2022.10.18

ESGとは

ESGとは、環境を意味するEnvironmentや社会を意味するSocial、ガバナンスを意味するGovernanceのそれぞれの頭文字をとった言葉であり企業が長期的に経営していくための指標です。世界ではさまざまな環境問題や社会問題があることから、企業を長期的に経営するためにはこれらの問題に取り組むことが重要だと考えられています。

ESGはよい経営をしている企業を現すための指標に活用されるケースが増えており、企業投資の新しい判断基準となっています。現状の財務情報だけでは外部環境や内部環境の変化において何があるかわからない情報において、将来の企業価値を判断するためにESGの重要性が高まっているのです。

ESGとは

ESGとは次の3文字の頭文字をつなげた言葉です。

  1. Environment(環境)
  2. Social(社会)
  3. Governance(ガバナンス)

企業が長期的に経営していくためには、ESGに取り組むことが必要だといった考え方の需要が世界中で広まっています。世界では温暖化や差別などさまざまな環境問題に直面している状況です。そこで、2006年国連事務総長のコフィー・アナン氏が投資判断に新たな観点としてESGを紹介しました。

経済産業省でも、ESGを投資判断にすることを明記しています。

ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。特に、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティを評価するという概念が普及し、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会(オポチュニティ)を評価するベンチマークとして、国連持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されています。
引用:ESG投資(経済産業省)

ESGが普及した背景

ESGは2006年に発表されたPRI(Principles for Responsible Investment、国連責任投資原則)です。財務情報以外にも、社会や環境、ガバナンスまで意識した投資をするべきといった内容です。目先の利益だけを追い求めていた状況から、その反省をふまえてESGの需要が高まりました。

日本ではGPIF(Government Pension Investment Fund、年金積立金管理運用独立行政法人)がPRI(Principles for Responsible Investment、責任投資原則)に署名したことから、ESGの需要が高まるきっかけとなりました。PRIとは投資にESGの視点を導入していることを原則としています。

ESGをCSRやSDGsと比較

ESGはCSRやSDGと比較されることがありますが、それぞれ意味が異なります。

CSRとの違い

CSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)とは、企業が継続した経営をするためには、従業員やクライアント、社会などから信頼を得ることが必須です。そのためには、安全であり環境に配慮した商品であることが重要です。CSRとは、企業が社会的責任を果たすための行動を経営理念に取り入れることをいいます。CSRは企業側が発信しているのに対して、ESGは企業だけでなく投資家の目線が含まれています。

SDGsとの違い

SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)は、持続可能なことをすることで良い社会を達成することが目標です。2015年の国選サミットで採択されており17の目標があります。ESGとSDGsの共通点は国連から生まれた言葉ということです。

しかし、大きく違う点として挙げられるのはESGは民間企業が取り組むべきことでSDGsは国単位での目標です。そのため取り組みをする主体となる部分が異なります。

企業がESGを取り組むためにすべきこと

企業がESGに取り組むためにすべきことは次の点です。

  1. 働く環境を整える
  2. 環境を考慮した商品を提供する

働く環境を整える

ダイバーシティを推進した職場環境作りが重要であり、年齢や性別、国籍などを問わず採用することがESGにつながります。さらに、育休や介護休業、リモートワークなど柔軟な働き方ができるような環境作りはESGのS(Social、社会)につながります。

環境を考慮した商品を提供する

ESGのE(Environment、環境)に対する方法として、二酸化炭素排出量を減らしたり、再生プラスチックを利用したりするなど環境を考慮した商品を提供することが必要です。

カテゴリー別ESGの取り組み例

次に挙げるESGのカテゴリーにおいて、企業によってさまざまな取り組みをしています。

  1. 環境
  2. 社会
  3. ガバナンス

環境

ESGのEnvironment(環境)とは、気候変動や環境汚染など環境面において地球規模で抱えている課題に対する取り組みのことです。多くの企業においてサステナビリティ(持続可能性)への取り組みを開示しています。サステナビリティとはSDGsの主な目的であり、環境と経済のバランスを保ちながら持続的な社会を展開することです。

例えば、社用車を電気自動車やハイブリッド車にして二酸化炭素の排出量を減らしたり、太陽光発電システムを活用することで再生可能エネルギーを利用したりするなどそれぞれ企業によってさまざまな取り組みをしています。

社会

社会(Social)においては厚生労働省が推奨している働き方改革に対する対策が挙げられます。例えば、女性従業員が出産したあと復帰できるような体制であったり短時間労働ができる環境であったりさまざまな就労環境作りをすることで、離職率を下げることが可能です。ダイバーシティの推進も社会において重要な取り組みです。さまざまな国籍や人種、考え方を多様性として尊重することは、企業を長期間運営するうえで重要な評価対象となります。

このほかにも、予期せぬ自然災害やシステム障害などに対応できるBCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)の設定も重要です。BCPを基にしたサプライチェーンの強化はESGにつながります。

ガバナンス

ガバナンス(governance、統治のプロセス)とは経営の管理をする仕組みのことです。近年情報漏洩や法令違反といったニュースが見られるようになりました。一度このような不正が起きると、社会や顧客、取引先等からの評価を下げることになり、業績に大きな影響があります。そのため、企業は内部監査体制を設定したり情報開示をしたりして健全な経営を進めることが重要です。

まとめ

ESGとは環境や社会、ガバナンスを意味しており、企業を長期的に運営するためには取り組む必要があるといった考え方です。ESGに取り組む企業は投資家をはじめとしたステークホルダーに良い経営をしている企業として評価されることが多く、将来的な企業価値が高まります。

世界中で取り組んでいるSDGsにもESGの要素が含まれており、国際化が進む現代において海外の企業からも評価されやすくなります。ESGは短期間で結果が出るわけではなく、中長期戦略において地道な活動が必要です。企業として安定した成長力を身につけるためにも、ESGでの取り組みが求められます。

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