- 経営戦略
脱炭素社会とは
世界中で地球温暖化の影響が広がっており、温室効果ガスの排出量を減らす取り組みが進められています。2015年にパリ協定にて地球温暖化の対策として、世界の平均気温を産業革命以前と比較して2度より低くすることを目標として設定したのです。このほかにも、SDGs(Sustainable Development Goals)やカーボンニュートラルなどにも取り組んでいます。
脱炭素社会とは
脱炭素社会とは地球温暖化をはじめとした異常気象や、海面上昇などの悪影響による対策として1997年に京都議定書として採択されました。京都議定書において、先進国を対象として二酸化炭素排出量を削減するための国際条約が結ばれたのです。しかし、二酸化炭素排出量が多い発展途上国が対象となっていないのは不公平である、二酸化炭素排出量を照らすことによって経済に深刻な影響を与えるなどの理由によりアメリカが賛同せず、カナダは脱退するなど結果を残すことが出来なかったのです。
しかし、2015年にパリ協定において改めて温室効果ガス排出の削減目標について話し合いが行われました。この協定ではアメリカが賛同したことを始め多くの国が参加することによって、世界中で脱炭素を目的とした動きが始まったのです。
脱炭素社会の概要
脱炭素社会とは、温室効果ガスの1つである二酸化炭素の排出量を減らす取り組みをすることで、二酸化炭素の排出量がゼロになった社会のことです。日本では2020年に当時の首相であった菅氏が2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすると所信表明演説で述べています。
パリ協定
パリ協定とは、2015年にCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)において合意され、2016年に採択された予定です。世界の平均気温を産業革命が起こった1800年代と比べて2度より低く保つことを目標として、二酸化炭素排出量の削減目標設定や実施をおこないます。さらに加盟国は取り組みの内容を提出する必要があります。アメリカや日本、中国やEU、インドなどの温室効果ガス排出国が中心となって多くの国が加盟しているのです。
カーボンニュートラル
カーボンニュートラルとは温室効果ガス排出量と、植物などが吸収している量を同じにすることによって実質温室効果ガス排出量をゼロにすることです。温室効果ガス排出量を実質ゼロにするのはむずかしいのですが、カーボンニュートラルであれば達成できる可能性が高まります。
2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
引用:カーボンニュートラルとは(環境省)
脱炭素社会が必要な理由
脱炭素が必要な理由として次の点が挙げられます。
- 地球温暖化
- SDGs
- 人口増加
- 化石燃料の資源不足
地球温暖化
脱炭素の実現が必要であるといわれ始めたきっかけが、地球温暖化をはじめとした異常気象が世界中で続いたことです。地球の平均気温が上がることによって、海面上昇が起きたり、台風や豪雨をはじめとした異常気象が発生しやすくなったりするなどさまざまな問題が発生しやすくなります。さらに生態系にも影響があり食物不足といった問題も起きています。
SDGs
SDGsで設定されている目標のうち、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」や「気候変動に具体的な対策を」などは脱炭素社会への取り組みと関連性があります。そのため、脱炭素社会に取り組むことは、SDGsへの取組にもつながるのです。
人口増加
脱炭素社会に取り組む理由として、地球上の急激な人口増加が挙げられます。人口が増えることによって炭素排出量が増えたことにより異常気象を始め地球に影響が出ているのです。
化石燃料の資源不足
化石燃料の資源不足も、脱炭素社会を目指す理由の1つです。世界中で石油や天然ガス、さらにセクターなどの化石燃料を使った大量生産や大量消費の経済体系が主流となりました。石油や石炭といった化石燃料は燃やすことによって二酸化炭素が発生する点が特徴です。特に石炭は一度に大量に採掘できることから二酸化炭素の排出量が増え始めたのです。
脱炭素社会における課題
脱炭素社会を目指す上で次の点が課題として挙げられます。
- 化石燃料を依存している
- 家庭において二酸化炭素排出量が多い
- 物流において脱炭素化が遅れている
- 鉄鋼業は二酸化炭素排出の回避ができない
化石燃料を依存している
現在多くの国において化石燃料に依存しているのが実情です。そのため、一気に炭素排出量削減するのは容易ではありません。
家庭において二酸化炭素排出量が多い
企業や工場だけでなく、家庭においても二酸化炭素排出量は少なくありません。そのため、企業や工場だけが対応しても目的を達成することは容易ではないです。
物流において脱炭素化が遅れている
運輸業においては、エネルギー産業に次いで二酸化炭素を排出しています。飛行機や自動車が主な運搬手段となっており、化石燃料が主流であるため脱炭素化が遅れているのです。現在では二酸化炭素の排出量を減らすために電気自動車を始め次世代自動車の補助金交付や、物流の効率化が進められています。
しかし、日本では車両の電動化や航空燃料の変更などにおいては欧米と比べると脱炭素化が遅れています。
鉄鋼業は二酸化炭素排出の回避ができない
エネルギー産業や運輸業に次いで二酸化炭素の排出量が多いのが鉄鋼業です。鉄鋼業では製造時に大量のエネルギーを消費するだけでなく、鉄鉱石を鉄に還元するときに石炭を活用するため二酸化炭素の排出を防げない状況です。現在では石炭の代わりに水素を活用する研究が進められていますが、実際に活用するまで時間がかかるといわれています。
脱炭素社会を実現するための取り組み
脱酸素社会を実現するために、次のような取り組みが進められています。
- エネルギーミックスの実現
- カーボンプライシングの導入
エネルギーミックスの実現
エネルギーミックスとは複数の発電方法を組み合わせることによって、必要な電力を供給することです。天気は火力や原子力、水力、再生可能エネルギーなどさまざまな方法で発電されています。単に複数の発電方法を組み合わせればいいわけではなく、的確な発電設備を導入することが重要です。そのため、エネルギーミックスとは電源構成の最適化ともいえます。
エネルギーミックスを導入する理由として、それぞれの電力発電方法にメリットやデメリットがある点です。例えば、火力発電であれば安定した発電が可能ですが、大量の二酸化炭素を排出することになります。逆に太陽光は二酸化炭素を排出することはありませんが、夜は発電できず気候によって発電出力が影響されるデメリットがあるのです。そのため、複数の連絡方法を組み合わせることによって短所を補うことができます。
カーボンプライシングの導入
日本政府が温室効果ガスの排出を削減するために打ち出している方法のうち、世界中で導入されているのがカーボンプライシングです。カーボンプライシングとは二酸化炭素を排出した量に対して価格を設定し、市場メカニズムを通して二酸化炭素の排出量削減する方法です。
まとめ
2020年10月に菅元首相が2050年までに温室効果ガスの排出をなくすと所信表明をしました。温室効果ガスの中には二酸化炭素や一酸化炭素、メタンなどが含まれており、なかでももっとも地球温暖化に影響のある二酸化炭素の削減が重要課題となっているのです。そのため、日本は脱炭素社会に取り組み始めました。脱酸素社会を取り込む理由としては、地球温暖化や急激な人口増加などが挙げられます。しかし、現在は二酸化炭素が発生する化石燃料に頼りきっており、他にもさまざまな課題があります。