2023.04.27

脱炭素とは

日本では2020年10月に、2050年カーボンニュートラル宣言を発表したあと、温室効果ガスの排出をゼロにすることを目標としています。脱炭素に取り込む大きな要因として地球の温暖化が挙げられます。平均気温が上がるだけでなく異常気象や生態系への影響により人類の存在を脅かすともいわれているのです。さらに化石燃料を使い続けることによって、燃料不足になる懸念もあります。このため世界中で脱炭素に取り込む動きが進んでいるのです。

脱炭素とは

脱炭素とは二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることです。2020年に当時の菅首相が2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすると所信表明をしました。温室効果ガスには二酸化炭素以外に一酸化二窒素やフロン、メタンなどが含まれていますが、もっとも温暖化への影響が高いのが二酸化炭素といわれています。そのため地球の温暖化への対策として、二酸化炭素の排出量を減らすことが必要不可欠です。

脱酸素が必要な理由

世界中で地球温暖化が進むことによって異常気象や砂漠化の拡大、海面上昇などの影響が見られています。このため、地球温暖化が続くことによって、人間の生活に大きな悪影響が及ぶと考えられています。地球温暖化を解決するためには温室効果ガスの排出を削減し、脱炭素を進めていく必要があります。

カーボンニュートラルとの違い

脱炭素への取り組みを進めるために必ず耳にするのがカーボンニュートラルです。カーボンニュートラルとは、排出される温室効果ガスの量と植物による吸収量が同じになるように取り組みをすることです。排出される温室効果ガスの量はゼロにならなくても、実質的にはプラスマイナスゼロになるといった考え方をいいます。

脱炭素を目指す理由

脱炭素を目指す理由には次の点が挙げられます。

  1. 化石燃料を利用した経済体系
  2. 森林面積の減少
  3. 地球温暖化の深刻化
  4. 異常気象

化石燃料を利用した経済体系

1800年代の産業革命後、世界中で石油や石炭、さらに天然ガスなどといった化石燃料を使った大量生産や大量消費といった経済体系に変化していきました。石油や石炭を燃やすことによって二酸化炭素が発生することにより、大きな問題が出始めたのです。産業革命をした直後は石炭を使って製鉄や製造などが進められていました。さらに19世紀後半に入って石炭を利用する頻度が大幅に上がったため二酸化炭素の排出量が世界中で一気に増えたのです。

石油や石炭といった化石燃料を燃やし続けた結果として、地球の炭素循環システムでは対応できないほどの大量の二酸化炭素が大気中に放出されることになりました。

森林面積の減少

森林面積が年々減少しています。樹木は光合成をすることによって二酸化炭素を吸収して酸素を吐き出します。そのため、これまでは樹木があることによって炭素バランスが保たれていました。しかし、経済活動を進めるにあたって世界中の森林が伐採されることによって森林面積が大幅に減少したのです。特に南アマゾンでは農地開拓を目的として、大規模な伐採がおこなわれました。この結果、二酸化炭素の吸収量が減ったことにより、炭素濃度が上がる結果となったのです。

地球温暖化の深刻化

世界各地で地球温暖化の影響が出ており、深刻な状況となっていますが、地球温暖化の最大の原因は森林面積の減少です。1800年代に産業革命を知ってから100年から150年の間に、地球の平均温度は1度上昇しています。この状況は今後も続くといわれ、さまざまな悪影響があると予想されているのです。

日本でも2018年に埼玉県の熊谷市や岐阜県の美濃市において最高気温である41度を記録しています。現状のままであればこのように平均気温が高まっていくと予想されています。

異常気象

地球温暖化による影響は気温の上昇だけではありません。温暖化によって海の水温が上昇することによって水蒸気が増え、豪雨や巨大台風が増えるとされています。また、地球温暖化の影響により長期雨が降らないことによる干ばつが増える可能性があります。さらに、乾燥した状態で熱波が重なることにより森林火災が発生することもあるのです。

脱炭素とSDGs

脱炭素とSDGs(Sustainable Development Goals)には深い関連性があります。SDGsでは社会や環境、経済といった側面から17の目標が設定されています。これらの目標のなかに脱炭素と関連性のある内容が含まれているのです。

SDGsとは

SDGsとは2015年にニューヨーク国連本部で開催された持続可能な開発サミットにおいて発表された経済や環境、社会といった側面から設定されている国際的な目標です。将来の世代のニーズを満たすために現在のニーズを満たせるような社会づくりをすることが目的です。

SDGs目標

SDGsの大きな特徴として誰一人取り残さないことを誓っています。そのため、先進国が開発途上国、さらに貧困に直面する人など、あらゆる環境においての人が対象となるのです。加盟している193の国すべてがこの目標に賛同しており、文化や政治的立場、経済的規模に関係なく世界中が同じ目標を持っている点が大きな特徴です。

SDGsにて設定されている目標のなかに脱炭素と大きく関連性のある内容があります。例えば、目標の1つにある「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」は脱炭素の目的と直結します。この目標は世界中のすべての人が安全に利用できるクリーンなエネルギーを普及させることです。太陽光や地熱、風力など二酸化炭素を排出しない再生可能なエネルギーが含まれています。

また、別の目標である「産業と技術革新の基盤をつくろう」では、持続可能な産業化を進めるだけでなくイノベーションの拡大を目指しています。脱炭素社会を目指すためには産業対策が重要でありグリーン成長戦略を掲げています。

脱炭素に向けた企業による取組み

脱炭素に向けて多くの企業が取り組みを進めています。それぞれ内容が異なりますが、主な
取り組みは次の3つです。

  1. 省エネの推進
  2. 二酸化炭素排出量の少ない電気を購入
  3. 太陽光発電システム

省エネの推進

環境省において脱炭素を進めるために省エネを推進しています。家庭においても省エネに取り組むことを推奨していることから、国土交通省では住宅の省エネリフォームに対応する補助制度を設けています。事業者向けには省エネ法が設定されており、2018年に改正されています。さまざまな分野においてエネルギーの使い方を合理的にすることが目的です。

二酸化炭素排出量の少ない電気を購入

これまで二酸化炭素を排出していた化石燃料から、電気の活用を積極的に取り込んでいます。近年では初期費用をほとんどかけずに小売電気事業者から二酸化炭素排出量が少ない電気を購入することが可能です。一般的な電気料金と比較をすると料金が高めになる場合もありますが、二酸化炭素の排出量がない電気を利用することで脱炭素に貢献できます。

太陽光発電システム

太陽光発電システムとは太陽の光を電気に変換する装置です。太陽の光を活用するため二酸化炭素を排出することはなく、さらに資源を無駄遣いすることはありません。天候によって影響されることはありますが、年間通しての発電量を考えると再生エネルギーのなかでも安定して発電できる装置です。

まとめ

世界中が脱炭素に取り組む要因として地球温暖化の影響が挙げられます。世界中の平均気温が上がるだけでなく、異常気象や生態系への影響などさまざまなリスクが考えられています。そのために日本をはじめ世界中で脱炭素に取り込む動きが進んでいます。二酸化炭素排出量の少ない太陽光発電を使い、省エネを推進するなど今後も脱炭素に対する動きが広まっていくと予想されます。

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