2023.05.31

ERP(企業資源計画)とは

ERP(企業資源計画)とは、企業がビジネスプロセスを管理するために使用するソフトウェアやシステムのことです。現代のビジネスでは、ERPがますます必要とされるようになってきました。

ERPを導入することで、経営をスピードアップ化したりセキュリティの一括管理をしたりするなど企業にとってさまざまなメリットがあります。近年ではWebを使ってERPシステムが利用できるクラウド型が普及して、安価でERPが導入できるようになりました。

ERPとは

ERP(Enterprise Resource Planning、企業資源計画)は、企業の業務プロセスを自動化し、統合的に管理するための情報システムです。企業の経営戦略を実現するために必要な財務、人事、生産、在庫管理、購買、販売などのビジネスプロセスを総合的にサポートします。

ERPの背景

ERPの起源は、1960年代にアメリカで始まった生産管理システムとよばれるシステムにさかのぼります。生産管理システムは、製造業の生産プロセスを管理するために開発されたシステムでした。

1980年代には、生産管理システムを発展させた製造業以外の業種にも応用できるようにしたMRP(Material Requirements Planning、生産管理)が登場しました。その後、MRP II(Manufacturing Resource Planning II)とよばれるシステムが登場し、業務プロセス全体を管理できるようになったのです。1990年代には、これらのシステムを発展させERPと呼ばれるようになりました。

ERPを管理

ERPは会社内の複数の部門間でデータを共有できます。そのため、情報共有がスムーズになり、それぞれの部門が最新の情報を持って業務を進めることが可能です。例えば、ERPを導入することで生産部門が部品の在庫状況を把握し製造計画を立てたあと、販売部門が受注を受け在庫管理部門が必要な部品を発注するといった流れをスムーズにできます。

基幹システムと比較されるケースがありますが、基幹システムは一般的に企業の基幹業務に必要なデータを管理するシステムを指し、ERPは会社全体の業務に必要な情報を一元管理することが目的です。つまり、ERPは基幹システムの一部であるといえます。

基幹システムは一般的に特定の業務に特化したシステムであり、ERPは企業全体の業務を統合的に管理することを目的としているため、より広範囲な業務に対応することが可能です。

ERP導入の目的

ERPを導入することによる目的は次の点が挙げられます。

  1. セキュリティ強化
  2. コスト削減
  3. 業務効率化
  4. 経営情報を把握
  5. 情報共有

セキュリティ強化

企業にとって、情報セキュリティは非常に重要です。情報漏洩や不正アクセスなどの問題が発生すると、企業の信頼性が損なわれ、大きな損害を被る可能性があります。ERPシステムを導入することでセキュリティ強化につながるうえ、データの一元管理が可能でありアクセス権限の管理やログの取得などセキュリティに関する機能が充実しています。また、ERPシステムは、セキュリティに関する法規制にも対応しており企業が法的な規制を遵守することが可能です。

コスト削減

ERPシステムの導入は、コスト削減につながるメリットがあります。ERPシステムは、業務プロセスを自動化することができ、従来の手作業に比べて作業時間を短縮することが可能です。また、ERPシステムによって在庫管理や調達管理などの業務が効率化されコスト削減につながります。ERPシステムを導入することでシステム管理にかかるコストを削減することもできます。

業務効率化

ERPシステムの導入により、業務プロセスの効率化を図ることが可能です。ERPシステムは、業務プロセスを自動化することができ、従来の手作業に比べて作業時間を短縮することができます。また、ERPシステムには、業務フローの可視化機能があり、業務プロセスの改善につなげることが可能です。

経営情報を把握

ERP導入の目的の1つは経営情報の把握です。ERPは会計、販売、在庫、人事などの情報を一元管理できます。これにより、経営者はリアルタイムで企業の経営状況を把握できます。例えば、売り上げや在庫の状況を把握することで、生産計画の最適化や資金調達の計画を立てることが可能です。また、ERPはデータの精度が高いため正確な経営判断ができます。経営者は、瞬時に企業の経営状況を把握することができ迅速な経営判断をおこなうことができます。

情報共有

ERP導入のもう1つの目的は情報共有です。ERPは企業内のさまざまな部署で共有するデータベースを提供します。これにより、企業内の情報共有がスムーズにおこなわれ業務の効率化につながるのです。例えば、営業部門が受注情報を入力した場合、その情報は在庫管理や生産計画に反映されます。また、各部署がそれぞれの情報を共有することで情報漏れや不正がなくなり信頼性の高い情報管理が可能です。

ERP導入のメリット

ERPには次のような導入メリットが挙げられます。

  1. 経営のスピードアップ化
  2. セキュリティの一括管理
  3. 情報システムにおける業務効率化
  4. 生産性の向上

経営のスピードアップ化

ERP導入のもっとも重要なメリットの1つは、ビジネスプロセスの自動化によるスピードアップです。ERPシステムを使用すると、ビジネスプロセスの多くが自動化され従業員は生産性を向上させるために時間を節約することができます。

例えば、ERPシステムを使用すると注文処理、請求処理、在庫管理、顧客管理などの業務が自動化され、従業員はこれらの作業に費やす時間を節約できます。企業はより効率的に運営され、より多くのビジネスチャンスを獲得することが可能です。

セキュリティの一括管理

ERPシステムは、セキュリティの一括管理にも役立ちます。ERPシステムを使用すると、すべてのデータが1つのデータベースに格納されるためデータの保護がより簡単になります。セキュリティ管理を一元化することで、権限管理やアクセス制限の設定が簡単になり、データ漏洩やハッキングなどのリスクを最小限に抑えることが可能です。また、データバックアップと復旧も容易になるため、業務の継続性を保証することができます。

情報システムにおける業務効率化

ERPシステムを導入すると、業務の効率化が可能になります。ビジネスプロセスを自動化することで、情報の収集、処理、報告を迅速かつ正確にすることが可能です。例えば、従来の手作業による業務処理では伝票や書類を手動で入力する必要がありましたが、ERPシステムを使用すると、データ入力作業を自動化し正確かつ高速な処理が可能になります。このような業務効率化により、従業員は作業に必要な時間を短縮できるためより多くの業務をこなすことができ企業の業務効率化につながります。

生産性の向上

ERPシステムは生産性の向上にも大きく貢献することが可能です。生産性は企業が生産する製品やサービスの量と品質を示す指標です。ERPシステムを導入すると、生産ライン全体の情報を集約しリアルタイムで監視することができます。これにより、従業員は製品やサービスの生産プロセスをより迅速かつ正確に監視できるため、生産性を向上させることができます。また、ERPシステムを使用することで、製品の生産ラインを効率的に管理できるため、無駄な時間やコストを削減することが可能です。

まとめ

ERPはビジネスプロセスを自動化しビジネスの効率を向上させるために使用されるソフトウェアやシステムです。企業の業務を一元化しデータの管理を簡単にできます。このことで経営のスピードアップ化や情報システム、セキュリティの一括管理における業務効率化などメリットがあります。

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