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レガシーシステムとは
レガシーシステムとは古い技術をプログラミング言語などを活用して構成されたことにより、複雑化やブラックボックス化が課題となっているシステムです。本来のレガシー(legacy)は伝統といった意味になりますが、IT業界においては時代遅れで現在のニーズに合っていないといったマイナスの意味になります。
導入から時間が経ちすぎることによって何度も修正され複雑化が進み、開発者がほとんど会社にいない状態となっているケースが少なくありません。運用や保守作業をする事においてもコストや手間がかかってしまい、早急に対応する必要があります。
レガシーシステムとは
レガシーシステムとは、オフコンやメインフレームなどにおいて、複雑化や誇大化といった課題のあるシステムのことです。開発した当時Windowsベースやオープン系のUNIXやLINUXで構築されたとしても、開発してから時間がたつことによりレガシーシステム化が発生する可能性があります。
さらに、技術者への属人化が大きな課題となり技術者が退職したあとブラックボックス化しているケースも少なくありません。レガシーシステムは運用や保守作業において、人件費をはじめとした高額なコストがかかることがあり最新の技術を導入しにくいことからも、脱却することが必要です。
レガシー化する原因
レガシー化するのは古いシステムであることが1つの要因です。しかし、ほかにも次のような要因が挙げられます。
- システム会社に依存している
- ノウハウを持った人材不足
- システムが複雑化している
システム会社に依存している
システム設計をすべてシステム会社に任せていると、社内にシステムを熟知した人材がいなくなりレガシー化が進む要因の1つです。社内でもデジタル人材を育成しながら、外部企業に依頼する体制作りが重要です。
ノウハウを持った人材不足
システムを開発し保守運用のノウハウを持った人材が退職することにより、システムを熟知した人材がいなくなります。定年退職以外にも、デジタルスキルを持った人材はより自分を評価してくれる企業に転職する可能性が高く、人材が流出したときのためにノウハウを共有することが重要です。技術継承ができないまま放置していると、レガシー化につながることがあります。
システムが複雑化している
長年システムを運用するうえで、システムの修正や新技術の導入などを繰り返すことによってシステムが複雑化した結果レガシー化が進む可能性が高くなるのです。複雑化したシステムは、保守作業にも手間がかかり人的リソースやコストの負担が大きくなります。
レガシーシステムの具体的な問題点
レガシーシステムには次のような具体的な問題点が挙げられます。
- 継承ができない
- ビジネスの変化に対応できない
- コスト面で問題がある
継承ができない
レガシーシステムを開発した担当者が退職してしまい、継承ができないケースがあります。システムを構築したエンジニアが退職して社内にいない場合、対応できる人がいないことからブラックボックス化しているケースも少なくありません。
ビジネスの変化に対応できない
ビジネスの環境は常に変化しており、システムもビジネスの流れに対応したものに変更することが重要です。しかし、オープンソースでないシステムが一般的なレガシーシステムは、新しい技術は想定していないことから新しい技術を導入するのが容易ではありません。システムが新しいビジネスに追いつかないことで、市場において競合に勝てない要因となります。
コスト面で問題がある
レガシーシステムは一般的に、保守関連の費用が高くなります。その理由として、メーカーサポートが終了していたり、古いハードウエアを使っていることからセキュリティ対応が遅くなっていたりなどさまざまな要因が挙げられます。さらに、長年運用していることにより、改良を重ねてシステムが複雑化、また肥大化していることが特徴です。
レガシーシステムと2025年の崖
レガシーシステムと深い関わりがある2025年の崖とは、次のような内容となっています。
- 2025年の崖とは
- レガシーシステムと2025年の崖
2025年の崖とは
2025年の崖とは、2018年に経済産業省がレガシーシステムを今後も運用し続けることで経済が停滞すると指摘しました。システムを新しくできないことから国際競争に遅れ、サポート終了やシステムを開発した人材の退職により経済損失がでると指摘しています。
既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化・経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている→ この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)。
引用:DXレポート(経済産業省)
レガシーシステムと2025年の崖
レガシーシステムと2025年の崖は深い関連性があります。DX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)レポートにおいて、デジタル技術を活用してビジネス改革をすることで競合他社に対して優位性を保つ必要があることを経済産業省が推奨しています。しかし、DXが進められていない要因の1つにレガシーシステムが挙げられます。
レガシーシステムを運用している企業が多く、新しい技術を導入できないことで事業機会を失う可能性があります。現在の状況が続けば2025年の崖につながり、経済損出が最大で12兆円になるとしているのです。そのため、DXを進めるためにはレガシーシステムの脱却が重要です。
レガシーシステムを運用している企業が多い理由
レガシーシステムを運用し続けると、さまざまな問題が発生します。それでも、多くの企業がレガシーシステムを脱却できないのには次の理由が挙げられます。
- 技術面での問題
- システムを変える不安
- コスト面
技術面での問題
レガシーシステムを移行するためには、古い技術を理解している人材が必要です。さらに、開発した担当者が不在であるケースが多く、古いシステムからのデータ移行や新しいシステムの要件範囲の定義など、それぞれの作業に技術力が求められます。
システムを変える不安
長年活用していたシステムを変更する不安を持つ従業員は少なくありません。IT人材が少ない企業は特にこの傾向にあります。
コスト面
システムを大幅に変えるためにはコストが必要です。さらに、人的リソースも必要になることから、なかなかシステムを刷新できない企業は少なくありません。
まとめ
長期間運用しているシステムの多くは、レガシーシステム化している現状です。DXを進めるためには、レガシーシステムを刷新することで新しいデジタル技術を導入することが重要です。レガシーシステムを刷新することにより、2025年の崖を回避することにもつながります。
レガシーシステムは修正を何度もおこなうことでシステムが複雑化し、肥大化することによって運用や保守作業に費用や時間がかかります。さらに、新しい技術を導入しにくいことからDX推進に成功した企業に置いていかれる結果となることもあるのです。レガシーシステムを抱えている企業は、早急に対応する必要があります。