2022.11.17

BizDevOpsとは

BizDevOpsとは、従来の技術部門(Development)と運用部門(Operation)を連携させる考え方にビジネス部門(Business)まで含めた概念であり、生産性を高めることが目的です。従来のDevOpsとよばれる技術部門や運用部門の連携だけでは十分な生産性が発揮できず、BizDevOpsの重要性が高まっています。

BizDevOpsとは

BizDevOps(ビズデブオプス)とは開発を担当している技術部門(Development)と運用部門(Operation)、ビジネス部門(Business)を連携することにより、生産性を高めることを目的とした概念です。これまで技術部門と運用部門が連携するDevOpsといった概念は浸透していました。しかし、これまでは技術分野の域にとどまっていたことから、ビジネス上においての評価をしにくいことが課題としてありました。

DevOpsをスムーズにおこなってもビジネスのスピードにつながらなければ結果につながらないことから、ビジネスを含めたBizDevOpsが注目されています。DevOpsにおいては、運用部門ではSLA(Service Level Agreement、サービス品質保証)を満たしたシステムの稼働、技術部門ではニーズの高いアプリケーションの開発のように、それぞれ連携することによってスムーズな開発ができていました。しかし、収益を意識したり顧客のニーズを直接聞く機会のあるビジネスと連携ができておらず、開発した商品やサービスが売り上げや顧客のニーズを満たすことにつながっていませんでした。

そこで、ビジネス部門とも連動することで、開発部門は収益向上や顧客のニーズを意識でき、ビジネス部門は開発部門の観点においても仮説立案や検証をするようになりました。

BizDevOpsの特徴

BizDevOpsには次のような特徴が挙げられます。

  1. 顧客の課題を解決しやすい
  2. 生産性の向上ができる
  3. 攻めの運用ができる

顧客の課題を解決しやすい

システムを導入するうえで顧客が不安に感じる点として、システムを導入したあとのサービス対応が不安、求めるビジネスのスピードに開発が追いついていない、変更や追加点が多く想定していた予算を超過してしまったなどが挙げられます。これらの課題に対して、開発部門とビジネス部門が連携することによって、スムーズな対応が可能です。

例えば、システムを導入したあとのサービス対応に関してはビジネス部門が定期的に顧客とのやりとりをしながら、改善が必要な部分において開発部門とスムーズな連携が可能です。このほかにも開発部門とビジネス部門において認識のずれをなくすことによって、解決できる課題が多くなります。

生産性の向上ができる

BizDevOpを導入する大きなメリットとして、生産性の向上が挙げられます。新たに開発したり変更したりしながら、スムーズにビジネスにつなげることができれば生産性の向上につながります。それぞれの部署においてデータを共有することにより、無駄を省いたり改善をしたりすることにより業務効率化につなげることも可能です。

攻めの運用ができる

従来の企業の運用担当者は、システム目標値に到達していない場合への対応が主な業務でした。しかし、BizDevOpsを導入することで運用担当者も組織の意思決定に係わることになります。顧客のニーズはめまぐるしく変化しており、対策をするためには運用現場が持つノウハウや知見をビジネスチームや技術担当者と共有することで対応することが重要です。

BizDevOpsのメリット

BizDevOpsには次のようなメリットが挙げられます。

  1. データ分析がしやすい
  2. オペレーション改善につながる
  3. ユーザーの声が開発チームに届く

データ分析がしやすい

BizDevOpsを導入することによって、部署間でデータを共有でき定量的な視点でデータ分析が可能です。運用部門とビジネス部門、それぞれが持つデータを合わせることにより戦略的なビジネスの進展につなげることができます。さらに、データを活かした運用ができるようになりました。

つまり、顧客のデータをリアルタイムで把握することにより開発や改善ができ、結果的に収益につながりやすい仕組みにすることが可能です。従来は、ビジネス部門はKPIを、開発部門は必要なシステムが要件を満たしていることが大きな目的でした。BizDevOpsを導入しデータを共有することで、開発部門がビジネスKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を、ビジネス部門がシステムにおける指標(レスポンスタイムや稼働率、ディスク容量など)を把握できるようになりました。

オペレーション改善につながる

共有したデータを活かして、オペレーションの改善につなげることも可能です。それぞれの部署において見つかった課題を調整することで、業務改善につなげられます。ビジネス部門と運用部門がデータを共有することにより、プロジェクト全体的な状況を可視化でき意思決定しやすくなるメリットがあるのです。

ユーザーの声が開発チームに届く

これまで開発部門と運用部門が連携しても、ユーザーの声が届かない課題がありました。ビジネス部門と連携することにより、顧客の声が開発チームに直接届くようになりました。開発チームは顧客のニーズを把握したうえで商品開発ができ、売り上げにつなげることが可能です。顧客のニーズを把握することで、無駄に複雑な開発を省くことができ、ニーズが変化したときにも対応しやすくなります。

BizDevOpsを実現するために必要なこと

BizDevOpsを実現するためには次のことが必要です。

  1. 開発とビジネスにおいて知見のある人材
  2. 組織改革

開発とビジネスにおいて知見のある人材

開発とビジネスにおいて連携するためには、両方の分野において知見やスキルのある人材が必要です。そのため、BizDevOpsを実現するためには人材の育成から取り組むことが求められます。

組織改革

BizDevOpsはビジネス部門、運用部門、技術部門が連携することでよりビジネスにおけるスピードと精度を高めます。しかし、いきなり組織体制を変更できるわけではなく大幅な組織改革が必要です。そのため、実際にBizDevOpsを導入するためにはプランニングから実現まで時間がかかります。

まとめ

BizDevOpsとは、技術部門や運用部門に加えてビジネス面も含めて連携することにより生産性を高める概念です。これまで技術部門と運用部門が連携するDevOpsといった概念は浸透していました。しかし、ビジネス面まで考慮しなければ生産性の向上にはつながりません。そこで、BizDevOpsの重要性が高まっています。

しかし、BizDevOpsを実現させるためには大がかりな組織改革が必要です。BizDevOpsはビジネス部門と開発部門をまたいだ概念であり、顧客のニーズが直接開発部門に届くのが大きなメリットです。顧客のニーズを満たすことが重要な現在において、ビジネス部門と開発部門を連携することでスムーズな商品の開発や改善をしやすい環境が求められます。

BizDevOpsには、開発部門とビジネス部門の両方においてスキルや知識のある人材が必要であり、人材育成が急務となります。

一覧に戻る

関連コラム