- 営業戦略
インサイト営業とは
インサイト営業とは顧客の潜在的なニーズを見つけ出し、課題を解決する営業手法のことです。これまで主軸の営業スタイルであったソリューション営業とは意味が異なります。
情報過多な社会では質の高い商品やサービスが簡単に手に入ってしまうため、モノを売ることがむずかしくなっています。潜在的なニーズを引き出し、新しい価値を届けることのできるインサイト営業は多くの企業に必要とされる営業スキルです。
インサイト営業は新しい市場を開拓できることや価格競争に巻き込まれないことなど、メリットが数多くあるので取り入れるべきです。うまく会社で利用するためにも活動する際のポイントや成功事例を把握する必要があります。
インサイト営業とは
インサイト営業は顧客の潜在ニーズを発見し、課題を解決する営業のことを意味します。顧客が潜在的なニーズや課題に気付くためには、他者からの意見や声を取り入れる必要があり、高い営業スキルが求められます。
質の高い商品が簡単に手に入る現代において、売上を上げるためにはインサイト営業が必要であり、多くの企業が活用へ本腰を入れるべきです。
ソリューション営業との違い
ソリューション営業とは一定以上のニーズがある自社商品の販売を目的とした営業方法です。自社特有の強みを活かし、競合他社との競争に優位に立つことで商品の販売を促進します。今までの営業形態はソリューション営業と呼ばれるものがほとんどです。
インサイト営業は潜在的な悩みを解決するものであるため、自社商品を販売するソリューション営業とは異なる営業スタイルとされており、意味が違います。
インサイト営業が注目を集める背景
インサイト営業が注目を集める背景には社会情勢の変化が挙げられます。これまでの営業ではソリューション営業が主軸であり、課題やニーズを持つ顧客に対して活動をおこなっていました。
しかし、インターネットが普及した情報過多な現代の社会では、営業をかけずとも顧客は自力で悩みを解消してしまい、欲しい商品がいつでもどこでも手に入る状況になっています。
課題を認識している顧客に営業をかけたところで成功する確率は低く、ソリューション営業では利益を上げることがむずかしくなっているのが現状です。
一方で、潜在的なニーズを顧客自身で気づくことは数少ないです。ニーズを探しあて、顧客に気付かせてから課題を解決するインサイト営業は、先の時代において利益を生み出すために重要であるとされています。
インサイト営業をおこなうメリット
潜在的なニーズに応えることで、企業の売上を促進するメリットがあるように感じられますが、具体的にどのような利点があるのか気になる方も多いはずです。
インサイト営業をおこなうメリットは次のとおりです。
- 新たな市場を開拓できる
- 価格競争を避けることができる
- 企業の売上を伸ばすことができる
新たな市場を開拓できる
インサイト営業は新しい市場の開拓が期待できます。ソリューション営業をおこなうことのできる市場は、すでに多くの企業が参入しているはずであり、場合によっては狭い市場で争うことになります。
インサイト営業で解決する課題は、潜在的なものであるため、多くの企業が気付いていない問題である可能性が高いです。そのため、まだどの企業も参入していない市場を開拓することができます。
価格競争を避けることができる
価格競争に巻き込まれる可能性が低いこともメリットの1つです。すでに解決されている課題であると、解決方法や情報が出回ってしまい、競合他社が増えることにより価格競争に巻き込まれてしまいます。
少数の企業しか発見できていない顧客のニーズを探し当てることができれば、価格競争に巻き込まれる心配はないはずです。
企業の売上を伸ばすことができる
インサイト営業は優良顧客の育成や受注率の向上にもつながります。潜在ニーズを発見することができれば、顧客から信頼を獲得できることは間違いありません。
企業としての価値が高まれば多くの優良顧客や仕事の依頼の獲得が期待できますし、優良顧客や受注率が増えるにつれ、企業の売上も向上します。
インサイト営業をおこなう際のポイント
インサイト営業での活動を効果的にするために、把握しておくべきポイントがあります。
インサイト営業をおこなう際のポイントは次のとおりです。
- 商品やサービスを熟知する
- ヒアリング能力を高める
- 社会情勢を先読みする
商品やサービスを熟知する
自社の商品を売る訳ですから、販売する商品やサービスの内容は熟知しておく必要があります。潜在的なニーズを引き出すのはいいですが、商品を売ることができなければ意味がありません。
自社商品がどのような問題や悩みを解決するのか把握することで、幅広い知識のなかから商品のメリットを伝えることができ、売上につながります。
ヒアリング能力を高める
潜在的なニーズは顧客の声を聞くことにより見つかることがあります。そのため、ヒアリング能力を身に付けることが必須です。
一見、営業活動に関係なさそうな話題からでも、顧客の考えや悩みを引き出すことで新たなニーズを開拓できる可能性があります。潜在ニーズを顧客から引き出すことのできるヒアリング能力は、インサイト営業においては重要なスキルです。
社会情勢を先読みする
インサイト営業には社会情勢を先読みするスキルも必要です。顧客の私生活は社会情勢の動きに左右されることが多々あり、環境が変化することで新しいニーズや潜在的なニーズは必ず生まれます。
企業が環境の変化にも対応できるよう社会情勢を把握し、どんなニーズにも適応できるように日頃から新しい情報は取り入れるべきです。
インサイト営業の成功事例
企業の活用事例は多くの方が気になるはずです。インサイト営業を自社に取り入れる際の参考にできるため、企業の成功事例を把握する必要があります。
IKEA
IKEAは世界各国で家具を販売する大手企業です。大量の家具が店頭に並んでいるため、商品の閲覧時間は長くなり、結果的にIKEAでの滞在時間は長くなります。
サービスを提供するなかで、男性は長時間の買い物に退屈するという潜在的な課題に気が付き、MANLANDと呼ばれる男性向けのスペースを設置します。快適な時間を過ごせるよう工夫した結果、顧客数の増加に成功しました。
フォルクスワーゲン
フォルクスワーゲンは車を販売するドイツの企業です。コンパクトな形状の車を販売していましたが、大型車の人気が高まるにつれ経営状態に苦悩することになります。
そこで、小さな車でも便利な状況があるという魅力を売り出したところ、潜在的なニーズに気付いた顧客層がフォルクスワーゲンの車を購入するようになりました。
コンビニエンスストア
コンビニエンスストアは食べ物や日用品、雑誌などさまざまな商品を販売する便利なお店です。顧客数と購入数をデータ分析していたところ、人が手で持つことのできる商品の数に限界があったため、1人あたりの商品購入数が少ないことに気が付きました。
商品をまとめることができるカゴの設置により、商品をまとめてレジに運ぶことができないという課題を解決します。カゴを導入した結果、1人あたりの購入数は増え、売上を伸ばすことに成功しました。
まとめ
インサイト営業とは潜在的なニーズを発見し、課題を解決する営業スタイルです。参入していない市場を開拓できる、価格競争を避けることができるなどのメリットがあり、企業の成長を促進することは間違いありません。
しかし、潜在的なニーズを発見することがむずかしいと考える方は多いはずです。インサイト営業を効果的におこないたいのであれば、ヒアリング能力を高める、社会情勢を先読みするなどのポイントを意識して取り組む必要があります。
