- 事業開発
イノベーター理論とは
イノベーター理論とは
イノベーター理論とは、新しい商品が世の中に浸透していくプロセスを、それぞれ特徴をわけて5つのグループに分類をして特徴に合わせてマーケティングをしていく理論のことをいいます。1962年にスタンフォード大学の社会学者であるエベレット・M・ロジャース教授によって提唱されました。
イノベーター理論で分類する5つのタイプとは次のようになります。
- イノベーター
- アーリーアダプター
- アーリーマジョリティ
- レイトマジョリティ
- ラガード
イノベーター(Innovators、革新者)
好奇心が強い層であり、新しいものを積極的に取り入れる特徴があります。 価値を感じたものであればコストは高くても市場にはまだ普及していないものであっても、価値観を共有してくれたら支えてくれます。
新しいことや最先端技術が最優先であり、商品の細かい特徴や他社の商品との比較などには興味を示すことはほとんどありません。割合は決して多くはなく市場全体の約2.5%といわれます。
アーリーアダプター(Early Adopters、初期採用層)
まだ普及していない製品であってもこれから普及すると見込んだ場合は、いち早く目をつけて購入するユーザー層のことをいいます。
特徴として業界のトレンドに敏感であり、これから流行ると判断したものは積極的に採用する特徴があります。このため、インフルエンサーやオピニオンリーダーといわれます。近年ではブロガーやYouTuberのような一般人であっても、購入者に対して大きな影響を与えるインフルエンサーが増えています。
新しいものを求めますが商品の価値や購入することによるメリットまで考える点でイノベーターと異なります。そのため、新しいものが好きであり、さらに価値がある商品を購入する傾向にあります。
新商品が出たとき、人気のブロガーやYouTuberが紹介するのを待っている人も少なくありません。アーリアダプターは市場全体の割合を見ても約13.5%とイノベーターと比べるとはるかに割合が大きくなります。
アーリーマジョリティ(Early Majority、前期追随層)
新しい情報を仕入れはしますが、まだ市場に多く出回っていない製品に対しては慎重に対応するユーザー層のことです。市場全体の約1/3を占めており、アーリーアダプターの意見を参考にすることがよくあります。
そのため、新商品を購入してもらうためにはアーリーアダプターに購入してもらうことが重要であり、合理性を納得させる必要があります。アーリーマジョリティは流行に乗り遅れたくはない、しかし失敗もしたくないといった傾向にあります。
テレビやYouTube、SNSなどで紹介している商品を欲しくなる人やトレンドを意識している中高生はアーリーマジョリティにあてはまるケースが一般的です。
レイトマジョリティ(Late Majority、後期追随層)
新しい製品や商品を取り入れる消極的な層であり、市場の約1/3を占めています。
レイトマジョリティが購入を判断するきっかけとしては、多くのユーザーがすでに利用していることが重要になります。そのため、実績がないとどのような説明をしてもなかなか購入には至りません。
ラガード(Laggards、遅滞層)
レイトマジョリティよりもさらに保守的で市場全体の約15%を占めています。商品やサービスを多くの人が利用してるだけではなく、長期間にわたりその商品を採用していないとなかなか購入には至りません。購入してもらうためには、商品やサービスがそれなりに世間の定番となっていることが条件となります。
イノベーター理論を活用する方法
イノベーター理論は次のそれぞれのタイプに応じて活用することができます。
イノベーターに対する活用方法
イノベーターは誰よりも早い情報を入手しようとしているため、最新の情報を確認することができるWebサイトを定期的に確認している傾向があります。そのため、常に最新情報を載せるようなWebサイトに商品紹介をする情報を載せれば、イノベーターが興味を持つ可能性が出てきます。
アーリーアダプターに対する活用方法
アーリーアダプターは自らが率先して商品やサービスを購入することによって、オピニオンリーダーになりたい意識があります。そのため、アーリーアダプターがレビューをしやすいような工夫をする必要があります。
アーリーマジョリティに対する活用方法
アーリーマジョリティの傾向としてアーリーアダプターが書いたレビューを確認するという特徴があります。そのため、アーリーアダプターをインフルエンサーとして企業のソーシャルメディアコンテンツやYouTube動画などに情報を提供することが効果的なアーリーマジョリティに対する活用方法となります。
レイトマジョリティに対する活用方法
レイトマジョリティは、すでに多くのユーザーがいる商品やサービスを購入する傾向にあります。そのため、レイトマジョリティに対してはすでに多くの人が利用していてこの商品を使わないと損をするといったアピールをする必要があります。専門家の意見を追記することができるとより効果的です。
ラガードに対する活用方法
ラガードは実績が十分な製品やサービスに対してのみ購入意欲を持つ層です。そのため新商品としてのマーケティング戦略はおこなわず、歴史があることや多くのユーザーがいることをアピールするべきです。
イノベーター理論の事例
イノベーター理論には次のような事例が挙げられます。
- 条件を満たすと自宅と職場に無料でコーヒーマシンを設置
- イノベーターを攻略したiPhone
条件を満たすと自宅と職場に無料でコーヒーマシンを設置
ネスレ日本では特定の条件(ネスレ商品を定期購入)を満たすことで職場を代表するアンバサダーに認定し、職場に無料でコーヒーマシンを置くことができる権利を提供しています。アンバサダーに選ばれるとコーヒー代のみでコーヒーを楽しむことができます。
企業にマシンを設置することで社員や来客の方がネスカフェを楽しむことができることから、ネスカフェを広めるアンバサダーの役割をしています。アンバサダーはアーリーアダプターとなり、多くの人にネスカフェを広めるインフルエンサーになっています。
ネスカフェアンバサダーとはオフィスや事務所といった色々な場所でネスレ商品(コーヒーカプセルやカートリッジなど)を定期購入することで、ネスレマシンを『無料でレンタル』が出来る法人向けサービスです。
出典:ネスカフェアンバサダー法人(ネスレ日本)
イノベーターを攻略したiPhone
iPhoneの発売初日は、どのシリーズも初日に店頭に行列ができます。2016年にiPhone 7や7 plus、さらにApple Watch Series 2を同時発売した日はAppleストアの表参道店に200人以上の行列となっていました。iPhoneの特徴として常に最先端のサービスが挙げられ、新シリーズがでるたびにその特徴を前もって発表します。
この内容がイノベーターが満足するようなアプローチとなっており、常に新しい機能を求めるユーザーに対してマッチしている例となります。さらに、イノベーターが並んだりさまざまなレビューを出すことによって、アーリーアダプターも購入するようになりました。この結果AndroidユーザーとiPhoneユーザーはほとんど同じ人数になったのです。
まとめ
イノベーター理論は新商品が市場にでていくプロセスにおいて、タイプを5つに分けてそれぞれのタイプの特性に合わせて行うマーケティング理論です。
まだ市場に出回っていない新商品を普及させることは決して容易ではありません。消費者タイプの特徴に合わせることによって効果的なマーケティング戦略を進めることができます。