2022.05.26

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。地球温暖化を抑制するため世界各国が2050年までにカーボンニュートラルを達成させることを目標にしています。

地球温暖化を抑制するために、企業でもカーボンニュートラルについて考えていく必要もあります。将来、環境のことを考えていない企業と投資家に判断された場合、この企業に未来はないと思われてしまい、投資を受けられなくなる可能性もあります。

企業活動を継続させていくためにもカーボンニュートラルについて考えることは必要不可欠です。

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カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、炭素を意味するカーボンと中立を意味するニュートラルを組み合わせた言葉です。つまり、カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするということを表しています。温室効果ガスとは、CO2やメタン、フロンガスなどを指します。自動車や航空機の利用や火力発電における化石燃料の燃焼などで温室効果ガスを私たちは地球上に排出しているのです。

しかし、温室効果ガスをまったく排出しないことは現状ではむずかしいため、排出量と吸収量と除去量を差し引いて、プラスマイナスゼロにすることを目指しています。

なぜカーボンニュートラルを推進しているか

世界各国がカーボンニュートラルを推進している理由は、地球温暖化問題を克服しようとしているからです。地球温暖化とは、温室効果ガスが大気中に大量に放出され、地球全体の平均気温が急激に上がり始めている現象を指します。

地球温暖化の一因は、1750年の産業革命により工業が発展し、化石燃料を大量に燃焼するようになったことです。地球温暖化の影響により地球全体の気温が上がることで、海面上昇や動植物の絶滅、病原菌の蔓延などを引き起こします。したがって、世界各国は地球温暖化を抑制するためにカーボンニュートラルを推進しているのです。

ESG投資とは

ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の略です。そして、ESG投資とは、環境と社会、ガバナンス(統治)に配慮している企業に投資することを指します。

企業は2050年のカーボンニュートラル実現に向け、ESGを意識して経営をおこなっていく必要があります。投資家の間ではESGを意識して経営をおこなっている企業かどうかを1つの判断材料としており、ESGを意識していない企業は持続可能な企業でないと判断されてしまいます。

企業経営において、カーボンニュートラルやESGは考えなければならないことの1つです。

産業別のカーボンニュートラルに向けた取り組み

産業別のカーボンニュートラル推進への取り組みは以下のとおりです。

  • 再生可能エネルギーへの転換
  • 電気自動車やPHEVの開発
  • 環境再生型農業
  • 省エネ設備の導入
  • 炭素税の導入

再生可能エネルギーへの転換

日本では石油や石炭、天然ガスを燃やして電力を確保する火力発電から再生可能エネルギーへの転換が進んでいます。再生可能エネルギーのなかでは特に太陽光発電の比率が増えてきています。2011年には全体の0.4%でしたが、2019年には全体の6.7%まで比率を高めました。

再生可能エネルギーの比率の変化
画像引用:もっと知りたい!エネルギー基本計画① 再生可能エネルギー(1)コスト低減、地域の理解を得てさらなる導入拡大へ(資源エネルギー庁)

再生可能エネルギーとは、太陽光発電や風力発電、地熱発電やバイオマス発電など、一度利用しても再生が可能であり、資源がなくならず繰り返し利用できるエネルギーのことです。

電気自動車やPHEVの開発

自動車業界はカーボンニュートラルの影響を特に受ける業界です。カーボンニュートラル実現に向けて、ガソリン車から電気自動車やPHEVへのシフトがおこなわれています。

PHEVとはPlug-in Hybrid Electric Vihicleの略で、日本ではプラグインハイブリッド車と呼ばれています。ガソリンエンジンと電気モーターを搭載しながら、外部からもバッテリーを充電することができます。

ガソリン車は2030年半ばまでに新車販売中止になることが決められています。

環境再生型農業

環境再生型農業とは、土の中の有機物を増やすことでCO2 を貯めて、大気中にCO2を排出するのを抑制する効果が期待されている農法です。

環境再生型農業の一種である不耕起栽培(畑を耕さず作物を栽培)は、土の中にCO2 を貯めるだけでなく、農業従事者の省力化や土の中に生息する生物の多様性を促せます。

環境再生型農業はアメリカやヨーロッパで広く取り入れられています。

省エネ設備の導入

建築業界や住宅業界でもカーボンニュートラルは促進されています。工場やオフィス、住宅に省エネ・創エネ設備を導入することで温室効果ガスの排出抑制につながります。

たとえば、ソーラーパネルを設置しエネルギーを作り出すことで使用する電力をまかなえます。そして、高断熱の建材を使用し熱の放出を防ぐことで省エネになります。

炭素税の導入

日本や海外でも炭素税の導入が進められています。炭素税とは、化石燃料や電気の利用量に対して課せられる税金のことです。日本では、2012年より化石燃料の輸入事業者などに対して、温対税と呼ばれる地球温暖化対策税を導入しています。

企業が取り組める取り組み

企業はこれから企業活動をおこなっていくために、カーボンニュートラルやESGを意識して経営をおこなっていく必要があります。カーボンニュートラルを実現するために企業が比較的取り組みやすい取り組みは以下の 2つです。

  • SDGs、ESG経営への転換
  • 再生可能エネルギーへの転換

SDGs、ESG経営への転換

企業はSDGsやESG経営を考えていく必要があります。SDGs(Sustainable Development Goals)とは持続可能な開発目標のことです。持続可能な社会にするために、2015年に国際社会で共通の17の目標を策定しました。

2022年時点、SDGsやESGを意識して経営をおこなっていない企業は、長い目で見て将来が不安だと投資家から判断される傾向があります。将来が不安だと投資家に思われた企業は、当然のことながら投資家から投資をしてもらいづらい状況になります。

地球環境を良くするためにも、企業が活動を続けていくためにも、SDGsやESGのことを考えた経営をおこなっていく必要があります。経営判断をしていくことは時間こそかかりますが、コストはかかりません。

環境のために、今何ができるかを常に考えていかなければなりません。

再生可能エネルギーへの転換

企業でも再生可能エネルギーを導入して、運用していくことができます。たとえば、企業のオフィスに省エネ・創エネ設備を導入することです。多くの企業はオフィスを建てたり、借りたりします。オフィスを建てるのであれば、高断熱の建材を採用して建物の保温性や遮熱性を高めることで空調にかかるコストを削減することができます。

また、もうすでにオフィスが建っていて、リフォームする予定のない企業はソーラーパネルを設置することで電気代を節約できたり、電気代をゼロにできたりします。

しかし、省エネ・創エネ設備の導入には工事費がかかるため、実現するためにはハードルは高くなります。

まとめ

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。カーボンニュートラルは、地球温暖化の抑制を目的としてパリ協定で決められました。

カーボンニュートラル実現のため、多くの企業で取り組みがなされており、投資家が投資対象の企業が環境のことを意識して経営をおこなっているかどうかを判断する傾向があります。そのため、企業は事業を継続していくために、カーボンニュートラルのことを考えて経営をおこなうことが必要です。

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