- 組織人事
人事評価制度のトレンド
人事評価制度のトレンド手法は企業の成長に欠かせない要素です。変化する時代とともに人事評価制度も改善する必要があり、トレンド手法を取り入れると適切な評価方法を設定できるうえ、従業員の生産性向上や優秀な人材の獲得が可能です。
評価方法にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。企業がトレンド手法を人事評価制度に導入する際、失敗によって組織が弱体化するのを防ぐために企業の方針やトレンド手法について熟知が必要です。
人事評価制度とトレンド手法
人事評価制度の目的は企業の成長を促進することです。時代に合わせてさまざまな評価制度が生まれてきましたが、現代においても同様、時代に合わせた新しい評価制度が生まれています。
変化の激しい現代では、社会の変化に合わせて個人の成長スピードも早いです。そのため、短期的な期間、もしくはリアルタイムでの評価や評価内容を公開することで納得感を高めるなどの人事評価制度がトレンドになっています。
人事評価制度にトレンド手法を導入するメリット
人事評価制度にトレンド手法を導入するメリットは次の通りです。
- 生産性の向上
- 人材の獲得
- 生産性の低い人材の浮き彫り
生産性の向上
トレンド手法を人事評価制度に組み込むと適切な評価が可能であるため、生産性向上が期待できます。個人の成果だけでなく業務に取り組むプロセスを評価すると、より公平な評価が可能です。
誰もが納得できる評価体制を整備できるため、従業員はより質の高い取り組みをおこなうはずです。個人での成長が期待できるうえ業務が効率的に進み、組織としての生産性も向上します。
人材の獲得
トレンド手法を人事評価制度に採用する企業は時代に合わせた戦略や方針が定まっています。ニーズや時代の変化に対応できている企業は、社会の変動に敏感であることをアピールすれば、就職先を探す人たちからは魅力のある企業に見えます。認知が広がればより優秀な人材の獲得が可能です。
生産性の低い人材の浮き彫り
成果だけでなく、あらゆるプロセスが明確化するトレンド人事制度では、これまで気付かなかった従業員の取り組む姿勢をリアルタイムで確認できます。従業員の業績を可視化する人事制度は、生産性の低い人材を浮き彫りにできるため、育成の強化が可能です。成果を出さないと評価されないため、従業員の業務におけるモチベーション向上にもつながります。
人事評価制度にトレンド手法を導入するリスク
人事評価制度にトレンド手法を組み込むリスクは次の通りです。
- 長期在籍の社員からの反発
- 組織弱体化
長期在籍の社員からの反発
トレンド手法では従来の評価方法を基準に業務に取り掛かっていたベテラン社員に不利なケースがあります。また、これまでの人事評価制度に慣れていた従業員は、急な変更に負担を感じる可能性もあります。
制度の変更に不満を抱いた場合、社員からの反発や優秀な人材の退職のリスクがあるため注意しなければなりません。新たな評価制度を導入する際は、従業員へ変更の意図を説明する必要があります。
組織弱体化
人事評価制度は従業員のモチベーションにつながります。そのため、人事評価の変更に失敗すると従業員の生産性が落ち、組織の弱体化が危惧されます。
トレンドは大切ですが、雑に導入すると失敗するため急にすべてを切り替えるのではなく、入念な検討が必要です。導入の際は評価制度について社員への具体的な説明をするべきです。
人事評価制度におけるトレンド手法
トレンド手法にはさまざまな種類が存在します。人事評価制度におけるトレンド手法は次の通りです。
- リアルタイムフィードバック
- ノーレイティング
- 360度評価
- OKR
- バリュー評価
- コンピテンシー評価
- ピアボーナス
リアルタイムフィードバック
リアルタイムフィードバックとは短いスパンで定期的に評価する手法です。2週間や1ヶ月に1回など高頻度で評価をおこないます。部下と上司が1対1でコミュニケーションを取り、現状の確認や今後の目標を決定します。リアルタイムフィードバックは評価者に負担がかかるため頻度には注意が必要です。
