- 経営戦略
エコシステムとは
従来自然界において使われるエコシステムは、ビジネスにおいて活用されるケースが増えています。特にITの領域で使うことが多く、エコシステムについて把握することによりIT分野をより理解できるようになります。自然界のエコシステムとは、同じ環境において複数の生物がそれぞれを依存しあって生き抜くことです。IT業界エコシステムは、単体の企業でできないことでも複数の企業が協力し合うことによって新しいビジネスを目指すことです。
エコシステムとは
エコシステムとは同じ環境に暮らしている生き物が、それぞれ助け合って生き抜いていくことをいいます。自然界において、1つの種のみで生き抜いている生物はほとんどいません。例えば微生物を捕食している虫がいれば、その虫を食べる動物もいます。つまり、1つの生物が滅ぶことによって、連鎖反応で他の生物や動物にも影響があるのです。
このように、ある環境において生き物がそれぞれに依存しながら継続的に生き抜くことをエコシステムとよびます。
ビジネスにおけるエコシステム
ビジネスにおいてWebやメール、SNSなどさまざまなツールを活用することによって商品やサービスを発展させることができます。それぞれのツールやサービスを連携させることで高いシナジー効果が出せるため、サービスの価値を高めることが可能です。単独の企業だけではなく複数の企業がそれぞれの技術を活用して協業することによって、単独の企業ではできなかった領域においてもビジネスチャンスにつながる場合があります。
エコシステムは、複数企業においてそれぞれの特色を生かすことによってお互いの企業が利益を出し成長することができるのです。そのエコシステムは企業が生き残る方法として、注目されています。
従来のビジネスは受注から購入まで直接取引関係がありますが、エコシステムではそれぞれのプロセスにおいて直接つながっていなくても、それぞれを担当者企業がお互いに依存しあうことで新たなビジネスを生み出すのです。IT分野においては、特にそれぞれのプロセスが異なる企業が担当する環境になりやすい特徴があります。
エコシステムの必要性
エコシステムの重要性が高まったのは、ITにおける技術革新が急激に進んでいることが挙げられます。そのため、単独の企業で商品やサービスを作り出すのは容易ではなくなってるのです。そこで、単独の企業ではなく複数の企業が技術を共有することによって新たなビジネスを展開することが一般的です。
しかし、エコシステムが向く業種と向かない業種があるので注意が必要です。例えば、開発から商品化まですべてのプロセスをおこなうことでコストカットしているケースは、エコシステムを導入することでかえって費用がかかる可能性があります。さらに、お互いの企業において商品やサービスで利益を出せる中核となるようなプレーヤーの存在が重要です。
エコシステムを成立させるためには、お互いの商品やサービスを向上させることでお互いの企業が発展できる可能性がある必要があります。
エコシステムを導入するメリット
エコシステムを導入することにより次のメリットが挙げられます。
- 商品やサービスの認知度の向上
- 企業間の技術共有によるビジネス創出
- 企業や顧客を呼び込むための戦略
商品やサービスの認知度の向上
複数の企業が協業することによって、自社の商品やサービスをアピールすることが可能です。お互いの企業が抱えるクライアントに対してそれぞれの企業の商品やサービスを周知できるため、これまでにはなかったような層の顧客を獲得できる可能性があります。
また、それぞれの企業において集客や広告の仕方が異なるため、これまでとは違った角度でアプローチできる場合があるのです。
企業間の技術共有によるビジネス創出
エコシステムを形成することによって、さまざまな企業が持つ技術を共有することによって新たなビジネスを創出することが可能です。これまでは自社で商品を開発したり改善したりしていた場合でも、現在では技術革新が続いてることにより自社のみで新しいビジネスを生み出すのは容易ではありません。
しかし、複数の企業と協業することによって自社の限られた経営資源においても、それぞれの企業における特徴を活かして新しいビジネスが生み出されることがあります。企業間の技術共有によりこれまで開発できなかったような商品が作成できる可能性もあるのです。
企業や顧客を呼び込むための戦略
自社でエコシステムを構成することによって、プラットフォームの特徴があることから企業や顧客を呼び込むための戦略として活用可能です。単独で新しいビジネスを立ち上げるためには時間やコスト、労力などがかかりますが、サポートしてくれる企業があると大きなビジネスをできる場合があります。
さらに、多くの企業を呼び込むことによってそれぞれの企業が抱えている顧客の獲得につながる可能性があるのです。
エコシステムを導入するために必要なこと
エコシステムを導入するためには次のことが必要です。
- 目的の明確化
- 自社の状態の把握する
- 適切なシステムの選択
目的の明確化
エコシステムを導入する目的を明確にする必要があります。エコシステムを導入するためには、労力や多額なコストがかかる場合がほとんどです。そのため、まずは社内に導入を周知して企業全体で取り組むことが求められます。
自社の状態の把握する
エコシステムを導入する前に、自社の状態を把握することが必要です。どのような商品やサービスがエコシステムにおいてメインの存在となるのか、また周辺に位置する商品はどれかなど十分に分析をすることが求められます。必ずしもエコシステムの導入が向いているとは限らないことから、エコシステムを導入するべきかどうかの判断も重要です。
適切なシステムの選択
エコシステムを導入すると決めた場合、どのエコシステムを選ぶべきかを決める必要があります。シナジー効果を最大限に高められるエコシステムを選ぶ必要があるほか、導入するためには資金が必要であることを考慮に入れることが必要です。資金に対する費用対効果など、さまざまなことを見極めることが重要です。
エコシステム事例
Amazon
Amazonでは、ネットワークや端末、OSなどそれぞれの分野においてエコシステムが成り立っています。例えば、Amazon社のAIスピーカーであるAmazonEchoは、小型スピーカーやスクリーン画面、カメラなどそれぞれ先進的なシステムを持つ企業において商品開発が進められているのです。
Apple
Apple社はさまざまな商品においてエコシステムを導入しています。例えば、iPhoneを制作するにおいて、スクリーンやカメラを作る企業や販売をする企業などその企業が連携することにおいて成り立っています。iPhone以外にも、iPadやMacBookなど、それぞれの役割において複数の企業が連鎖しておりエコシステムが形成されて製品が出来上がっているのです。
SAPジャパン
SAPジャパンはそれぞれの業界でトップにいる顧客企業をパートナーとして、エコシステムの構築を基に日本ではじめてのDX(DigitalTransformation、デジタルトランスフォーメーション)を目的としています。SAPジャパンでは、ERPシステムのSAPS/4HANAを活用して、ITソリューション企業同士で連携してエコシステムを実現が可能です。
まとめ
エコシステムとは、複数の企業がそれぞれの技術を活用して、イノベーションを起こして新しいビジネスや商品などを作り上げることです。それぞれが特徴を活かしてまた成長していくことを目的としています。単体の企業ではできないことでも複数の企業が協業することで、新たな価値を創り上げていきます。
海外では、AppleやAmazonといった企業がすでに導入しており日本でも導入する企業が増えているのです。