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人材育成に関連する助成金
正規雇用をしている従業員に対して、職務に関連しているスキルを身に着けるための訓練をする企業の支援をする制度が人材開発支援制度助成金です。また、非正規雇用者を正規雇用者にするために、必要なコストをサポートする制度がキャリアアップ助成金です。
人材育成に助成金を活用するべき理由
人材育成に助成金を活用するべき理由は、以下の2点が挙げられます。
コスト削減
助成金は要件を満たしていれば必ず受けることができます。融資のように返済する必要がないことから、助成額は受給した額分はコスト削減になります。
労働法に順守することができる
助成金を申請する条件として、賃金台帳や労働条件通知書を提出することが一般的です。そのため必然的に労働法を順守することになります。労働法を守ることにより、従業員が働きやすい職場環境を作ることができ、他社や求職者に対してアピールすることもできます。
人材育成に関連する助成金
人材育成に関連する助成金は、主には以下のような人材開発支援金ですが他にキャリアアップ助成金もあります。
- 人材開発支援助成金(特定訓練コース)
- 人材開発支援助成金(一般訓練コース)
人材開発支援助成金(特定訓練コース)
OJT(実地研修)とOFF-JT(机上研修)の両方をおこなう研修もしくは特定の訓練を10時間以上しているケースを対象として、訓練にかかった経費に対しての助成金のことをいいます。
基本要件
人材開発支援助成金(特定訓練コース)には以下の4種類の内容にわかれています。
- 労働生産性向上訓練
- 若年人材育成訓練
- 熟練技能育成・承継訓練
- グローバル育成訓練
一般的な訓練である、労働生産性向上訓練の基本要件はOFF-JTで、訓練時間数が10時間を超えている必要があります。また概要の訓練内容は以下の生産性向上につながる1〜7に当てはまる必要があります。
●OFF-JTにより実施される訓練であること
●実訓練時間数が10時間以上であること
●労働者に次の①から⑦までのいずれかの訓練等を受けさせること。
①職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)や職業能力開発大学校等で実施する高度職業訓練
②中小企業等経営強化法において認定された事業分野別経営力向上推進機関が行う訓練 ③中小企業大学校が実施する訓練等
④厚生労働大臣が指定した専門実践教育訓練又は特定一般教育訓練
⑤ITSSレベル4または3となる訓練(高度情報通信技術資格の取得のための訓練または第四次産業革命スキル習得講座)
⑥生産性向上人材育成支援センターが実施する訓練等
⑦当該分野において労働生産性の向上に必要不可欠な専門性・特殊性が認められる技能に関する訓練
引用:人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)のご案内(詳細版)厚生労働省
若年人材育成訓練とは雇用契約締結後5年未満かつ35歳未満の従業員が対象で、OFF-JTを10時間以上設定している必要があります。また、熟練技能育成・承継訓練は熟練技術者が今後指導をしていくための能力を高めるための訓練に対する助成金です。
海外関連の業務が必要な従業員に対しての、訓練にかかる費用を助成するのがグローバル人材育成訓練です。
人材開発支援助成金(一般訓練コース)
一般訓練コースは特定訓練コースに該当していない内容で、職務に関連した知識を習得するための訓練に必要な費用に対して助成されます。
基本要件
一般訓練コースは、職務に関連した訓練を20時間以上OFF-JTで行った場合に助成対象となります。また従業員(被保険者)に対して、キャリアコンサルティングを定期的に実施して労働協約や事業内職業能力開発計画を基準とした訓練である必要があります。
一般訓練コースで必要とするキャリアコンサルティング案件は、以下のように記されています。
労働協約、就業規則又は事業内職業能力開発計画のいずれかに、「定期的なキャリアコンサルティングの機会の確保」について対象時期を明記して定めていることが必要です(「○年ごと」等)。
引用:人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)のご案内(詳細版)厚生労働省
訓練実施計画届を提出するときに、定期的なキャリアコンサルティングを実施していることを証明できる書類の提出が必要です。
助成額・助成率
特定訓練コース、また一般訓練コースの助成額や助成率は以下のように決まっています。
()内は中小企業以外の助成額や助成率です。
画像出典:人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)のご案内(詳細版)厚生労働省
支給限度額
経費助成には以下のように、1人あたりの限度額が設定されています。以下の額は1年間職業能力開発計画あたりの限度額となっています。
画像出典:人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)のご案内(詳細版)厚生労働省
また、賃金助成限度額は1人1訓練当たり、特定訓練コースや一般訓練コースいずれも1,200時間が限度時間です。しかし、認定職業訓練、専門実践教育訓練に該当する場合は限度時間は1,600時間になります。
OJT実施限度助成額は、1人1訓練当たり限度時間は680時間です。また支給に関する制限があり、1労働者あたり年間職業能力開発計画期間内で合わせて3回までとなっています。
キャリアアップ助成金
人材開発支援助成金は正規雇用者がスキルや知識を身につけることが目的です。キャリアアップ助成金は非正規雇用者が正規雇用者になることが目的です。賃金をはじめとした処遇の改善をするために、必要な費用の一部をサポートします。
助成額
キャリアアップ助成金のそれぞれのコースにより、助成額が異なります。
有期雇用労働者を正規雇用に転換、または直接雇用した場合は以下の額を助成します。
大企業以外 | 57万円 |
---|---|
生産性の向上が認められた場合 | 72万円 |
大企業の場合 | 42万7,500円 |
生産性の向上が認められた場合 | 54万円 |
大企業以外 | 28万5,000円 |
---|---|
生産性の向上が認められた場合 | 36万円 |
大企業の場合 | 21万円3,750円 |
生産性の向上が認められた場合 | 27万円 |
大企業以外 | 28万5,000円 |
---|---|
生産性の向上が認められた場合 | 36万円 |
大企業の場合 | 21万円3,750円 |
生産性の向上が認められた場合 | 27万円 |
人材育成助成金を申請する上での注意点
人材育成助成金を申請する上で、以下の点を理解している必要があります。
- 中小企業事業主の範囲
- 対象となる事業主
中小企業事業主の範囲
人材育成助成金は、中小企業事業主とそれ以外では助成金や助成額が大きく変わります。中小企業事業主の範囲は、厚生労働省にて以下のように定められています。
主たる事業 | 資本金の額または出資の総額 | 企業全体で常時雇用する労働者の数 |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売り業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
対象となる事業主
人材育成助成金を受給するためには、以下の条件を満たしている事業所であることが必要です。
- 雇用保険適用事業所の事業主
- 事業内職業能力開発計画を作成し、労働者が理解していること
- 従業員が職業訓練を受けている間も、所定労働時間労働した場合と同じ賃金を支払っていること
- 職業能力開発推進者を選定していること
対象となる労働者
人材助成金を受ける対象となる労働者は、以下の条件を満たしている必要があります。
- 訓練を実施する事業者において、被保険者であること
- 実訓練時間数の8割以上、訓練を受講していること
- 訓練別の対象者一覧に記載されている被保険者であること
まとめ
少子化が進み、また働き方の種類が増えており人材の確保が難しい状況になっています。そのため、これまで以上に人材は企業の資産と考える企業が増えています。そうはいってもOJTや外部セミナーへの参加など、育成をするのは時間や費用がかかります。
そこで国では人材育成の取り組みをフォローするため、さまざまな種類の助成金があります。うまく助成金を利用して、人材を育成することが企業の成長につながります。