2022.02.08

人材育成における課題点とは

人材育成の目的は従業員を仕事ができるようにすることだけではなく、会社の戦力となりさらに社会に貢献できるような人材を育成していくことがゴールです。そのため人材育成をするためには、会社の仕事のやり方やルールなどを教えればいいだけではないのです。

また人材育成をすることにより、会社の生産性を高めさらに社会における会社の評価を高めてくれるのです。しかし人材育成は決して簡単なことではなく、多くの企業が人材育成において課題を抱えています。

なぜ人材育成の課題が発生するのか

人材育成の課題が発生する大きな理由として、人材不足があげられます。優秀な人材を採用するのが難しくなっていること以外に、教育をする側の人材不足もあります。またフリーランスなど働き方の増加も、人材育成に影響しています。

少子化や高齢化社会における人材不足

日本は以下のように少子化や高齢化社会が進むことから、 労働者に該当する15歳から64歳の年齢層の人数が減少しています。このため各社は優秀な人材を採用することに四苦八苦している状態なのです。

年齢区分別人口の割合の推移(1950年~2019年)

年齢3区分別人口の推移(1950年~2019年)

画像は人口推計 2019年(令和元年)10月1日現在 概要(総務省統計局)より

働き方改革の影響

働き方改革は元々少子化や高齢化が進む日本社会において、女性の職場進出や高齢者の採用など幅広い働き方を実現しようと始まったものです。また不正な長時間労働や残業を防ぐことにより労働者を守り、人材を確保する目的もあります。

しかし働き方改革の影響もあり、現在ではフリーランスなど様々な働き方が誕生しています。つまり優秀な人材が必ずしも会社員勤めするわけではなく、独立した働き方を選択する人が増えているのです。

2021年3月30日の日経新聞によると、新型コロナウイルス禍の影響もあり国内のフリーランス人口は約1670万人となり、前年比で57%増えています。(参考:日経新聞「国内フリーランス人口1670万人に、コロナ禍以降6割増」)

人材育成の課題を解消する方法

前述のように日本は高齢化や少子化が進んでいることから年々労働人口が減っています。さらに働き方改革によりフリーランスなど様々な働き方をする人が増えている状況です。しかし中には様々な施策を導入することにより、人材を確保している企業も増えています。

人材育成への費用の増加

人材育成に成功している企業は、人材育成への費用の割合を増やしています。例えば社員のスキルを伸ばすために教育関連の費用を増やしたり、またさまざまな福利厚生に加入したりしている企業もあります。

従業員にかける費用を削っていては 良い人材育成にはつながりません。

IT活用

DXや会計システムなどのITシステムを活用することにより、人手不足の対策ができます。またイーラーニングなどの研修に関してもITシステムを導入することにより、新しく入った人でもこれまで企業がやってきたことや、現在取り込んでいることが一目でわかるようにできます。

そのため新入社員などに教育する人手が足りていない状態でも、充実した教育システムを作ることができるのです。

アウトソーシングの活用

繁忙期に極端に忙しくなる企業や、一時的に特別なスキルを持つ人材を必要とする企業はそれぞれ対応する社員を育てるのではなくアウトソーシングを活用して、必要な期間において必要なスキルを持った人材を取り入れることで人材不足の課題を解決しているのです。

またこれらの業務内容を外部の人間に任せることによって、企業の人間はコアな業務に集中することができるため人材育成につなげることができます。

職場環境の見直し

企業にとってせっかく育成した人材がやめてしまうことは、大きなマイナスとなります。そのため従業員が長期間働くために、職場環境や労働条件の改善が人材育成につながります。

違法な労働時間を社員にさせていないか、情報管理をしっかりとしているか、感染対策をしっかりとしているか、 労働法にあった賃金の支払をしているかなど職場環境を改善することにより社員の離職率を下げることができます。

さらに現在では様々な福利厚生があり、社員の離職率を下げる工夫を様々な企業がしています。

人事評価制度

職場環境の見直しにもつながりますが、人材育成につなげるための制度として人事評価制度があげられます。社員の普段の仕事内容を客観的に評価することにより、昇進や給料アップに反映させる制度をいいます。

人事評価制度がはっきりとしていることで、従業員一人ひとりのモチベーションを上げることができ、人材育成に繋げることができます。

指導者の育成

いくら人事評価制度がしっかりとしていても、指導者によっては成長の度合いが変わってくることがあります。指導者の育成力不足は現在の人材育成における課題点と直結しています。

そのためまず指導者の意識を改善することが必要になります。そのためには指導者一人にすべてを任せるのではなく、会社全体で人材育成に取り込むことが重要です。

また社内ですべてを賄うのではなく、指導者候補の人材に外部セミナーなどを受講させることも大切です。指導者には指導者に必要なスキルがあり、それらのスキルが足りていないと会社全体の受ける人材育成に影響してしまいます。

外国人や障がい者、女性の積極採用

日本では少子化や高齢化社会となっていますが、政府による助成金対象になることからも外国人や障がい者、また女性の積極採用を進めている企業が増えています。女性の採用に関しては、企業が育児に対する理解度を高め出産をした女性が働きやすいような環境作りをしているのです。

業務内容にもよりますが、必ずしも優秀な人材=健常者というわけではありません。障がいを持った方の中には、スキルを持った人は多く、リモートワークなどを活用してその優秀なスキルを生かすことに工夫しています。

最後に外国人採用ですが、海外では労働適齢年齢の人口が増えている国もあります。実際に日本で働く海外の労働者は年々増えています。外国人労働者を採用すると人材不足の解消だけではなく、日本人が持っていないようなスキルを企業に取り入れることができます。

また今後海外展開を広げようとしている企業にとって、外国人労働者の採用はそのきっかけとなる可能性もあります。

会社全体で人材育成を行う

人材育成の課題点は様々な点があげられますが、会社全体で対処していかないと解決できる問題ではありません。現在企業が抱えている人材育成における課題点を洗い出し、ひとつひとつ長期スパンで解決していく必要があります。

人材育成は生産率の向上や売上の向上に最も直結するといっても過言ではありません。さらに人材育成が充実している企業は、社会からも評価される傾向にあります。

最後に人材育成に必要なのは、職場環境を良くし従業員一人ひとりのモチベーションを上げることが必要なのはいうまでもありません。

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