2022.05.26

オープンイノベーションとは

オープンイノベーションとは自社のリソースだけでなく、他社や他分野の組織から知識と技術を取り入れ、新たな価値を生み出すことです。

これまで多くの企業は競合との差別化や優位性のため、自社のみでの開発をおこなってきました。しかし近年、開発技術の水準が高まったことで差別化が困難になったうえ、自社だけで競合優位性を持つ商品を制作することがむずかしくなっています。

さらに、環境変化の激しさや不確実性が不安視されるようになったため、革新をもたらすオープンイノベーションが多くの組織から注目されています。

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オープンイノベーションとは

オープンイノベーションとは自社が保有しているノウハウや技術だけでなく、分野を超えた組織の強みを活用し、新しい価値をつくりだすことです。

自社だけのオリジナル製品をつくることも大切ですが、それでは開発までに時間がかかる、コストの負担が大きくなるといった問題が生じます。他社と協力することで足りない部分を補うだけでなく、開発までの時間を短縮することが可能です。

また、環境の変化が激しく、先の未来が予測できないなか、企業を存続させるためには新たな変革をもたらす必要があります。自社にないノウハウや技術を取り入れることで、今までにない変革をもたらす可能性があるので、オープンイノベーションは非常に重要なものです。

オープンイノベーションが注目される背景

オープンイノベーションが注目されることになったのは、VUCA(ブーカ)の時代が到来したためです。VUCAとは以下にある単語の頭文字からなるビジネス用語であり、変化が激しく、先の見えない時代のことを指します。

  • Volatility(変動性)
  • Uncertainty(不確実性)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性)

不確実性の時代を生きていくうえで、既存の商品やサービスだけでは不安が残ります。明るい未来を目指すには、新たな価値を生み出す必要があるためオープンイノベーションが注目されているのです。

そのほかにも以下のような背景があります。

  • 顧客のニーズが多様化している
  • 製品ライフサイクルの加速

現代は情報過多な社会であり、多くの人のニーズが満たされるようになっています。そうなると価値観やニーズは多様化し、既存のもので満足できない人が多くなるはずです。人から求められる商品やサービスの質は高まるため、新しい価値を生み出す必要があります。

また、製品ライフサイクルとは新しい商品やサービスが世のなかに普及してから、消費者の需要がなくなるまでの過程を意味します。製品ライフサイクルが早くなると、開発スピードの加速が求められるようになるため、1社の技術力だけで対応することはできません。

クローズドイノベーションとの違い

クローズドイノベーションとは、自社の知識や技術力のみで革新や開発をおこなうことで、オープンイノベーションとは真逆の意味を持ちます。クローズドイノベーションにはオリジナルの強みを生み出せるというメリットがある一方で、開発が閉鎖的である、会社が成長しづらいといったデメリットもあります。

日本における現状

革新をもたらす国はアメリカや中国など海外のイメージが強いかもしれませんが、日本でもオープンイノベーションに取り組み始めている企業は多く存在します。年々その数は増加していますが海外の国々に比べるとまだ実施している企業の数が少なく、不十分です。

そのため、一刻も早く、より多くの日本企業がオープンイノベーションに取り組むことが期待されます。

オープンイノベーションの種類

オープンイノベーションには種類があり、以下の3種です。

  • インバウンド
  • アウトバウンド
  • 連携

インバウンドとはオープンイノベーションの活動において、外部の知識や技術を積極的に取り込み、自社の力を底上げするものです。一方、アウトバウンドは外部に自社の知識や技術を提供し、アイデアを集めるといったものになります。

どちらにも良さはありますが、インバウンドとアウトバウンドを組み合わせたハイブリッド系が連携です。会社ごとに取り組むオープンイノベーションは異なるため注意する必要があります。

オープンイノベーションのメリット・デメリット

オープンイノベーションのメリット

新しい価値を生み出すところだけがオープンイノベーションのメリットではなく、ほかにも利点は多々あります。

メリットは以下のとおりです。

  • 低コストでの事業展開ができる
  • 外部の新しい知識や技術を取り入れることができる
  • 多様化するニーズに対応できる

外部と連携して商品の開発をおこなうことにより、役割分担して作業することが可能なためコストや時間を削減できます。連携の際、外部の情報を知ることができれば、自社の開発技術では不可能なことを実現することも可能です。

さらに、価値観が多様化するなか、他者との協力で新しい価値を生み出すことにより、独自の力ではどうすることもできない顧客のニーズに対応できるようになります。

オープンイノベーションのデメリット

オープンイノベーションにはメリットが多々ある一方で、デメリットもいくつか存在します。

主なデメリットは以下の3点です。

  • 会社の技術力が低下する可能性がある
  • 自社の知識や技術が外部に漏れる可能性がある
  • 他社とのコミュニケーションにコストがかかる

他社との連携により自社の情報が流出してしまうことや、外部の技術に頼りすぎてしまい、自社の開発技術が低下するといった危険が予測されます。

また、交通費や人件費など、ほかの組織とのやり取りにお金がかかる場合もあり、開発以外の部分でコストが発生するという問題も生じます。

オープンイノベーションの実現に向けて必要なこと

オープンイノベーションは企業の売上アップや技術力の向上を目指すことができますが、短期間で実現できるほど簡単ではありません。

オープンイノベーションの実現に向けて、下記2点をおこなう必要があります。

  • 組織の見直し
  • 目標の明確化

これまで多くの企業は自社での商品開発に取り組んできました。そのため、他社との連携やコミュニケーションに対応できる体制が整っていないはずです。オープンイノベーションの実現には組織の体制を見直す必要があります。

また、オープンイノベーションを実現するためには目標を明確化することも重要です。目的を定めずに他社と連携したところで、何も効果は生まれません。自社が何を生み出したいのか念入りに考え、目的達成に向けての道筋を導き出すことが必要です。

オープンイノベーションの事例

P&G(The Procter & Gamble Company)とは、ベビー用品や洗剤。化粧品などの商品を世界中で販売する大手企業です。

P&Gは2000年ごろからオープンイノベーションを開始しています。2021年3月には会社の開発テーマを誰でも閲覧できるよう公開し、世界中からさまざまなアイデアを募集していました。

集めたアイデアとP&Gの技術力を組み合わせることで、革新的な商品を生み出すことが可能になります。

参考:なぜ博報堂やP&Gが「オープンイノベーション」に取り組むのか(ZUU online)

まとめ

オープンイノベーションは自社の力だけでなく、ほかの組織の知識や技術を取り込み、新たなものを生み出すことを意味します。その背景には現代の環境が不安定であり、変化が激しいことが挙げられます。

低コストで事業を展開できること、多様化したニーズに応えることができるなどのメリットがある反面、会社の技術力の低下や情報が漏れる可能性があるといったデメリットもあります。

日本でもオープンイノベーションの普及は進んでいますが、海外に比べるとまだ不十分であるため、今すぐにでも多くの日本企業がオープンイノベーションに取り組むべきです。

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