2023.03.22

デジタル資本主義とは

デジタル資本主義とは、消費者に利便性や満足度を高めてもらうためにデジタル技術を活用し、効率的な環境づくりを目指すものです。ビジネス領域においては、業務フローの改善や新規ビジネスモデルの創出など、競争優位性を維持することを目的としています。デジタル資本主義の発展には、デジタルプラットフォームなどのデジタルサービスや、AIなどの技術の発展が欠かせないものとなり、さまざまな分野での開発や導入が進んでいます。

デジタル資本主義とは

デジタル資本主義とは、クラウドやAIなどのデジタル技術を駆使して、デジタルサービスやシェアビジネスの本格化を意識した考えです。これまでのモノを所有するという考え方以外にもシェアやリースなどの選択肢も増え、さらに一定期間の利用を目的としたサブスクリプションなどのサービスにも需要が高まっています。デジタル資本主義におけるサービスは、AI技術との組み合わせにより、消費者にとってより使い勝手の良いものになると期待されています。

産業資本主義からの移り変わり

企業が生産や販売をいかに効率化するかで成り立っていたのがこれまでの産業資本主義です。しかし、デジタル技術の発展によって資本主義のあり方は大きく変化しており、産業資本主義からデジタル資本主義へと経済システムの構造転換が進んできました。

そして近年、デジタル資本主義への変化に合わせ、社会やビジネスのあり方を変えるDXの推進が強く求められています。デジタルサービスによって消費者の利便性や満足度も高まっており、すでにさまざまな分野でデジタル資本主義への移行が進行中です。

デジタル資本主義の発展に必要な技術

デジタル資本主義の発展に欠かせない代表的な技術は次のとおりです。

  1. AI(人工知能)
  2. loT(モノのインターネット)
  3. ビッグデータ

AI(人工知能)

AIとは自ら学習する能力を持ち、自律的に情報処理をおこなうコンピュータです。膨大なデータ処理を高速でおこなうことが可能である点や人為的ミスの防止、不正検知など、人間には困難であった問題にも対応できるため、現在ではさまざまな分野で活用されるようになりました。AI技術における活用例としてチャットボットや認証機能、自動運転車両などが挙げられます。

loT(モノのインターネット)

loTとは家電製品や生産機器などのモノそのものがインターネットとつながり、利用できるデジタル技術です。モノ自体に無線通信機能が備わり、入手した状態を人やモノに伝送することが可能となりました。loT技術における活用例としては、電気ポットなどの小さな家電製品から、工場内の大型機械設備まで幅広く活用されています。

ビッグデータ

ビッグデータとはさまざまな種類や形式のデータを含む巨大なデータ群です。これまで活用が困難であった動画や音声、リアルタイムなデータの蓄積ができるようになりました。ビッグデータの活用により、膨大で多様化した過去のデータを分析し、高精度な予測をおこなうことが可能です。ビッグデータにおける活用例としては商品の需要予測や天気予報などが挙げられます。

デジタル資本主義におけるメリットとリスク

デジタル資本主義のメリット

デジタル技術の発展によるメリットとしては、業務効率化や人材不足の解消、生産性向上、顧客満足度の向上などが挙げられます。これまで時間やコスト、人件費をかけて人間がおこなっていた業務を自動化、またはロボットに代替できるため、少ない人材と労力におさえることが可能です。そのため現在でも社会問題となっている労働人口減少の対策にもつながります。

デジタル資本主義におけるリスク

デジタル技術の推進に伴うリスクとして重要視されているのはセキュリティ問題です。デジタル技術の活用には専門の知識が不可欠であり、システム体制が不十分な状態で構築されてしまうとサイバー攻撃や個人情報漏洩などの問題が生じてしまう可能性があります。事業規模の大きさにかかわらず、問題が起きないようにシステム構築には従業員のスキルや知識が重要です。

デジタル資本主義におけるデジタルプラットフォーム

デジタルプラットフォームとは、組織や個人がIT技術やデータなどを用いてサービスを提供することで、ユーザーが利用できるになる環境を意味します。デジタル資本主義における代表的なデジタルプラットフォームは次のとおりです。

オンライン・ショッピングモール

オンライン・ショッピングモールでは、オンライン上で消費者が販売者から商品を購入することが可能です。現代では多くの消費者が利用しており、スマホひとつで簡単にショッピングすることができるようになりました。ショッピングにおけるデジタルプラットフォームとして代表的な企業はAmazonや楽天、Yahoo!ショッピングなどが挙げられます。

シェアリングエコノミー

シェアリングエコノミーとは、ネット上のマッチングプラットフォームを介して空間や移動、モノ、スキルなどをシェアするサービスです。これまで消費者とされていた主体が提供する側となり、消費者同士の需要と供給がマッチングされると成立する仕組みになります。

代表的なプラットフォームとしてはメルカリやUber、クラウドワークスなどです。デジタル資本主義の進展とともに、今後も新たなシェア対象が出てくると予想されています。

動画共有サービス

動画共有におけるプラットフォームとは、誰かが動画をアップロードすると、不特定多数のユーザーが自由に視聴できるサービスです。代表的であるYouTubeなどの無料型と、教育や学習などの用途として利用できる有料型があり、配信方法はダウンロード型やストリーミング型などさまざまです。

デジタル資本主義により解決が期待できる課題

デジタル資本主義の発展により解決が期待される課題は次のとおりです。

  1. 農業における人材や後継者不足
  2. 医師不足に伴う死亡率の高まり
  3. 金融システム基盤の不備

農業における高齢化や人材不足

農業分野における課題は多く、農業従事者の高齢化や継承者不足、食料自給率の低下などが挙げられます。これまでの生産基準を維持するためには少人数で効率的な農作業をおこなう必要があり、自動走行トラクターや農業用ドローンなどのデジタル技術の活用が必須です。また、デジタル技術を農業に導入するだけではなく、流通などの分野においても改革が必要であり、新しい農業への変革を目指す必要もあります。

医師不足に伴う死亡率の高まり

医療機関での課題は医師不足に伴う死亡率の高まりです。医療技術の地域間格差は深刻な問題でしたが、現代ではデジタル技術によるロボットの遠隔手術などが可能となりました。

また、特定の医師にしか対処できないような病状であっても、精密な手術が可能であるロボットの実用化により対応範囲の幅は拡大中です。今後も手術支援ロボットの開発は進み、オンライン手術が実現されるという期待も高まっています。

金融システム基盤の不備

金融機関での課題はシステム基盤の不備であり、伝統的な大企業ほどシステムが巨大なため変革を実現することが困難でした。しかし、現在では金融機関でもデジタル技術を活用した事業変革が進み、これまで対面でおこなわれてきた顧客とのコミュニケーションもオンラインに切り替えておこなうことが可能です。また、口座開設から入出金まですべてのサービスをスマホ上でおこなえるなど、デジタル化に抵抗のない世代をターゲットとした新たな価値の提供が期待されています。

まとめ

デジタル資本主義とは、クラウドやAIなどのデジタル技術を活用して消費者の満足度を高めるとともに、ビジネス領域での競争優位性を維持するというものです。デジタル資本主義への移行にはデジタルプラットフォームのサービスやAI、loT、ビッグデータなどの技術が不可欠であり、さまざまな分野で開発や導入が進められています。今後デジタル資本主義の発展により次々と新たなビジネスモデルの創出も予想されるため、変化の激しい社会の中で生き残るには、変化し続けられる企業や人材であることが重要です。

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