- 経営戦略
M&Aとは
M&A(Merger And Acquisition)は売り手側は経営者利益を獲得することや後継者問題の解決、また買い手側は事業拡大をすることが主な目的です。
M&Aは企業が合併と買収をすることをいいますが、それぞれ合併や買収にも手法があります。IT化やグローバル化、少子化問題などさまざまな外的要因により、市場の動きが活発になっています。これらに対応するために、今後もM&Aの動きは活発化していくと予想されています。
M&Aとは
M&A(Merger And Acquisition)とは合併と買収を意味しており、事業譲渡や合併などをあらわしています。買収する企業にとっては、人材やノウハウなどを得ることにより新しいビジネスやシナジー効果を期待することができます。
M&Aの目的とは
M&Aの目的ですが、買収する側と売却する側によって異なります。それぞれにメリットがあって、はじめてM&Aが成り立ちます。
買収する目的
企業を買収する目的には、以下のような点が挙げられます。
- シナジー効果
- 新しいビジネスチャンス
- 人材の確保
- ノウハウの確保
シナジー効果
買収をすることで買収する企業のノウハウや人材によって既存の業務の弱みを補ったり、強みをさらに強化するシナジー効果(相乗効果)を期待することができます。例えば、テクノロジーの技術をもった企業を買収することで、これまでの業務にテクノロジーの要素を加えることにより新しいサービスを展開できます。
新しいビジネスチャンス
自社にはないノウハウや実績をもった企業を買収することで、新しいビジネスチャンスになります。既存の事業はそのままで、多角的な事業を短期間で実現することができます。また地域に密着した企業を買収することにより、これまで取引がなかったエリアに進出するメリットもあります。
通常新しいエリアでビジネスを始める場合は、マーケット調査、地域の特徴、競合他社など調査するべきことが多く、時間をかける必要があります。しかし地域で結果を残している企業を買収することで、スムーズな地方展開に進められます。
人材の確保
自社で人材を育てるためには、時間も費用も必要になります。また日本は少子化が進んでおり、よい人材を採用するのがむずかしくなっています。しかしM&Aで買収することにより、人材を育てる時間を大幅に短縮することができます。
ノウハウの確保
ノウハウを確保することにより、新規事業に参入しやすくなります。技術を持った人材を採用して教育をすると時間がかかります。しかしM&Aであれば、短時間にノウハウの取得が可能であるほか、許認可や権利などを得ることも可能です。
売却する目的
企業を売却する目的には次のものが挙げられます。
- 現金化するまでの時間を短縮
- 事業承継
- 従業員の雇用確保
現金化するまでの時間を短縮
投資をした資本はすぐに現金化できるわけではありません。しかし、事業を売却することで現金化が早くなり、さらに将来性のある事業があれば価値として認めてもらえるため、現金化できる金額が増えることもあります。
事業承継
年々経営者の平均年齢が高くなっており、2015年には60.89歳だったのが2020年には62.89歳になっており、今後も高くなることが見込まれます。
画像出典:社長の平均年齢は62.49歳、高齢の社長ほど業績悪化が鮮明に 「全国社長の年齢調査」(東京商工リサーチ)
さらに年齢が上がるほど、増収は減り赤字が増える傾向にあります。増収しているのは30代以下は54.23%、70代以上は39.22%とだんだんと下がっており、逆に減収しているのは30代以下で38.57%、70代以降は48.17%です。
画像出典:社長の平均年齢は62.49歳、高齢の社長ほど業績悪化が鮮明に 「全国社長の年齢調査」(東京商工リサーチ)
高齢になるに従い赤字になる可能性が高くなり、経営者の平均年齢が高齢化しているのに後継者不足が深刻化していることがあげられます。親族などに後継者がいない場合、M&Aによる事業承継が有効な後継者不足対策の手法として導入されています。
従業員の雇用確保
企業が倒産してしまうと、従業員を解雇する必要があります。しかし売却することで、運営者は変わりますが従業員の雇用を確保することができます。またM&Aによる事業承継をすることで、職場の環境や業務内容が変わらないこともあります。
営業マンが取引先や販売店などと信頼関係を得ている場合があり、これまでお世話になったクライアントにも迷惑をかけないようにできます。
M&Aの手法とは
M&Aは買収と合併のことをいいますが、合併と買収にはそれぞれ以下のように種類があります。
買収 | 株式譲渡、事業譲渡 |
---|---|
合併 | 新設合併、吸収合併 |
買収
M&Aにおいて、買収する手法には主に以下の2点が挙げられます。
- 株式譲渡
- 事業譲渡
株式譲渡
株式譲渡とは、事業ではなく株式の一部、または全部を売却することをいいます。株式譲渡は買い手側は会社の支配権を得られることが大きなメリットです。総株主の過半数を取得していると、事実上会社の経営を支配することができます。しかし一部の株式を買収しても、他の株主に反対される可能性があります。
逆に売却側にとっては、売却益への税金を事業譲渡に比べて抑えることができます。事業譲渡の場合は50%前後ですが、株主譲渡の場合は、株主が個人の場合は約20%です。
また売り手、買い手両方にとって株式譲渡は事業譲渡と比較して、手続きが簡単であるメリットがあります。
事業譲渡
事業譲渡とは、企業の全てもしくは一部の事業を譲渡することです。株主譲渡は企業全体が対象となりますが、事業譲渡の場合は売買する事業を選択することができます。
そのため売主にとっては継続したい事業を残した状態で他の事業を売却し、会社全体の経営を立て直すことができます。そのため一部の事業の売却であれば、会社は存続できます。
また事業承継として、後継者がいない問題を解決することもできます。
買い手側のメリットとしては、買い手のニーズにあった、また将来利益が見込める事業だけを譲り受けることができます。そのため株主譲渡と違い、負債や債務を引き継ぐ必要はありません。
事業譲渡のデメリットは、経営者だけでの手続きをすることができず債権者や従業員の合意を得ることが求められます。そのため株主譲渡と比べて、事業譲渡のほうが手続きが多く時間がかかることが一般的です。
合併
M&Aで複数の企業を1つの企業にまとめることを合併といいます。合併には主に以下の2種類があります。
- 新設合併
- 吸収合併
新設合併
新設合併は合併する複数の企業すべての法人格をなくし、新たに立ち上げる法人に全ての企業の権利義務を承継する合併方法です。しかし事業の許認可を新規取得する、もしくは引き続き手続きが必要であり、さらに登録免許税が高いことからあまり利用されていません。
吸収合併
吸収合併とは、1つの企業が法人格を残して他の合併する企業は法人格をなくし、全ての企業が持つ権利を1つの企業が持つ合併のことをいいます。合併は一般的に吸収合併であることがほとんどです。
まとめ
M&Aとは企業の合併、もしくは買収のことをいいます。M&Aには、買い手、また売り手にとってそれぞれメリットがあり、M&Aをすることで企業の運営をよりよくしていくことが目的です。
そのためM&A市場は年々活性化しており、今後も活発な動きがあると予想されています。