します。ハンドクリームを例にすると、手の乾燥を改善し手荒れを防ぐことが顧客の考える目的・成果です。
4.得たい感情・得たくない感情
成果・目的は、商品やサービスにより得られる効果・メリットを指しますが、ペルソナキャンバスでは内面的な感情についても設定します。
得たい感情は、ハンドクリームを使用することで手の乾燥が緩和して嬉しいという気持ちや他者から手が綺麗だと褒められたいという感情が挙げられます。
得たくない感情は、ハンドクリームの効果が感じられずお金を無駄にした、あるいは他者から香りを指摘され残念な気持ちになるといったことです。
5.現在の解決手段
悩みや課題の解決において、現在顧客がどのような商品を用いているかを洗い出します。ハンドクリームを例にすると、競合他社や流行の商品などを具体的にリストアップします。
6.支払い意思
支払い意思とは、顧客が商品やサービスに対しどれほどの金銭を支払う意思があるかを指します。競合他社や現在人気を集めている商品の価格帯の調査だけでなく、市場調査の実施も効果的です。
7.好きなメディア
商品購入を想定している顧客が、普段どのようなメディアを利用しているかを考えます。SNSやテレビ、ラジオ、ネットニュース、新聞、雑誌といったものが一般的です。SNSであれば、Instagram、Facebook、Twitter、YouTubeなど具体的なところまで考えるのが重要です。
8.プロフィール
7つの項目を埋めたら、それらをふまえて具体的な人物像を設定します。名前、性別、年齢、職業、家族構成、居住地といった基礎的な情報だけでなく、趣味や日頃の悩み、価値観といった内面的な詳細までを考えます。具体的な人物モデルを設定し架空の顧客を作り上げるのがポイントです。
ペルソナとは
ペルソナキャンバスについて解説しましたが、ペルソナそのものを理解しておかなければ意味がありません。商品やサービスを提供するターゲットをさらに具体的にしたものをペルソナと呼びます。
ペルソナと混同されるものにターゲットがあります。ペルソナとターゲットの違いは、対象の範囲です。年代や性別など広い範囲を指すターゲットに対し、ペルソナは職業や趣味、悩みといった詳細までを考え架空の人物を作り上げることを指します。
ペルソナとマーケティングの関係性
今やペルソナ設定はマーケティングに欠かせない手法のひとつです。ここからは、ペルソナとマーケティングがどのように関わっているのかを解説します。
- ペルソナ設定の目的
- ペルソナ設定のメリット
- ペルソナ設定の盲点
ペルソナ設定の目的
商品やサービスの開発ともなると、プロジェクトに関わる人数は多数です。場合によっては社外のスタッフが関わることもあります。
そのため、チーム全員がプロジェクトのゴールや全体像、ビジョンを把握しておかなければ間違った方向に業務が進んでしまい円滑な進行ができません。ペルソナを設定しておくことで、プロジェクトメンバー全員が同じ認識を持ち、具体的なイメージを持ったまま各業務を遂行できます。
また、ペルソナを設定していればペルソナに合わせた具体的なマーケティングを展開できるため、顧客に刺さるアピールを考えられます。
ペルソナ設定のメリット
ペルソナの設定で得られるメリットもあります。今回はペルソナ設定で得られるメリットを3つご紹介します。
- チーム内での認識共有・指針の明確化
- 具体的なニーズを把握できる
- ユーザー視点で考えられる
チーム内での共通認識を保てる
ペルソナを用いて具体的な顧客像を設けることで、プロジェクトメンバー内で認識のズレを防げます。ゴールや指針となるものがなければ、部署間での小さな認識のズレとなり最終的に大きな相違へと発展してしまいます。ペルソナを設定していれば、認識相違があった場合も最小限で抑えられるほか、軌道修正もスムーズに進められます。
具体的なニーズを把握できる
ペルソナはターゲットとは異なり、実在レベルで顧客モデルをつくるのが特徴です。そのため、顧客の求める理想を具体的に把握できるだけでなく、より深く刺さる商品開発が可能です。
ユーザー視点で考えられる
具体的なニーズを把握できるということは、ユーザー視点で物事を考えられることにもつながります。商品開発においてはもちろんですが、マーケティングの展開においても同様です。
数あるメディアのなかでどのような広告の打ち出し方が効果的か、SNSではどのプラットフォームがより多くの目に触れるかというように、商品開発やその後の展開においてもユーザー視点での考え方がおこなえます。
ペルソナ設定の盲点
ペルソナ設定にはメリットや期待できる効果が多数あります。ただし、デメリットや欠点がないわけではありません。なかでも忘れてはいけないのが、ペルソナは仮想、想像であることです。
時間をかけて詳細に作り上げたペルソナが、実際のユーザー層に深く刺さると大きな利益をもたらします。しかし、想定していたユーザー層と異なってしまった場合、大きな損失を生み出す恐れもあるのです。
この欠点を回避するには、仮説だけでなく実際の声を確認できる市場調査を取り入れたり、定期的にペルソナキャンバスを見直し更新したりすることが重要です。
ペルソナ設定の注意点
ペルソナキャンバスを作成するうえでとくに注意すべき点を3つご紹介します。あらかじめ注意すべき点を把握しておくことで、プロジェクトの失敗や遂行における大きな修正を防げます。
理想像にならないようにする
ペルソナの作成においてもっとも避けたいのが、企業側にとっての理想的なモデルを作り出してしまうことです。企業側にとって都合の良い人物像を作り出してしまっては、プロジェクトの失敗は避けられません。
ペルソナキャンバスの第一歩となる課題、悩み、ゴールを明確にし、企業目線ではなくユーザー目線での考え方が必須です。
定期的に見直して更新する
はじめに作成したペルソナキャンバスは、あくまでもステップ1です。企画や開発を進めていくにつれ、新たな気づきや矛盾を発見した際は更新します。
定期的に8項目それぞれを見直すことで気づけることもあります。少しずつ精度を高めていくことで、より顧客の問題を解決できる商品開発へとつながります。ただし、中身のない更新や入れ替えをしてしまうとペルソナが定まらずゴールがブレてしまうため注意が必要です。
市場調査を取り入れる
企業側にとって都合の良い理想像にしないためには、ユーザーのリアルな声を取り入れるのが効果的です。コストはかかりますが、インターネットを利用したアンケートなど市場調査を実施することで現実的な意見を取り入れられます。
まとめ
近年のマーケティングにおいて、ペルソナは欠かせない概念のひとつです。これまでは何を売るかが重要視されていましたが、これからは誰に売るかこそが最重要です。
誰に売るかを考えるために役立つのがペルソナキャンバスです。8つの要素に分割されたペルソナキャンバスを活用することで、より深いペルソナを設定できます。ニーズの芯をとらえ、顧客に深く刺さる商品・サービスを生み出してください。