2023.06.05

D2Cとは

D2Cとは製造元のメーカーにより自社製品を小売店をはじめとした中間流通業者を通すことなくユーザーに直接販売する仕組みです。従来の直接ユーザーの商品を販売する方法と違い、中間マージンが不要であることからメーカーの利益率を高められます。さらに、D2CはユーザーがECサイトを訪問してから購入までの行動をデータ化できるため、消費行動を分析しやすくユーザー満足度を上げられるなどさまざまなメリットがあります。

D2Cとは

D2C(Direct-to-Consumer、ダイレクト・トゥ・コンシューマー)とは、企業が中間流通業者を通さずに自社の商品やサービスを直接ユーザーに販売することです。インターネットやスマートフォン、SNSなどが普及したことによりスムーズに実現しやすくなりました。中間流通業者を通さないことから商品価格を安くできることが大きな特徴です。さらに、ユーザーのリアルタイムなニーズを直接反映できます。

D2Cの需要が高まった要因

近年商品を少量ずつ生産する少量生産が増加しており、柔軟な商品生産が可能になりました。この取り組みにより、ユーザーのニーズに合わせて素早く商品を提供できるようになったのです。D2C事業はECサイトを通じて販売するため、スマートフォンやSNSなどを使いこなせる年代が主なターゲットとなります。

ECサイトが主な販売媒体であるD2C事業にとって、スマホやSNSに慣れ親しんだ世代が増えることは追い風です。かつては物を購入して所有することの価値が重視されていましたが、現在では購入した商品やサービスから得られる価値が重視されるようになっています。D2C事業は、商品の世界観やそれにマッチするライフスタイルを提供することで、ユーザーは商品やサービスを購入・所有すること以外の付加価値を得ることが可能です。

D2Cで成功するためのコツ

D2Cビジネスで成功するためには、3つの重要なポイントがあります。まず、D2Cビジネスに適した商品を選ぶことが重要です。例えば、サプリメントや健康食品、化粧品、PC、カメラ、洋服などが挙げられます。ECサイトや自社サイトで購入する人が少ない商品でも成功する可能性はありますが、ユーザーにECサイトで購入するメリットや通販プラットフォームとの違いを伝える必要があります。

次に、他社とは違う独自の商品やブランドを作り出すことが必要です。一般的な商品では、ユーザーは大手ECサイトで購入をする可能性が高く、自社サイトからを利用しないケースが少なくありません。そのため、オリジナリティがあふれる商品を提供し、自社ブランドのファンを獲得することが重要です。さらに、ブランド力がなければ、ユーザーがリピートして商品を購入する可能性は低くなるため、商品力とブランド力の両方が重要です。

最後に、ユーザーが希望する支払い方法を提供することが求められます。同じ商品を複数のサイトで購入できる場合、支払い方法や決済手段によるポイントサービスの差がユーザーにとって重要な要素になるため無視できません。

ユーザーの要望に応えやすい

ECプラットフォームに出店すると、Amazonのような大手企業がユーザー情報を管理するため自社でデータを分析できません。しかし、自社ECサイトで商品を販売するD2Cビジネスでは、ユーザーが何を購入したのか、どのような人が購入したのかなど詳細なデータを収集できます。

さらに、SNSなどを活用することで、直接ユーザーとコミュニケーションをとる機会が増えます。コミュニケーションを通じて、ユーザーの声を集め商品開発や改善に生かすことができます。これらのデータを正確に分析することによって、ユーザーニーズを正確に把握し、より求められる商品を提供する流れになるのです。自社ECサイトを持つことで、ユーザーとのつながりを深め、ビジネスの成長を促す可能性があります。

D2Cのメリット

D2Cには次のようなメリットが挙げられます。

  1. 定量的・定性的なデータを収集できる
  2. コストを削減できる
  3. 利益率を高められる
  4. 売り方の幅が広い
  5. 一貫したコンセプトを伝えやすい

定量的・定性的なデータを収集できる

D2Cは、自社のECサイトを通じて直接ユーザーに商品を販売するため中間業者を利用しないビジネスモデルです。ユーザーはECサイトを訪れ商品を選びカートに入れ決済をします。一連のプロセスから、D2Cにはユーザーの情報を収集できるメリットがあります。自社ECサイトを訪れたユーザーがどの商品に興味を持っているのか、カートに入れた商品の数や購入に至った数などさまざまな情報を収集できます。