ノーレイティング
ノーレイティングは従業員をランク付けしない評価手法です。等級を設定せずにリアルタイムで目標設定をおこない、フィードバックしつつ評価を行います。細かいフィードバックができるため適切な評価を実現できます。
従業員どうしのコミュニケーションも増え、モチベーションの高め合いにも期待できます。しかし、評価するには十分なスキルが必要であるうえ評価側の負担が大きいことに注意が必要です。
360度評価
360度評価はさまざまな視点から従業員の評価をおこなう手法で、上司や同僚、クライアントからの評価を受けます。あらゆる立場の人から違った目線で評価されるため、自分に足りない部分が鮮明になります。評価を細かく明確にすることでより質の高い人事評価を実現できるうえ、納得感のある評価が可能です。
OKR(目標管理手法)
OKR(Objectives and Key Results)は目的と主要成果を意味し、組織と個人で達成するべき目標をリンクさせ、大きな成果を出す手法です。目標達成度を基準にして評価をおこなえます。
はじめは企業の目標を設定し、チーム、個人へと細かく指標を設定します。作業量が増え、1人当たりの負担が大きくなるリスクに注意が必要です。
バリュー評価
バリュー評価とは企業の方針に合わせて個人がどれくらい貢献できたのか評価する手法で、組織が一丸となって目標達成に取り組めます。数値で評価を表現しにくいため、企業の求める行動パターンや人物像を評価基準として説明するのが一般的です。バリュー評価を企業で運用するには、従業員が企業の目指す方向性を十分に理解する必要があります。
コンピテンシー評価
コンピテンシー評価とは優れた業績を持つ従業員をもとに行動特性を分析し、評価項目に導入する手法です。より具体的な基準が設定できるため、従業員がどのように取り組めば評価されるのか明確化でき、モチベーションの向上や人材育成に役立ちます。
ピアボーナス
ピアボーナスとは個人の行動を従業員同士で評価する手法です。システムで評価をオープンにすることで、従業員同士で評価を確認でき、感謝や助言などのメッセージを送り合うことも可能です。評価が明確になることで、隠れた優秀な人材の発掘につながるうえ正当性があり、従業員も不信感を抱かず評価に納得できます。
人事評価制度のポイント
人事評価制度のポイントは次の通りです。
- 企業の方針に適するか確認
- トレンド手法について熟知
- プロセスの確認
企業の方針に適するか確認
人事評価制度にトレンド手法を導入する際は、自社の方針に適しているかの確認が必要です。トレンド手法の種類は多様であり、1つひとつ特徴が異なるため、企業は方針に適する手法を導入しなければ失敗につながります。
業務効率化を目指す場合と従業員どうしのコミュニケーションを活性化させたい場合とでは導入する評価手法は異なります。そのため、導入をはじめる前に企業の方針とマッチする評価方法の確認が必要です。自社に適するかシミュレーションも必須です。
トレンド手法について熟知
数多くあるトレンド手法にはそれぞれメリットとリスクがあります。最適な評価制度を実現するにはメリットを活かしつつ、リスクを極力減らせるよう方針を固める必要があるため、トレンド手法についての十分な知識が必要です。評価項目や基準にも違いがあるため、しっかりと評価方法について把握しなければ適切な評価は実現できません。
プロセスの確認
新しく評価制度を導入するにあたり、自社で最適な評価を実現するには導入プロセスの確認が必須です。導入する工程のなかで課題を見つけ、実際に評価制度の運用をはじめた際に問題が生じないよう改善に取り組みます。
まとめ
正当な評価を実現するには、変化する時代に合わせて人事評価制度にトレンド手法を導入する必要があります。トレンド手法の導入は生産性向上や優秀な人材の獲得などのメリットがある一方で、組織の弱体化やベテラン社員からの反発といったリスクがあります。
トレンド手法には複数の種類があり、特徴はさまざまです。新しい人事評価制度を導入する際は、企業の方針にマッチした手法を取り入れるのがベストです。