2023.09.26

ウェルビーイングとは

ウェルビーイングは、身体的な健康だけでなく、心理的な幸福や社会的なつながり、生活の質の向上など、個人が幸せで満足した状態にあることです。健康がウェルビーイングと結びついた状態であることを考えると、単に病気や障害がないだけでなく、幸福感や社会的なつながりが重要な健康の要素となることが分かります。

ウェルビーイングを促進するためには、個人の心身の健康を支えるだけでなく、社会や環境の整備が必要です。企業が従業員のワークライフバランスを重視した働き方改革や健康支援をおこなうことで、従業員のウェルビーイングを向上させることにつながります。

ウェルビーイングとは

ウェルビーイング(well-being)とは、健康や幸福などをふくめて社会的に良好な状態です。近年、個人の幸福だけでなく、組織や地域全体のウェルビーイングにも注目が集まっています。健全な職場環境やワークライフバランスの整備が、従業員の生産性向上につながることが明らかになっています。

世界保健機関憲章では、健康について肉体的や精神的、社会的に満たされている状態であると定義しています。この健康の定義は、ウェルビーイングとも関連しており、より包括的な健康の状態を示しています。

健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。
引用:健康の定義(日本WHO協会)

ウェルビーイングが注目される背景

ウェルビーイングが注目される理由として次のような背景が挙げられます。

  1. 働き方改革
  2. ニーズの変化

働き方改革

日本は終身雇用や年功序列が減りつつあることにより、働き方が多様化しています。また、ワークライフバランスの向上や社会問題への対応などの目的で働き方改革関連法が施行されました。働き方が多様化するなかで、企業や社会全体でウェルビーイングを重視し、社員や労働者の幸福感を向上させる取り組みが進められています。

ニーズの変化

ウェルビーイングが注目されるようになった要因として、企業のニーズが変化したことが挙げられます。利益や売り上げなどの経済指標を優先した結果、貧困や地球環境などの問題が発生しました。そこで、よりよい社会を作る、心の豊かさが求められるようになりました。

ウェルビーイングの要素

ウェルビーイングには次のような要素が挙げられます。

  1. ソーシャルウェルビーイング
  2. フィジカルウェルビーイング
  3. キャリアウェルビーイング
  4. コミュニティウェルビーイング
  5. ファイナンシャルウェルビーイング

ソーシャルウェルビーイング

ソーシャルウェルビーイングとは、人間関係が良好で親しい友人を持つことが幸せにつながるといった考え方です。このアプローチでは、社会的なつながりや人間関係が人々の幸福感に大きく寄与すると考えられています。よい友人や家族との交流は、孤立感を減らし、心の安定や支えをもたらすことがあります。

人間関係の質が高いほど、ストレスの軽減やポジティブな感情を得やすくなると考えられていることが特徴です。また、ソーシャルウェルビーイングには心理的な側面だけでなく、社会的な側面も含まれます。良好な人間関係を持つことで、コミュニケーション能力が向上し、人との協力や共感が生まれやすくなるといった効果もあります。

フィジカルウェルビーイング

フィジカルウェルビーイングとは、体の健康が幸福につながることを指します。このアプローチでは、身体的な健康が個人の幸福に大きく影響すると考えられていることが特徴です。健康的な身体を持つことで、日常生活における活動性やエネルギーが向上し、ストレスや疲労の軽減にも効果があります。

フィジカルウェルビーイングの重要な要素として、適切な栄養摂取、運動習慣の確立、十分な睡眠などが挙げられます。これらの健康習慣を身につけることで、体の免疫力や代謝が向上し、健康的な体を維持できるといった考え方が特徴です。

キャリアウェルビーイング

キャリアウェルビーイングとは、仕事や子育て、勉強している時間が充実していることを指します。仕事にて、やりがいや成果を感じることがキャリアウェルビーイングにつながります。自分の能力を活かし、成長できる職場環境やキャリアパスが提供されることが重要です。また、ワークライフバランスを保ちながら仕事に取り組むこともキャリアウェルビーイングに影響を与えます。

