2022.04.12

新規事業に関連する補助金

補助金とは国や地方自治体が、それぞれの政策にあわせて事業者の取り組みをサポートしているものです。補助金は助成金と同じで返済不要ですが、審査があり、必ずしも補助金を受けられるとはかぎりません。

また、補助金には予算の上限があることから、申込期間が短いため定期的に情報を確認しておく必要があります。補助金によってもさまざまですが、早いと2月頃から遅くて6月頃まで応募しています。補助金は後払いですので、実施後に検査をして清算払いする制度です。

新規事業を立ち上げるときに補助金を利用するメリット

新規事業を立ち上げるときに補助金を利用するメリットには、以下の2点が挙げられます。

  • 返済不要
  • 助成金より金額が高い

返済不要

補助金は融資を受けるのとは違い、返済をする必要がありません。そのため、事業所の家賃や販路開拓などの負担を減らすことができます。余裕ができた場合にはさらなる事業の発展につなげることも可能です。

助成金より金額が高い

補助金は助成金よりも金額が高いことがほとんどです。補助金によっては100万から1,000万円を超える場合もあります。助成金と比べても金額が大きく、費用のかかる立ち上げをするときに大きなメリットとなります。

新規事業に関連する補助金

新規事業に関連する補助金には、主に以下の3種類が挙げられます。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • 事業承継補助金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は小規模の事業者が販路開拓を進めるために必要な経費の一部を支援する補助金です。生産性向上に取り組むのに必要な費用も支援することから、新規事業にも向いている補助金です。

小規模事業者持続化補助金には一般型と低感染リスク型ビジネス枠があります。

一般型 低感染リスク型ビジネス枠
補助金額 〜50万円 〜100万円
補助率 2/3 3/4

一般型

小規模事業者の販路開拓や生産性向上に対する費用の一部を支援する制度です。商品を宣伝するホームページ制作、チラシのポスティング、商品の開発、さらには各種管理システムなどさまざまな利用方法があります。

低感染リスク型ビジネス枠

コロナ対策を必要とする新しいビジネスやサービスなどに取り組む小規模事業者が対象となります。事業運営と感染拡大防止を両立させていることが必要となります。

また他にも、以下のような条件を満たしている必要があります。

(1)小規模事業者であること詳細を見る
(2)資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)※申請時に出資者の名称、出資者の資本金、出資比率を記載していただきます。また、上記の確認のため、株主名簿等の提出を求めることがあります。
(3)確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと※左記該当有無の確認のため、納税証明書等の提出を求めることがあります。
(4)過去に持続化補助金(3類型)の採択を受けて、補助事業を実施した(している)者でないこと(共同申請の代表者、参画事業者の場合も含みます)。対象の3事業を見る
(5)本補助金と「令和元年度補正予算小規模事業者持続化補助金<一般型>」(上記(4)を除く)において双方の採択を受けた事業者は、いずれかの補助事業の取下げ又は廃止を行わなければ補助金の交付を受けることができません(共同申請の代表者、参画事業者も含みます)。
引用:小規模事業者持続化補助金(全国商工会連合会)

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は中小企業のグリーン、デジタル、人工知能、バイオなどに対する設備投資に対して支援をします。設備投資をすることで、生産性の向上や従業員の賃金アップなどに取り組んでいる事業者が対象となります。

デジタル枠とはDX(デジタルトランスフォーメーション)を導入することにより生産プロセスの改善をした業者が対象で、グリーン枠とは排出削減に取り組んだ業者が対象です。

補助上限、補助率、補助要件は以下のようになっています。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の補助上限、補助率、補助要件画像出典:公募要領(ものづくり補助金総合サイト)

事業承継補助金

事業継承補助金とは、事業承継をきっかけとして新しく事業を興す中小企業の支援のことをいいます。経営資源の引き継ぎに必要な資金の一部を支援することにより、経済の活性化をすることが目的です。

事業承継補助金には、事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)と事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)の2種類があります。

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)には、以下の2種類あります。

  • 【Ⅰ型】経営者交代型
  • 【Ⅱ型】M&A型

【Ⅰ型】経営者交代型は事業承継をする中小企業が対象で、【Ⅱ型】M&A型は事業再編・事業統合等をする企業が対象です。

事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)

事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)には、以下の2種類があります。

  • 【Ⅰ型】買い手支援型
  • 【Ⅱ型】売り手支援型

経営資源の引継ぎをする買い手支援型を受ける場合は以下の条件を満たしている必要があります。

事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うことが見込まれること。
事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること。
引用:事業承継・引継ぎ補助金 専門家活用(事業承継・引継ぎ補助金事務局)

売り手支援型とは、自社が有する経営資源を譲る場合で以下の要件を満たしている必要があります。

地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行っており、事業再編・事業統合により、これらが第三者により継続されることが見込まれること。
引用:事業承継・引継ぎ補助金 専門家活用(事業承継・引継ぎ補助金事務局)

地方自治体の新規事業補助金

新規事業の補助金は国だけではなく、地方自治体でもおこなっています。新規雇用をすることで、市外在住者の転出、居住者の転出の抑制を目的としています。

創業支援補助金(北海道小樽市)

北海道小樽市では、創業する企業に対して補助金を支援しています。対象は事務所などの家賃、内外装工事費、商店街等店舗家賃補助となっています。

北海道小樽市の創業支援補助金
画像出典:創業支援補助金(小樽市)

スタートアップ関連補助金(茨木県つくば市)

茨木県つくば市ではスタートアップ関連補助金として、令和3年4月1日以降につくば市に事務所を開設した企業に対して、家賃を補助しています。最大で1年間なので、家賃の負担を長期間減らすことができます。

月額条件 5万円
補助率 1/2
最大 1年間

参考:スタートアップ関連補助金(茨木県つくば市)

まとめ

補助金は返済不要ですが、審査が必要になるため必ず受けられるとは限りません。また申し込み期間は1か月間前後と短いことが特徴です。毎年同じような募集をするケースが多いので、早めに準備をしておくことが大切です。

新規事業を立ち上げると高額な初期費用がかかりますが、補助金を受けることによって負担を減らすことができます。しかし、事業を実施したあとにエビデンスを提出することで受け取りになるため、キャッシュフローには気を付ける必要があります。

一覧に戻る

関連コラム