これらのデータを累積して分析することで、ECサイト上でユーザーが購入を躊躇する要因を特定することが可能です。ECサイトを改善することで、ユーザー満足度と売上を向上できるメリットがあります。

コストを削減できる

D2Cは中間業者を通さず直接ユーザーと取引するためコストの削減ができます。小売や卸売などの中間マージンやECモールに必要な費用がかかりません。コストを削減し、その分を商品やサービスの価格や品質に反映すれば競争力が向上します。ユーザーとの関係を強化し、ユーザーのLTV(Life Time Value、ユーザー生涯価値)を向上させることが重要です。

利益率を高められる

従来の販売方法では、問屋などの業者を通すために小売店に商品が届くまでに商品の販売価格に中間マージンが加わります。さらに、ECモールで商品を販売する場合はモールの運営企業に対して販売手数料が発生するのです。

しかし、D2Cは商品の製造者が直接ユーザーに販売するため、仲介業者に支払う中間マージンが発生しません。そのため、商品がユーザーの手元に届くまでのコストを大幅に削減できるうえ、収益性を高められます。

売り方の幅が広い

自社のECサイトで商品を販売する場合、自社独自のマーケティング戦略やキャンペーンを展開し、ユーザーとの良好な関係を築くことが可能です。しかし、通販プラットフォームに出店する場合、そのプラットフォームのルールに従う必要があるため独自のマーケティング戦略やキャンペーンの自由度が低くなってしまいます。さらに、販売業者を介する場合も同様で、販売業者に合わせて商品を販売する必要があります。一方、D2Cの場合には自分たちで商品を販売することができるため、自由に販売方法を決めることができます。

一貫したコンセプトを伝えやすい

D2Cでは、自社サイトで独自のデザインを使用して商品やブランドのコンセプトを自由に伝えることができます。商品のパッケージや同梱物、カスタマーサポートなどで自社の商品を独自のスタイルで表現し、ブランドイメージを一貫して維持することが可能です。商品の価値を高め、ユーザーに強い印象を与えブランドを成長させることにつながります。

D2Cを導入する際の注意点

D2Cを導入する際には、次の注意点が挙げられます。

  1. ロジスティクスの確立
  2. カスタマーサポート体制の整備
  3. 商品力が重要

ロジスティクスの確立

D2Cでは、自社で商品の出荷や配送までおこなうためロジスティクスを確立することが求められます。D2Cは製造業者が自社で商品を販売する方法であり製品の受注から納品まですべてのプロセスにおいて自社でおこなうことが必要です。

ロジスティクスが機能しなければ、商品が間違った場所に届いたり配送が遅延したりなどの問題が発生するなど、ユーザー満足度が低下する可能性があります。D2Cにおいてスムーズに運用するために適切な配送体制や在庫管理を整備することで、正確で迅速な納品を実現できるようになるのです。

カスタマーサポート体制の整備

ユーザーに直接商品を販売することから、直接コミュニケーションをとるケースが増えます。そのため、カスタマーサポート体制を整備することが重要です。ユーザーからの問い合わせ対応の仕方によってユーザー満足度に影響がでます。

商品力が重要

通販プラットフォームを使う場合は、プラットフォームが広告やマーケティング活動をするため、ユーザーを集めてくれます。しかし、D2Cの場合は自社で魅力的な商品を開発し、ユーザーを集める必要があります。つまり、D2Cは商品の魅力によって成功するかどうかが決まるビジネスモデルといえます。

まとめ

D2Cとはメーカーや製造業者が自社のECサイトを通じて直接ユーザーに商品を販売するビジネスモデルのことを指します。つまり、販売業者を介さずに直接取引をおこなうことがD2Cの最大の特徴です。商品の価格が低く抑えられるというメリットがあるほか、製造者はユーザーから直接的なフィードバックを得ることができます。

さらに、自社のECサイトを通じて、製品情報やブランドの価値観などをユーザーに直接伝えることができるため、ブランドイメージの向上にもつながります。ただし、物流や在庫管理などの課題もあるため、D2Cを展開するためには、十分な準備が必要です。データを分析しユーザーの意見や洞察を反映したサービスの開発や改善に取り組むことで、より強い信頼関係を築きロイヤルカスタマーを獲得できます。

一覧に戻る

関連コラム