学習にて、興味のある分野で知識やスキルを深めることが自己成長につながります。自己啓発を意識し、学び続けることでキャリアウェルビーイングが向上する仕組みです。子育てにて、子供との時間を大切にし、子供の成長を見守ることがキャリアウェルビーイングにつながります。家族とのコミュニケーションや共有時間を大切にすることで、子育ての喜びを感じることができます。

コミュニティウェルビーイング

コミュニティウェルビーイングとは、グループに参加することで幸福を感じるといった考え方です。例えば、地域のコミュニティ活動やボランティア活動に参加することで、地域の人々と交流し、協力し合うことで充実感を得ることができます。また、趣味や興味を共有するサークルやグループに参加することで、同じ志を持つ仲間と交流することで心の豊かさを感じることが可能です。

コミュニティウェルビーイングは、個人が孤立せずに社会とつながり、共感や支援を受けることによって心理的な充足感を得る重要な要素です。コミュニティへの参加は、ストレスの軽減や孤独感の緩和にも役立ちます。そのため、人々がコミュニティに参加し、交流することが心の健康とウェルビーイングを促進する1つの方法です。

ファイナンシャルウェルビーイング

ファイナンシャルウェルビーイングとは、経済的な幸福を指しますが必ずしも収入と比例しない場合があります。例えば、収入が高くても貯蓄が少なかったり、多額の借金があったりする場合、経済的な不安やストレスを感じることがあります。一方で、収入があまり高くなくても適切な節約や賢いお金の使い方をしている場合、経済的に安定していて満足感を得ている場合も少なくありません。

ファイナンシャルウエルビーイングは、収入だけでなく、経済的な安定感や自己管理能力、将来への備え、貯蓄や投資の健全性など、さまざまな要素に影響を受けます。経済的な幸福を追求するためには、個々人が自分自身の価値観や目標に合わせた賢いお金の使い方や計画的な経済管理が重要です。

ウェルビーイング経営をする目的

ウェルビーイング経営には次の目的があります。

  1. 人材の確保
  2. 生産性向上

人材の確保

ウェルビーイング経営を実践することは、企業にとって人材の確保と維持に非常に重要な影響を与えます。ウェルビーイング経営では、従業員の健康や幸福感を重視し、働く環境を改善する取り組みが特徴です。例えば、健康プログラムの導入、ストレスマネジメントの支援、ワークライフバランスの促進などが含まれます。

これにより、従業員がより快適な職場で働ける環境が整い、働く意欲やモチベーションが高まります。人材の確保は企業の成長にとって重要な要素であり、ウェルビーイング経営はこれを実現するための有効な手段として注目されています。従業員の幸福感と働きやすさを重視することで、企業の魅力を高め、優秀な人材の獲得や定着を促進することが一般的です。

生産性向上

ウェルビーイング経営に取り組むことで、従業員の健康や満足度向上につながります。このことで、生産性が高まるほか、優秀な人材の確保が可能です。従業員がウェルビーイングを感じる職場では、モチベーションが高まり、働きがいを感じることができます。

これにより、従業員の生産性が向上し、結果として企業の業績も向上します。また、健康的で満足度の高い職場環境は、従業員の定着率を高める効果もあります。優秀な人材を確保し、優れた人材が長く働くことで、企業の競争力を強化することが可能です。

まとめ

ウェルビーイングは、肉体的や社会的、精神的に満たされた状態にあることです。企業や社会でのニーズの変化や働き方改革など環境が変わったことによって需要が高まっています。ウェルビーイングに取り組むことによって、人材の確保や生産性の向上などのメリットがあります。

従業員が充実した状態で働くことでモチベーションが高まり、生産性の向上にも繋がります。また、ウェルビーイングの推進によって、ストレスやメンタルヘルスの問題を予防し、健康な職場環境を構築することが可能です。

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