- 経営戦略
MECEとは
MECEとは、論理的思考の概念の1つで、物事を整理する際に抜けや被りなどを抑えるための考え方です。2つのアプローチ方法としてトップダウンアプローチとボトムトップアプローチを使用します。
また、MECEでは以下の4つの観点で考えます。
- 要素分解
- 因数分解
- 時系列・ステップ分け
- 対照概念
MECEとは
MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive、ミーシー)とは、漏れなく被りなくと訳される言葉でコンサルティング業界を含めさまざまな業界で使われる思考方法の1つで、顧客の課題や疑問点を考える際に非常に役立つ考え方です。
例えばリサーチを例に挙げると、調査する項目や調査対象を漏れなく確実におこない、すべてを効率よく網羅する必要があります。そのために見落としている項目はないか、被っている項目がないかを確認や調査することで、無駄なく効率的におこなうことができます。
MECEが重要な理由
MECEが重要な理由としては、効率的に業務をおこなうためだったり、論理的思考の基礎の一つだったりするためです。
また、ビジネスで大きな問題や難しい問題と対面した時にMECEを利用すると相手に何かを説明する時に抜け漏れや被りがなくなるため相手を説得しやすくなります。
効率的に業務をおこなうため
ビジネスでは、簡単に解決できない色んな問題や疑問が多く複雑です。そのため問題や課題が大きく複雑であるほど、論理的にシンプルに物事を考えていくことが必要です。
しかし、論理的かつシンプルに事柄を考える際に物事の要素の漏れや被りがあると問題を解決できなかったり、何度も同じことを繰り返したりします。物事の抜けや漏れなどの無駄をなくしたり被りを減らしたりすることで業務を効率よくおこなうのに役立ちます。
論理的思考の基礎
MECEは論理的思考の基礎概念の1つです。論理的思考とは物事を順序よく考え、矛盾が出ないように考える考え方で抜けや漏れなくを重要視するMECEでは重要な考え方です。また、考え事をする際に主観的になってしまいがちな思考に客観性を持たせ、論理的に物事を整理する手助けになります。
MECEの考え方
実際にMECEを活用した物事の考え方にはトップダウンアプローチとボトムアップアプローチの2種類があります。どちらのアプローチ方法もそれぞれの特徴を理解し使い分けたり組み合わせたりして、補完しながら使用することが重要です。
トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチとは、全体の大枠を見てから詳細化や細分化することです。トップダウンアプローチが有益な場合は、既に知見のある分野や全体像が明確にわかる場合に有益な手段です。
トップダウンアプローチでのメリットは、全体像が想像できるため俯瞰的に物事を考えられるので、ゴールを見据えて物事を分類できます。デメリットは全体像が分からない知見のない分野を仕分けする場合では全体像が分からず漏れが発生する可能性があります。
ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチとは、トップダウンアプローチと逆の考え方で必要な要素のアイデア出しをおこなったあとにグループ分けをおこないます。ボトムアップアプローチが有益な場合は、事前にどう仕分けしていいかわからない場合や全体のイメージがわからない場合に有効です。
ボトムアップアプローチのメリットは、何もわからない初めての分野でも物事を考えるきっかけを作れる点です。デメリットは、初めての分野だと物事の仕分けの仕方を間違ってしまい抜け漏れやダブりが発生する可能性がある点です。
MECEの4つの観点
MECEを上手く利用するためには、考え方だけではなく解決したい課題や問題などの目的に合わせた観点を設定するのが重要です。
また、MECEで論理的思考をするために有効な観点として以下の4つがあります。
- 要素分解
- 因数分解
- 時系列・ステップ分け
- 対照概念
要素分解
物事を要素ごとに分解し、分解した要素を合わせて全体になるようにする手法です。要素を合わせた合計が総和になるため、足し算型や積み上げ型と呼ばれます。
因数分解
要素分解型は足し算型と呼ばれますが、因数分解型は掛け算型と呼ばれます。因数分解では、考慮したい物事を計算式で表し各要因に分解する方法を利用します。そして、因数分解は四則演算である掛け算や割り算を活用します。
例えば以下のような例が挙げられます。
- 売上 = 顧客単価 × 顧客数
- 市場規模 = 企業の売上 ÷ 企業のシェア率
因数分解では相互関係を考慮しながらさまざまな切り分けが考えられるのが特徴です。
時系列・ステップ分け
時系列・ステップ分けとは、対象となる物事を時系列や段階に分けて仕分けする方法を指します。例として、プロジェクトを立ち上げて実行する場合を考えると、以下の段階に分けて考えることを指します。
- 準備と計画
- 実行
- 評価
- 改善
対称概念
対称概念とは対象となる事柄について対称的な例をなるべく多く挙げて事柄を分解する手法です。具体的には、質と量、定額と課金、固定と変動などが挙げられます。そして、それぞれの因果関係や反対になる物事はどのようなものかといった点から考えていきます。
MECEで考える際の注意点
MECEは抜けやダブりをなくすという考えを持つ思考方法で、必ず抜けや見落としを無くせるわけではありません。そのため、抜けやダブりに注意したり物事を仕分けることを目的にしたりしないなどMECEで考えるときには注意すべき点があります。
仕分けすることを目的としない
仕分けをおこなうとすべての物事が何かしらに仕分けできると考えがちです。
しかし、MECEですべての物事が仕分けできるわけではありません。1つのカテゴリーではなく2つ3つと複数のカテゴリーに仕分けされる場合もあります。
MECEにこだわりすぎない
物事を仕分けすることばかり考えてしまうと本来の目的を忘れてしまう場合もあります。MECEは仕分けする際にあくまで抜けや漏れなどをなくすための手段です。MECEで考える必要性や物事を仕分けする目的自体を忘れずMECEにこだわりすぎないのが重要です。
重複よりも抜けや漏れに注意する
MECEは抜けや漏れをなくすための概念や考え方です。ダブっている項目は目立ちますが重複だけでなく、本来の考えである抜けや見落としがないか確認することに重点を置く必要があります。
物事や要素の優先順位をしっかりと決める
物事や要素を仕分けした際にはそれぞれで重要度や優先度が違います。そして、あまり重要度が高くなく、考慮しても無意味となる物事や要素が出てくる可能性があります。
また、主観や思い込みに左右されやすく気付かぬうちに抜けやダブりが発生してしまう可能性はなくなりません。物事や要素ごとに重要視するポイントを決め優先順位をつけるのが重要です。
まとめ
MECEとは論理的思考の概念の1つで、物事の抜けや見落としをなくすための思考方法です。MECEには、全体の大枠を見てから詳細化や細分化する方法と必要な要素のアイデア出しをおこなったあとにグループ分けをおこなう方法の2種類の考え方があります。
そして、MECEが重要な理由には、MECEを活用することで思考に客観性を持たせたり物事の抜けや被りをなくすことで業務を効率化できることが挙げられます。