2022.10.05

ノーススターメトリック(North Star Metric)とは

North Star Metric(ノーススターメトリック)とは、企業におけるプロダクトの成長に必要不可欠な指標のことです。長期的な目線で、業績の動きを把握するために用いられます。

市場データを参考にすると自社にとっての明確な目標設定ができないことが起こり得ますが、ノーススターメトリックを設定することで企業全体の目標を集中し、会社全体での目標達成における意識の統一を可能にします。

ノーススターメトリック(North Star Metric)とは

ノーススターメトリックとは、プロダクトをより確実に成長させるための指標として設定されるもののことです。売り上げに直結するものとして、顧客へ提供する価値を表したうえで計測できる指標になっている必要があります。

ノーススターメトリックの由来は、北極星です。北極星は、地上のどこから見ても常に変わらない位置にあります。そのため、古い時代から指標として活用されてきました。指標としての北極星に着目し、企業における正しい方向性を全部署が把握できるようにしたのがノーススターメトリックです。

なぜノーススターメトリックが重視されるのか

ノーススターメトリックを設定することで、企業全体が同じ目線で目標に向かえるようになります。

市場や大手企業のデータを参考にしてしまうと、どうしても自社の目線から遠ざかってしまいがちです。自社に置き換えた明確な目標設定ができないと、従業員がバラバラの方向に進んでしまうかもしれません。ノーススターメトリックを設定することで、企業全体の目標を一点に集中させ、全従業員、全部署での目標達成における意識を統一できます。

また、ノーススターメトリックは、マーケティング戦略をシンプルにする効果があります。自社が定める目標が1つに定められれば、部署ごとの特性さえ把握しておければ目標設定自体は容易になります。戦略を立てるといった観点に特化しているものの、目標設定を簡略化できるのは大きなメリットです。

ノーススターメトリックの例

以下に挙げるものは、身近な​​ノーススターメトリックといえます。

サブスクリプション 会員数、閲覧時間、視聴時間、アクティブユーザーの数
電子マネー 運用資産の総額、アクティブユーザーの数
SaaS トライアルアカウントの数、継続率、月次の収益
LINEなどのコンシューマーテクノロジー デイリーでのメッセージ送信数、アクティブユーザーの数
ECサイト デイリーでの購入額、新規顧客数、顧客生涯価値

KGIやKPIとの違い

ノーススターメトリックとKGI、KPIとの違いは、指標としての地点にあるといえます。ノーススターメトリックと同じく、企業における指標として活用されるのがKPIとKGIです。

  • KGI:最終目標を表す言葉(重要目標達成指標)
  • KPI:KGIの達成に必要な売上や収益(重要業績評価指標)

企業における最終目標がKGIであるのに対し、KGIの達成に必要なものがKPIとされています。ノーススターメトリックは、KGIとKPIの間に位置する指標です。

ある製品の売り上げアップをノーススターメトリックとすると、まずKGIが「製品の売り上げアップを通じ、市場への認知度を高める」のように設定されます。

上記のKGI達成がノーススターメトリックの役割だとすると、ノーススターメトリックの達成には以下のようなさらに細かい目標設定が重要です。

  • 売り上げアップにつなげるためにまずはSNSマーケティングを通じて認知度を高める
  • 広告を出稿してWeb媒体での認知度を拡大する
  • 既存製品に新たな付加価値をつけ、今回売り上げをあげたい製品への興味につなげる

上記はあくまで例ですが、これらがノーススターメトリックの達成に必要なKPIということになります。わかりやすく並べると、以下の順で達成していくのが一般的な流れです。

  1. KPI
  2. ノーススターメトリック
  3. KGI

ノーススターメトリックは、KGIとKPIをよりわかりやすくするための指標だといえます。

ノーススターメトリックの決め方

ノーススターメトリックを決める際は、ビジネスにおいて企業が求めるべきことを考え、判断します。企業にとっての柱とも考えられるノーススターメトリックさえ定めておけば、たとえ何らかの理由でビジネスが失敗しても、立て直すことが可能です。

ノーススターメトリックに関連するKGIとKPIを設定することも重要です。KGIとKPIを設定してから、ノーススターメトリックを決める場合もあります。具体的な目標とそれに伴う戦略を立ててください。

ノーススターメトリックにおいて重要なポイント

ノーススターメトリックを定める際は、以下に挙げるポイントについて理解しておくことが大切です。

  1. ノーススターメトリックは一点のみ
  2. KGIとKPIとの関連性を意識する
  3. 上昇の見込める指標として設定する
  4. PDCAサイクルを実施する

ノーススターメトリックは一点のみ

後に触れるKGIやKPIとの関連性がブレないよう、あくまで大きな指標として一点のみに定めておく必要があります。ノーススターメトリックが複数になってしまうと、企業全体での目標設定におけるブレが生じてしまいます。

KGIとKPIとの関連性を意識する

ノーススターメトリックは、あくまでKGIとKPIに関連したものでなければなりません。KGIを達成するためにノーススターメトリックがあり、ノーススターメトリックの達成にKPIが必要であるという、それぞれの関係性についてまずは理解しておくことが大切です。そのうえで、ノーススターメトリック、KGI、KPIに関連性をもたせ、達成に向けた動きを明確化してください。

上昇の見込める指標として設定する

ノーススターメトリックは、ただ漠然とした指標として立てても意味がありません。何らかの施策を講じることで、上昇することが見込める指標にする必要があります。高い目標を立てることが悪いわけではないものの、あくまで上昇の見込みがある指標として設定しなければ現実的な達成は見えてきません。

PDCAサイクルを実施する

一度ノーススターメトリックを含めた目標を達成したからといって、そこで止まってしまっては企業としての成長は見込めません。以下のPDCAについて理解し、見直しつづけることが大切です。

  1. ノーススターメトリックとして設定する指標
  2. KPIとKGI
  3. KPIとKGIの達成につながる施策

一度設定したノーススターメトリックが、最初の段階から効率的に企業にメリットを与えることはほとんどありません。定期的なブラッシュアップを経て、初めて企業として武器になります。ここで紹介したPDCAサイクルを意識し、自社にとって常に最適なノーススターメトリックを設定してください。

まとめ

企業における目標達成に必要不可欠な指標として活用されるのが、ノーススターメトリックです。関連用語とされるKGIやKPIについて理解することで、より自社にメリットのある指標設定が可能です。

できるだけ一点のみに注視し、上昇の見込める指標として設定することが大切です。PDCAサイクルを意識しながら、自社にとって最適なノーススターメトリックを定める必要があります。ノーススターメトリックについて理解することは、企業の方向性を全社で統一することにつながります。

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