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BCP(Business Continuity Plan)とは
BCPとは自然災害をはじめとする緊急事態が発生した際、ダメージを受けた事業を迅速に復旧させるための計画です。事業が緊急事態の影響を受けると運営に支障が出てしまい、最悪の場合は企業の倒産も考えられます。そのため、どんな事態にも対応できるBCPの設計が必要です。
BCPの設計には企業価値の向上や業務の見直しが可能であるなどのメリットがあります。一方で、実際にBCPが機能しないケースがある、設計にコストがかかるといったリスクもあるため、BCPに取り組む際は注意が必要です。
BCPとは
BCP(Business Continuity Plan)とは自然災害やパンデミックなどの緊急事態が発生した際、事業が受ける被害を最小限にとどめ、迅速に復旧するための計画を意味します。緊急事態はいつ発生するか分からないため、日頃から備えておく必要があります。
BCPの目的
リスクマネジメントを目的としてBCPを設計する企業が多いです。特に近年は温暖化による異常気象やグローバル化による感染症の拡大が起こり、緊急な対応を迫られるケースが多々あります。
緊急事態に対応できるよう対策を練っていない企業は事業衰退の恐れがあるうえ、倒産の危機が原因で周りからの信頼も低下してしまいます。そのため、いつでも緊急事態に対応できるようBCPを策定する必要があります。
国内におけるBCPへの取り組み
国内では企業の規模によって、BCPへの取り組み方が異なります。令和3年度の時点では大手企業の70.8%がBCPに取り組んでいるのに対し、中堅企業は40.2%が取り組みを進めています。(参考:令和3年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査(内閣府))
BCPを策定する企業の割合は年々増えていますが、中堅企業ではまだ十分に浸透していません。今後はBCPの重要性に気付き、導入をはじめる企業の増加が予想されます。
BCPのメリット
BCPは企業が衰退するリスクを減らす重要な要素です。質の高いBCPを策定するためにはメリットを把握し、最大限に活かす必要があります。BCPのメリットは次のとおりです。
- 企業価値が向上する
- 災害へ柔軟に対応できる会社になる
- 核となる業務を把握できる
企業価値が向上する
緊急事態発生の影響で、いつ事業がストップするか予測ができません。そのため、株主や取引先、顧客などから災害時に迅速な対応できる企業と評価されると、企業の信頼度や価値が向上します。企業価値が上昇すると顧客から仕事の依頼が増え、取引や利益の拡大が期待できます。
災害へ柔軟に対応できる会社になる
自然災害やパンデミックなどの緊急事態は突然発生し、企業における事業への取り組みを阻害します。何も対策をしていない場合、企業は緊急事態の影響を受け、利益や評価の低下が予想されるため緊急時への対策は必須です。
緊急事態が発生する前にBCPを策定しておくと、災害へ柔軟に対応できます。事業の復旧を迅速におこなうことで、いち早く市場における顧客の獲得が可能です。
核となる業務を把握できる
BCPの策定プロセスでは緊急時に備えて、対応する重要な業務や優先事項を確認します。そのため、企業の核となる業務を把握でき、企業戦略を見直す機会が生まれます。業務内容やプロセス、優先事項の確認は新たな戦略の立案にもつながるはずです。
BCPのリスク
BCP活用の失敗を防ぐためには、リスクを極力おさえる必要があります。BCPのリスクは次のとおりです。
- BCPが機能しないケースがある
- コストがかかる
- BCPに欠陥がある
BCPが機能しないケースがある
策定したのはいいものの、緊急事態の発生時にBCPが予定通りに機能するケースは多くありません。対策の段階にもよりますが、十分に準備できていないとBCPがまったく機能しない場合もあります。BCPの設計では想定外の出来事にも対応できる策も考え、シミュレーションをおこなうのがベストです。
コストがかかる
BCPを完成させるにはコストが必要です。具体的には、設計に取り組む担当者の人件費やデータ管理のコスト、必要であればBCPに精通する会社へのコンサルティング費用などが挙げられます。しかし、緊急事態発生時にBCPを機能させるには十分な対策が必要であるため、コストをかける価値は十分あります。
BCPに欠陥がある
BCPに欠陥がある場合、緊急事態が発生した際に実践で機能しません。たとえば実現できない対策をBCPに組み込んでしまっているケースや、基礎的な要素しか計画に組み込んでいないケースが挙げられます。そのため、どんな問題にも対応でき、実際に行動に移せるBCPを考える必要があります。
BCP設計の流れ
以下の手順でBCPの設計をおこないます。
- 方針を定める
- 体制と優先業務を決定する
- BCPを設計する
- BCPを改善する
方針を定める
まずは何を目的として自社がBCPへの取り組みを進めるのか方針を決定します。組織全体で取り組みを進めるには、一丸となるための目的が重要です。方針の決定は基盤であるため、雑に決めてしまうとBCPは適切に機能しません。
体制と優先業務を決定する
BCPの設計に取り掛かるメンバー決めや緊急時に優先的に取り組む業務の決定をおこないます。責任者を決め、方針に沿ってBCPを設計します。また、緊急事態への対策に必要な業務を浮き彫りにし、核となる業務を選定することで事業プロセスの見直しも可能です。
BCPを設計する
選定した優先業務をもとに、BCPを設計します。想定できない出来事にも対応できるようシミュレーションをおこない、本番に向けた入念な準備が必須です。また、BCPを機能させるために実行できる内容にする必要があります。
BCPを改善する
BCPを設計しても、はじめから完璧な計画内容とは限りません。何度もシミュレーションをおこない、BCPの欠陥部分や課題を見つけ、改善する必要があります。また、組織内で業務の変革や取引先の大きな変動があった場合に、都度修正が必須です。
BCPの運用におけるポイント
BCPのリスクをおさえるためには、運用に役立つポイントを意識すると効果的です。BCPの運用におけるポイントは次の通りです。
- 検証と改善を繰り返す
- BCPを周知する
検証と改善を繰り返す
BCPの策定において、はじめから完璧な内容を定められる訳ではありません。現状のBCPで検証しつつ、課題を発見したら改善するのがベストです。シミュレーションをおこなうと実際に災害が起きた際、柔軟に対応できる力が身に付き、十分に機能するのか確認ができます。
BCPを周知する
災害時にBCPをうまく進行させるためには、従業員がBCPについて理解を深めておく必要があります。メールやチャット、直接のコミュニケーションなど、BCPを従業員へ周知すると良いです。周知だけでなく、実践できるよう教育をおこなっておくと、災害が起きた際に柔軟な対応が期待できます。
まとめ
BCPとは緊急事態の発生時、事業が受ける被害を極力おさえ、いち早く事業を復旧するための計画を意味します。自然災害やパンデミックなどの緊急事態はいつ起こるか予測できないため日頃から対策が必要です。しかし、BCPに欠陥部分があると、実践でBCPが機能しないリスクがあります。
そのため、BCPを設計する際は、想定外の出来事にも対応できる入念な対策を練る、緊急時に実行できる業務内容であることが必要です。十分に検討したBCPであれば、緊急事態の発生時に柔軟な対応ができます。