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マイグレーションとは
マイグレーションとはシステムやデータ、ソフトウエアを移行することです。既存のシステムの要件をそのままにしてデータやソフトウエアをほかの環境に移行させたり、新しいシステムに乗り換えたりなどさまざまな手法があります。
マイグレーションはシステムや周辺の機能や性能を上げることが大きな目的です。しかし、そのほかにもDX(Digital transformation、デジタルトランスフォーメーション)の第一歩にもなります。
マイグレーションとは
マイグレーション(Migration)とは既存のシステムやデータ、ソフトウエアなどを新しい環境に移行することです。マイグレーションの対象となるのは、基盤システムやサーバー、ストレージ、情報システムなど多岐にわたります。そのため、マイグレーションをするべきタイミングは対象となるものによっても異なります。
サーバーやストレージの場合は、データ容量が足りなくなってきたときはマイグレーションをするべき1つの目安です。もし、保存しているデータが重くなりすぎて新しいデータの記録ができなくなった場合、業務に大きな支障が出ることが考えられます。さらに、ハードウェアの場合はそれぞれ保守期間が決まっていることから保守期間の期限が迫ってきた時がマイグレーションを考える目安となります。
マイグレーションとよく似た言葉に次の3点が挙げられます。
- コンバージョン
- リプレース
- エンハンス
コンバージョンとの違い
マイグレーションと似た意味の言葉にコンバージョン(Conversion)があります。コンバージョンとは、データの転換といった意味があります。つまり、新しいバージョンや環境に移行するのがマイグレーションで、異なる設計思想をもったシステムに変換するのがコンバージョンです。
リプレースとの違い
リプレース(replace)とは、現在運用しているシステムやソフトウエア、データベースなどを同等の基盤へ移行させることです。一般的に故障したときにリプレースをおこないます。
エンハンスとの違い
エンハンス(enhance)とは既存のシステムにおける機能拡張をすることによって、性能を向上させることをいいます。マイグレーションは古いシステムから新しいシステムに移行させるため、システムを新しくする方法が異なります。
マイグレーションの目的
マイグレーションには次のような目的が挙げられます。
- 2025年の壁克服
- コスト削減
- 現在のビジネススタスタイルへの対応
2025年の壁克服
経済産業省のDXレポートにおいて、2025年の壁を克服することの重要性を説明しています。2025年の壁を超えなければ年間で最大12兆円の経済損失があると予測されていますが、大きな原因となるのがレガシーシステムです。レガシーシステムを脱却するために重要なのがマイグレーションです。
コスト削減
経済産業省では、レガシーシステムを運用しつづけると2025年移行最大で年間12兆円の経済損失の恐れがあると発表しています。
経済産業省は2018年9月7日、企業のデジタル変革に関する報告書を取りまとめた。報告書では企業が抱える情報システムの課題を指摘。このままでは25年以降、年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとした。
引用:「2025年の崖」で12兆円の経済損失、経産省が報告書(日本経済新聞)
このため、マイグレーションを導入することによって老朽化や複雑化、さらにはブラックボックス化したシステムから新しいシステムに移行することによりコスト削減につなげることが可能です。
現在のビジネススタスタイルへの対応
レガシーシステムでは、最新の技術を導入できないことから現在のビジネススタイルに対応していないことが一般的です。そのため、レガシーシステムを運用することによって市場において競合についていけず撤退せざるを得ないリスクがあります。そこで、マイグレーションにより最新の技術を導入できるようにすることが重要です。
マイグレーションのメリット
マイグレーションの導入にあたって次のようなメリットが挙げられます。
- コストを抑えられる
- データの保護をしやすい
- 現行のシステムを活用できる
コストを抑えられる
マイグレーションは新しいシステムをゼロから構築するわけではなく、移行前のシステムのソースコードを始め、そのまま活用するものもあるため開発コストを抑えることが可能です。
データの保護をしやすい
サーバーやストレージが劣化することによってデータが失われる危険性があります。そこで、新しいサーバーやストレージにマイグレーションをすることによりデータの保護につながります。さらに、マイグレーションすることによって最新の機能を導入することができるため、セキュリティ面の強化も可能です。
現行のシステムを活用できる
マイグレーションはゼロから新しいシステムを構築するのではなく、これまでに培ったノウハウを活かしながら新しい環境に移行させます。そのため、移行後も従業員がスムーズにシステムを活用しやすいといったメリットが挙げられます。
マイグレーションの種類
マイグレーションには次のようにさまざまな種類が挙げられます。
- データマイグレーション
- ライブマイグレーション
- レガシーマイグレーション
データマイグレーション
データマイグレーションとは、古いハードウエアから新しいハードウエアに業務データの移行をおこなうことでデータ環境の最適化をおこなうことです。クラウドサービスを活用している場合は、サービス提供者がメンテナンスを定期的におこなっているためデータマイグレーションは不要です。
ストレージやデータベースの技術が進歩していることから、データマイグレーションをすることで効率向上が期待できます。
ライブマイグレーション
ライブマイグレーションとは、ハイパーバイザー(コンピュータを仮想化するためのソフトウェアのこと)を利用した仮想サーバーを運用している場合、ほかのハイパーバイザーで稼働している仮想サーバーに機能の移動することです。ディスクやメモをコピーするだけで、移動するのにほとんど時間はかかりません。
レガシーマイグレーション
古いシステムであるレガシーシステムからオープンシステムに移行することをレガシーマイグレーションといいます。リライトやリビルド、ラッピングなどの手法があります。
マイグレーションを導入するための注意点
マイグレーションを導入するためには次の点に注意が必要です。
- テストの重要性
- 高いITスキル
テストの重要性
マイグレーションを導入するにあたり、システムを導入したあとに不具合が起きないようにすることが重要です。そのため、さまざまな状況を把握しテストをおこなうことが求められます。
高いITスキル
マイグレーションをするためには、現在業務で使われているシステムやアプリケーションの現状を把握することが必要です。機能やデータの形式などを把握していない状況であれば、マイグレーション後にこれまで以上にシステムが機能しない可能性があります。これらのことから、特にプロジェクトマネージャーには高いITスキルが求められます。
まとめ
マイグレーションとは、ゼロから新しいシステムを構築するのではなくシステムやデータなど新しい環境に移行することです。そのため新しいシステムも構築することと比べて、コストを抑えることができ、これまでのノウハウを活かすことも可能です。さらに、完全に新しいシステムではないことから従業員が慣れるまでに時間がかからず業務効率化にもつながります。
マイグレーションは一部のみが対象となることもあれば、システム全体が対象となる場合もあります。そのため、対象となるものによってマイグレーションをするべき時期が変わるのです。