- 経営戦略
コーポレート・トランスフォーメーション(CX)とは
コーポレート・トランスフォーメーションとは企業に大きな変革をもたらすことです。消費者ニーズの移り変わりが激しい現代において、事業を持続するためには変化する環境への対応力が求められます。
これまでと同じ取り組みを続けても利益拡大がむずかしくなるだけでなく、最悪の場合は廃業になってしまう可能性があります。そのため、多くの企業ではコーポレート・トランスフォーメーションを取り入れ、変化の激しい環境への適応力を身に付けようと取り組みを進めているのです。
コーポレート・トランスフォーメーション(CX)とは
コーポレート・トランスフォーメーション(CX)とは、企業そのものに大きな変革を起こすことです。今後は時代の変化に対応できる組織づくりをしなければ、事業を継続していくことは不可能とされています。また、一時的な対応力ではなく、環境の変化に合わせて対応し続ける力を持つことが大切です。
特に現代のコロナ禍による働き方の変化を受け、業務改革せざるを得なかった企業は数多く見受けられました。急に変化する環境の中でも事業を継続していくためには抜本的な改革が必要です。
また、同じくCXと略される用語でカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)といわれるものがあります。しかし、カスタマーエクスペリエンスは顧客がサービスを認知してから購入、使用するまでの過程を指すものであり、意味がまったく異なります。
DXとの関係性
企業がコーポレート・トランスフォーメーションを実行する際に欠かせないのがDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略です。DXとはデジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革するものであり、新たな価値を生み出すことを目的とした手法です。
多様化した消費者ニーズの変化にも柔軟に対応できることや、災害や感染症などの不測な事態が起きても事業を継続できます。また、環境の変化にも対応できるため、企業そのものを変革させるコーポレート・トランスフォーメーションの取り組みにおいて、DXは必要不可欠なものといえます。
コーポレート・トランスフォーメーション(CX)のメリット
コーポレート・トランスフォーメーションのメリットは次のとおりです。
- 生産性向上が期待できる
- スキルの高い人材が定着する
- 新たな商品やサービスを展開できる
生産性向上が期待できる
コーポレート・トランスフォーメーションを実現すると生産性の向上が期待できます。これまでの業務プロセスを見直して無駄な工程を省き、DX戦略により業務を効率化していくことで人手不足やオーバーワークといった問題の解決が可能です。
従業員の業務負担が軽減されるため、モチベーションの向上や1人ひとりの生産性向上につながるメリットもあります。加えてエンゲージメントの向上にも期待できるため、サービスレベルが上がり、顧客満足度を高められるメリットもあります。
スキルの高い人材が定着する
個人のスキルを発揮する機会を与えることで優秀な人材を定着させることが可能です。一方で、自身の能力が活かされない場所に魅力を感じないと従業員のモチベーション低下や生産性の低下にもつながってしまいます。
また、自身の能力を発揮できる場所を求めてほかの企業へ流出してしまうリスクも考えられるため、コーポレート・トランスフォーメーションの活用は多くの企業にとってメリットがあります。誰にでもパフォーマンスを発揮する機会を与えることで、従業員が自身のスキルアップを目指し、モチベーションの向上にも効果的です。
新たな商品やサービスを展開できる
コーポレート・トランスフォーメーションはイノベーション領域を拡大し、新たな価値を生み出すチャンスにつながります。たとえば既存の事業を維持しながら新ビジネスの展開も視野に入れることが可能です。
実際に自動車業界でのカーシェアや医療業界での遠隔治療など、既存事業と並行して時代のニーズに合ったサービスを展開している企業や個人の方は増加傾向にあります。消費者側のデジタル環境が整っている現代において、新たな商品やサービスを提供するチャンスは拡大しているのです。
コーポレート・トランスフォーメーション(CX)のデメリット
コーポレート・トランスフォーメーションのデメリットは次のとおりです。
- 手間とコストがかかる
- 従業員から不満を抱かれる
- 実現までに時間がかかる
手間とコストがかかる
これまで取り組んできた業務を変化させるには手間とコストがかかります。コーポレート・トランスフォーメーションの成功には従業員の教育が必要となり、業務がうまく稼働するまでには時間がかかることは間違いありません。
また、業務を変革させるとなればDX戦略が欠かせず、デジタル技術の導入などによるコストの負担も考えなければなりません。自社に適した最低限の取り組みをしたとしても、ある程度の負担はかかります。さらに成果が出るまでに時間がかかればかかるほど企業体力は消耗するため、慎重かつ適切な判断が大切です。
従業員から不満を抱かれる
労働環境や取り組みを変化させ、個人の能力やスキルなどを発揮させる機会を増やすことで、新しい事柄に不満を持つ従業員も一定数出てくる可能性があります。従来の働き方を一変するには従業員の理解を得ることが必要ですが、うまくいかなければ離職者が出る可能性もあるため注意が必要です。特に終身雇用や年功序列など、従来の雇用モデルのなかで長年勤続してきた従業員にとっては受け入れ難い面もあるかもしれません。
実現までに時間がかかる
数年先の目標を掲げていても環境の変化によりゴールにズレが生じた場合、企業側もその都度ゴールを設定し直すなどの変化を強いられます。そのため、コーポレート・トランスフォーメーションを実現するためには長期間の計画が必要です。変化に対応し続けることが最大の目的ですが、最後までやり切れずに体力が尽きてしまう企業も多く存在します。
コーポレート・トランスフォーメーション(CX)におけるポイント
コーポレート・トランスフォーメーションを実現させる際のポイントは次のとおりです。
- 社内に浸透させる
- 検証と改善を繰り返す
社内に浸透させる
経営トップや上層部だけの話し合いではなく、現場の従業員にもしっかりと説明責任を果たすこともコーポレート・トランスフォーメーションを実現するための施策です。従業員1人ひとりにコーポレート・トランスフォーメーションへ取り組むうえでのメリットとデメリットをきちんと理解してもらい、目標達成に向けて方向性を定めておくと、取り組むべき業務に取り組めます。反対に、方向性にバラつきが生じるとコーポレート・トランスフォーメーションはうまくいきません。
検証と改善を繰り返す
コーポレート・トランスフォーメーションを実行したら定期的に現状把握や検証、評価をおこなうと良いです。企業そのものを改革するには相当な準備とエネルギーが必要であるため、実際にコーポレート・トランスフォーメーションを実行した段階で達成感を抱いてしまいがちです。
しかし、実行だけで終わりではなく、しっかりと効果を検証して評価しなければ成果を得られません。検証から改善までのサイクルを継続的に循環させていくことがコーポレート・トランスフォーメーションを成功させるポイントです。
まとめ
コーポレート・トランスフォーメーションとは企業へ大きな変革をもたらすことを意味します。現代における環境の変化が激しいといった背景から多くの企業で注目されるようになり、取り組みが進められています。
コーポレート・トランスフォーメーションをうまく活用すると、生産性向上や新たな商品やサービスの展開が可能です。事業を存続するには社内へ浸透させる、検証と改善を繰り返すなどのポイントをおさえ、コーポレート・トランスフォーメーションの取り組みを進める必要があります。