2022.10.17

マーケットインとは

マーケットインは、ユーザーのニーズや課題解決を基本とした商品開発を進めることです。日本では企業が良いと考える商品であれば売れる時代が続いていましたが、インターネットやスマートフォンが普及したことによりユーザーが商品の情報を調べたり他社の商品と比較をしたりできるようになりました。一方的に企業が提示する情報を鵜呑みにするのではなく、ユーザーごとに判断できるようになったことによりマーケットインの需要が高まっていきました。

マーケットインとは

マーケットインとは、ユーザーのニーズを基準として商品開発やビジネスを進めることをいいます。マーケットインは顧客志向を意味しており1920年の大恐慌時から使われている考え方です。

近年インターネットやスマートフォンの普及率が高まったことにより、ユーザーは必要な情報を簡単に調べることが可能です。そのため、企業がどれだけ性能の高い商品を販売してもユーザーのニーズに合っていないと売れない時代となっています。

マーケットインはユーザーの立場に寄り添って商品を開発することから、ユーザーが購入する確率が上がりさらにリピーターを獲得しやすくなります。このことから、売り上げを予測しやすく開発目標を設定しやすいといったメリットがあるのも特徴です。

一方で競合他社が同じような商品を開発する可能性の高いのがデメリットです。同じような商品をさらに改良したものを開発した場合競合に負けるリスクがあります。このため、マーケットインにおいて成功させるためには、継続的な市場調査と迅速な製品開発が求められます。

マーケットインの種類

マーケットインには次のように2種類の観点があります。

  1. 製品開発におけるマーケットイン
  2. 販売戦略におけるマーケットイン

製品開発におけるマーケットイン

製品開発におけるマーケットインとは、ユーザーが持っている課題を解決できるような製品を開発していくことです。そのため、市場調査をすることでユーザーの課題を把握することが求められます。

販売戦略におけるマーケットイン

販売戦略においてのマーケットインとは、ユーザーが欲しいと考える製品を販売することです。クライアントの課題を解決するためのソリューション営業は、マーケットインの考え方を反映しています。クライアントの課題を明確にすることによって、課題を解決できるような製品を販売することが特徴です。

マーケットインのメリット

マーケットインには次のようなメリットが挙げられます。

  1. ユーザーのニーズにあった商品開発ができる
  2. リスクが少ない
  3. 開発の目標が明確にできる
  4. 売上予測をしやすい
  5. ターゲットを絞りやすい

ユーザーのニーズにあった商品開発ができる

マーケットインはユーザーの意図を基準として商品開発をするため、ユーザーのニーズにあったビジネスを展開しやすいのが特徴です。ターゲット層が持っている課題やニーズを明確にして開発するため、購入した人に満足してもらえる確率が高いため手間や費用の無駄を減らせます。

リスクが少ない

マーケットインはユーザーのニーズや課題解決を基準としていることから、商品が売れる可能性の高いのが特徴です。そのため、ビジネスとして大きなリスクを防げます。1度ファンを獲得することにより継続して商品を購入してもらったりサービスを利用してもらったりする可能性が高くなるため、将来的な売上予測が立てやすくなります。

商品の仕入れがしやすくなることで過剰在庫を減らせます。さらに、新しい商品を発表するときもこれまでよく売れている商品を参考にできます。このように、マーケットインを進めることによってリスクの少ないビジネスを展開することが可能です。

開発の目標が明確にできる

ユーザーのニーズを明確にすること、開発の目標をはっきりとさせることが可能です。そのため、商品に必要な性能や設定価格などもあらかじめ決めていけるため、無駄に開発費をかけることはありません。さらに、広告宣伝や販売方法を含めて事業全体を効率的に進められます。

売上予測をしやすい

マーケットインを進める場合において、ユーザー市場のニーズを十分に分析して商品開発をします。そのためプロダクトアウトと比較して売上の予測がしやすいのが大きな特徴です。商品を開発する段階においてある程度の売上予測を立てられることから、事業計画を立てやすくなります。

ターゲットを絞りやすい

市場調査やユーザーニーズを把握することによって、ターゲットを絞りやすくなるメリットがあります。そのため、ユーザーごとの性質に沿ったマーケティング活動が可能です。

マーケットインの特徴

押さえておくべきマーケットインの特徴には次のようなものが挙げられます。

  1. 大ヒット商品は誕生しにくい
  2. 差別化がしにくい
  3. 自社の強みとずれる
  4. 価格競争が起きる
  5. ブランディングしにくい

大ヒット商品は誕生しにくい

マーケットインを進めていく場合は、これまでユーザーが想像もできなかったような革新的な商品は誕生しにくい環境になりがちです。ユーザーのニーズを満たしている商品は、同じ業界で競争が激しくなっている確率が高くすでに似た商品が出回っている可能性が高くなります。さらに、多くのユーザーが持っている共通のニーズを基準に商品開発をしていれば、革新的な商品につながることはほとんどありません。

差別化がしにくい

マーケットインはユーザーのニーズに合わせて商品を開発することから、競合他社と同じような商品になる可能性があります。そのため、他社との差別化をするのが容易ではありません。ユーザーのニーズを満たす商品でありつつ、自社の強みや技術を含めることが重要です。

自社の強みとずれる

マーケットインはユーザーのニーズをビジネスや商品開発の軸としていることから、自社の強みとずれる可能性があります。そのため、競合他社との差別化がむずかしくなる場合があります。

価格競争が起きる

マーケットインとはユーザーのニーズが高い商品を開発することです。すでにほかの企業も同じような商品を作っている傾向にあるため、最終的には価格競争が起きる可能性があります。

ブランディングしにくい

ユーザーや市場のニーズを分析することは競合他社もしていることが一般的です。さらに、自社が持つ技術力や特徴などを活かすのがむずかしくブランディングしにくいデメリットがあります。

まとめ

マーケットインとは、ユーザーのニーズを分析したうえで商品開発を進めていく戦略のことです。長年日本では企業がいいと思う商品が売れる時代が続いており、ユーザーは企業から一方的な宣伝を見て購入する商品を選ぶ必要がありました。

しかし、インターネットやスマートフォンが普及したことによってユーザーごとに必要な商品の情報を簡単に調べる事が出来るようになりました。そこで、企業でもユーザーごとのニーズに合った商品を提供することが求められています。マーケットインを進めることによってユーザーのニーズにあった商品開発ができるため、開発の目標を明確にできるほか安定した売上が期待できます。

一覧に戻る

関連コラム