2022.06.29

リーンスタートアップとは

リーンスタートアップとはマネジメント手法のことを意味します。費用をかけずに最低限の機能を備えた試作品を準備し、顧客に提供した際の反応を分析することで、より良いサービスの開発を目指します。アメリカの起業家が提唱したことによってリーンスタートアップの認知は拡大しました。

しかし、言葉の意味を理解するのは意外とむずかしく、リーンスタートアップと質問されて明確に答えることのできる方は多くありません。リーンスタートアップは事業開発において重要な要素であるため、意味を明らかにしておくことが必須です。

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リーンスタートアップとは

リーンスタートアップとは、コストをかけずに最低限の質を備えた試作品を顧客に提供し、反応を分析することでより良いサービスを開発するマネジメント手法のことです。

新規事業を展開する際、いきなり大きなコストをかけてしまい、費用が無駄になることを避けるため、低コストで試作した商品で顧客の反応を確認します。試作品段階で顧客の満足度が高ければ、より質の高い上位の商品をつくることで商品は売れるようになるはずです。

リーンスタートアップを活用することで、低リスクで商品やサービスを開発できるので、多くの企業が取り入れています。

リーンスタートアップの特徴

リーンスタートアップは顧客の反応を確かめることができる手法であり、そのほかにもいくつか特徴を持っています。会社での取り組みを進めるためにも、特徴の把握は必須になります。

リーンスタートアップの特徴は次のとおりです。

  • 顧客の意見を素早く受け取ることができる
  • コストと時間を節約できる
  • 優位に市場へ参入できる

顧客の意見を素早く受け取ることができる

新規事業を展開する際は、まだ世に出回っていない商品を提供することで企業の規模を拡大する場合があります。商品を大量生産する前にどんな顧客に需要があるのか、購入してくれる人がいるのかどうか確認しなければ、コストや時間を無駄にしてしまうためです。

試作品段階ではありますが、商品を利用する顧客の声をいち早く聞くことができるため、より良い商品を開発することが可能になります。

コストと時間を節約できる

リーンスタートアップは完全な状態の商品を展開する場合と比べて、コストや時間を節約できます。商品を完璧に仕上げるためには時間とコストがかかるうえ、完成した後に顧客の反応を確認したあとの改善が大変になります。

最低限の機能やコストで顧客からの反応をうかがうため、リーンスタートアップはコストをかけすぎることなく、検証と改善を繰り返すことが可能です。

優位に市場へ参入できる

優位に市場へ参加できることはリーンスタートアップのメリットの1つです。新しい商品開発は未知の部分が多く、市場の開拓がむずかしいため競合が少ない状態にあります。

競合が参入してくる前に市場へ新商品を展開することができれば、いち早く顧客の声を聞くことが可能になり、優位性のある状態で事業を拡大することができるはずです。

リーンスタートアップとMVPの関係性

MVP(Minimum Viable Product)とは、最低限の質を備えた試作品のことです。リーンスタートアップで活用される試作品がMVPであり、MVPを顧客へ提供し、その反応からより良い商品開発に向けて改善を続けていきます。

あくまで顧客へ提供することのできるレベルのモノをつくるため、誰も求めていないような質の悪い商品を顧客へ渡すわけではないことに注意するべきです。

リーンスタートアップの方法

リーンスタートアップは次の手順で取り組みを進めます。

  • 商品を設計する
  • 試作品の反応を確認する
  • 顧客の反応を分析する
  • もう一度商品を設計する

商品を設計する

まずは商品の設計です。顧客のニーズ調査や自社での仮説をもとに、どんな商品を顧客が求めているのか考え、開発する商品を設計します。ニーズに応えるためには分析は必須であり、商品開発の前の調査は細かく丁寧におこなうべきです。

試作品の反応を確認する

商品設計が完成したら試作品を開発し、顧客へ提供します。実際に商品やサービスを体験した顧客から意見や反応を受け取ることで、改善につながる手掛かりを探すことが可能です。より良いものをつくるためには、多くの顧客とコミュニケーションを取り、さまざまなデータを集める必要があります。

顧客の反応を分析する

試作品を顧客へ提供し、利用者の意見や反応を集めたあとは分析をおこないます。どうすればより顧客から人気を集めることができるのか、満足してくれるのかについて考え、改善に取り組みます。商品設計の時点での失敗が分析によって浮き彫りになるので、商品を見直しつつ、次の設計に向けて対策を練ることができるはずです。

もう一度商品を設計する

分析をおこなったあとは商品の再設計をおこないます。改善策を組み込みながら商品を設計し直し、再び顧客へ試作品を提供することで反応を計測します。顧客から得た反応に対して分析と改善をおこない、もう一度商品設定に移行するといったサイクルの繰り返しです。何回もサイクルを繰り返すことでより良い商品やサービスを開発できるようになるはずです。

リーンスタートアップに活用できるフレームワーク

フレームワークとは事業開発に役立つ枠組みであり、リーンスタートアップをうまく活用するためにはフレームワークの利用をおすすめします。

リーンスタートアップに活用できるフレームワークは次の2点です。

  • リーンキャンバス
  • MVPキャンバス

リーンキャンバスはターゲットが誰か、市場をどこに決定するのかなど、9つの項目に沿ってニーズや市場の把握をおこなう手法です。短期間で価値のあるモノを開発することを目的としており、ビジネスキャンバスをリーンスタートアップ用に改善したフレームワークです。

一方、MVPキャンバスは顧客に需要がある試作品を作成できるフレームワークです。リーンスタートアップでは試作品を利用して需要を確認する訳ですが、MVPキャンバスの必要項目にデータを入れるだけで検証効果のあるMVPをつくることができます。

リーンスタートアップが時代遅れとされる背景

商品やサービスの開発に役立つリーンスタートアップですが、近年では時代遅れであるという声を耳にします。その背景には時代の変化が挙げられます。

インターネットの普及や技術レベルの向上によって商品やサービスの質は高くなり、消費者はより良いものを求めるようになっています。どんな商品でも最上位のものが手に入ってしまうので、自社商品を開発したとしても顧客が簡単に目を傾けてくれることはありません。

また、口コミや評判が広がりやすく、インターネットやSNSで商品の特徴を把握することができてしまいます。そのため、中途半端な商品を提供してしまうと、顧客から悪い評判を拡散されてしまう可能性があり、企業の信頼度にも関わってしまうのです。

どれくらいの質で商品を提供するべきなのかもあいまいであるため、試作品段階のものを顧客へ提供するには抵抗があります。リーンスタートアップは業界によって向き不向きがありますが、1つの経営手法として検討することはできます。

まとめ

リーンスタートアップは商品の需要を確認するマネジメント手法です。必要最低限の機能を備えた試作品を製作したあと、顧客へ提供することで反応を分析し、質の高いサービスの開発を目指します。低コストで施策を始めることができ、顧客の反応を聞くことができるため、数多くの企業が活用しています。

しかし、環境の急激な変化により、リーンスタートアップは時代に適していないという声も挙げられます。すべての事業において時代遅れが該当する訳ではありませんので、リーンスタートアップを活用できる企業は取り組みを進めるべきです。

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