2023.02.02

ジョブ型雇用とは

ジョブ型雇用とは、業務内容や必要なスキル、その他勤務環境などをジョブディスクリプション(職務記述書)のもとに雇用する方法です。あらかじめ提示した条件や業務内容に追加したり変更したりすることはありません。ジョブ型雇用の主な目的は業務に必要なスキルを持った人材を雇用することです。従業員にとっても、自身のスキルを活かせる環境であるためモチベーションを向上することから、業務効率化や生産性の向上につながる可能性があります。

ジョブ型雇用とは

ジョブ型雇用とは、該当する業務を遂行できる能力のある人材を採用する雇用方法です。契約前に業務内容や必要なスキル、就業条件などを記載したジョブディスクリプション(職務記述書)を提示し、記載内容以外の業務や異動などはおこなわないことが前提の雇用形態です。

ジョブ型雇用の特徴

ジョブ型雇用とは、企業で必要な職務を遂行できるスキルを持った人材を採用する雇用方法です。現在日本ではメンバーシップ型雇用を導入している企業がほとんどです。メンバーシップ型雇用とは、採用時に配属先の職務を決めず研修をした上で適正や志望を元に配属先を決める雇用方法です。

近年DX(デジタルトランスフォーメーション、Digital Transformation)やAI、5Gなど技術革新が進んでおり、企業が成長するためにもデジタル技術を持った専門的なスキルや知識を持った人材が必要になっています。そのため、高いスキルを持った人材を採用できるジョブ型雇用の需要が高まっています。

さらに、従来の年功序列や終身雇用制度から従業員一人ひとりのスキルを評価の軸とする評価制度に移行している企業が増えています。

ジョブディスクリプションとは

ジョブディスクリプション(職務記述書)とは、対象となる業務内容や必要なスキル、その他報酬や就業場所などを詳しく記載した書類のことです。ジョブ型雇用においてはジョブディスクリプションに記載されていない業務の指示をすることはできません。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用との違い

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用との違い

  1. 雇用の基準
  2. 業務内容
  3. 給与の設定方法

雇用の基準

ジョブ型雇用は、専門的な知識があるかどうかが判断基準となります。メンバーシップ型雇用は、コミュニケーション能力や人柄、経験などが重視されやすい点が特徴です。さらに、先に人材を採用しておいてから業務を割り振りすることが一般的です。

さらにジョブ型雇用において、欧米のように日本ではすぐに解雇されることはほとんどありません。そのため、長期雇用が基準となっている点ではジョブ型雇用もメンバーシップ型雇用も、解雇の基準においてはほとんど差がありません。

業務内容

ジョブ型雇用は専門性が高く特別な能力をもった人材が選ばれることが一般的です。指定の業務内容以外を担当する必要はありません。メンバーシップ型雇用は業務内容や勤務地、担当部署などを明確に提示していないことが多くみられます。

給与の設定方法

ジョブ型雇用は職務給を採用していることから、専門的な能力や知識があるかどうかを重要視します。このため、勤続年数が短くても高い能力があれば高収入になる可能性が十分あります。対して、メンバーシップ型雇用は経験や勤続年数が影響するケースが一般的です。

企業におけるジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用には次のようなメリットが挙げられます。

  1. 業務効率化が期待できる
  2. 生産性の向上が期待できる
  3. コスト削減ができる

業務効率化が期待できる

ジョブ型雇用は契約前にジョブディスクリプションによって業務内容や労働条件などのすべてを明確にした雇用方法です。そのため、従業員は自身のやりたいこと、能力を活かせる業務をできるため高いモチベーションを維持できる環境にあります。企業としても業務に必要なスキルをもった人材を採用できるため、業務効率化につながるのです。

生産性の向上が期待できる

ジョブ型雇用では、対象となる業務以外は実施する必要はありません。そのため、ジョブ型雇用された従業員は自身の能力を最大限に活かすことができます。さらに、異動がなくスキルに対して報酬が決まるので満足度が向上することにより生産性の向上につながります。

コスト削減ができる

継続年数や経験が給与に反映するメンバーシップ型雇用であれば、人件費高騰につながる可能性が高くなります。しかし、実際には業務向上につながっていないこともあります。そこで、ジョブ型雇用を導入することで必要な人材を適切に配置できます。このことによりコスト削減につながる可能性があるのです。

従業員におけるジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用を導入することで、従業員にとっても次のようなメリットが挙げられます。

  1. ミスマッチが起きにくい
  2. スキルを活かせる
  3. 経験が少なくても高収入を得られるチャンスがある

ミスマッチが起きにくい

入社前にジョブディスクリプションに業務内容や業務時間、給与、勤務場所などが明確にされているため、ミスマッチが起こりにくい利点があります。ディスクリプションに記載されている内容から変更がないため、従業員にとって安心して働けるのです。

スキルを活かせる

ジョブ型雇用では、必要なスキルを明確にしています。さらに、スキルに対して報酬が決まることから自分のスキルを最大限に発揮できることが特徴です。専門的な業務に取り組むことによってさらにレベルアップして報酬を上げられる場合があります。

経験が少なくても高収入を得られるチャンスがある

ジョブ型雇用では業務に対するスキルに見合った報酬を得られます。勤続年数や年齢は反映しないため、勤続年数が短くても高収入となる可能性があるのです。そのため、ジョブ型雇用には、従業員にとってもモチベーションの向上といったメリットがあります。

ジョブ型雇用の注意点

ジョブ型雇用において、次の注意点が挙げられます。

  1. メンバーシップ型雇用が向く場合がある
  2. 帰属意識が生まれない場合がある
  3. ミスマッチにつながる可能性がある

メンバーシップ型雇用が向く場合がある

ジョブ型雇用で採用した人材は、全社横断的な考えが必要なゼネラリストには向きません。幹部候補として採用する場合は、期間を決めてジョブローテーションをおこなうほか従来のメンバーシップ型雇用が必要になる可能性があります。

帰属意識が生まれない場合がある

ジョブ型雇用で採用された従業員は、自身の契約に該当する業務だけをおこなうことが役割です。そのため、ほかの従業員と助け合うといった意識が高まりにくいことから帰属意識が生まれにくい可能性があります。

ミスマッチにつながる可能性がある

ジョブ型雇用は業務に対するスキルや能力を重視して人材を選びます。しかし、業務を遂行するために十分なスキルを持っていても、現場では力を発揮できない可能性があるのです。スキルが十分であっても組織に合うとは限りません。

まとめ

ジョブ型雇用制度は、従来の勤続年数や年功序列に比例して評価するのではなく、対応する職務内容や遂行度を評価します。そのため、メンバーシップ型雇用と比較して、スキルの高い人材を雇用しやすくなります。さらに、ジョブ型雇用制度は多様な働き方に対応しており、時代の流れに合わせやすい特徴があるのです。

ジョブ型雇用制度を導入している企業は少なく、評価制度を大幅に変更するためには時間と手間が必要です。しかし、従業員一人ひとりの能力を評価する企業が増えており評価制度の改革を進めている企業は少なくありません。今後さらにジョブ型制度の導入が広まることが見込まれています。

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