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DX導入における段階とは
DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が推進されていますが、決して多くの企業が導入できているわけではありません。DXの導入を始めていても進捗状況を把握することすらむずかしい可能性もあります。そこで、DX導入において段階を分けることでどれほど進んでいるかを把握しやすくなるのです。DXは大きくわけて、デジタイゼーションやデジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション(DX)と3つの段階に分けられます。
DXとは
DX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)とは、ビッグデータやIoT、AIなどを含めたデジタル技術を活用することによって企業変革をすることです。そのため、コスト削減や業務効率化などが目的ではなく、企業全体での革新的なイノベーションをもたらすものであることが一般的です。
DXの段階
経済産業省が2020年に発表したDXレポート2において、企業がDXを導入するにあたって組織の成熟度ごとに進められるようにデジタイゼーションやデジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション(DX)と3つの段階に分けられると記しています。しかし、この3つの分類は順番が決まっているわけではなく、それぞれに目的や内容が異なることから個々の業務がどの段階にいるかどうかを把握する場合に活用されることが一般的です。
DXレポート2では、それぞれの段階においてゴールを設定しておいて、逆算して今後の計画を立てることを想定しています。このことにより、自社の現状を把握した上で適切なDX導入までのプロセスを選択できるようになるのです。
DXの構造
DXの構造には、次の3段階があります。
- デジタイゼーション
- デジタライゼーション
- デジタルトランスフォーメーション
さらに、既存モデルにデジタルを融合することによって相乗効果が期待できる場合があります。
デジタイゼーション
デジタイゼーション(Digitization)とは、アナログデータをデジタルデータ化することです。これまで紙で処理していた請求書をエクセルで管理したり、スキャナーで取り込むことによってデータで管理したりするなどデジタル技術を活用することがデジタイゼーションに含まれます。これまで紙を含めたアナログで処理していたものをデジタル化することによって、コンピューターで処理できるようになるのです。
DXを運用するためには、デジタル化していることが条件となります。そのため、デジタイゼーションはDXを導入するための最初のステップとなることがよくあります。これまで、紙媒体を使った業務をデジタル化することによって、業務効率化をしたりコスト削減したりすることに取り組む段階です。
デジタライゼーション
デジタライゼーション(Digitalization)とは、特定の製造プロセスや業務をデジタル化することです。これまでは担当者がおこなっていたタスクをシステム化することは、デジタライゼーションに含まれます。例えば、担当者が手入力でエクセルに入力していたものを自動的に情報が反映するようなシステムを導入することによって、業務効率化につながります。さらに、ヒューマンエラーを防ぐことができるため修正にかかっていた時間も省けるのです。
デジタライゼーションはあくまで一部のプロセスや業務が対象であり、企業全体としてシステム化しているわけではありません。しかし、デジタイゼーションにおいてデジタル化した業務を自動化させることによりさらなる業務効率化につながる段階です。そのため、デジタイゼーションと比較してDXの導入に近づきます。
デジタルトランスフォーメーション
デジタルトランスフォーメーションとはデジタル技術を活用することによって、ビジネスモデルを変革することです。デジタルトランスフォーメーションには、デジタイゼーションやデジタライゼーションの要素が含まれています。デジタルトランスフォーメーションを導入することによって会社全体で大きな影響があるような変革を実感することが可能です。
企業変革をするためのDXの段階
DXの目的はデジタル技術を活用したビジネスの変革です。そこで企業変革をするためには、次のような段階を重ねることが一般的です。
- IT人材の育成
- アイデアの向上
- DX導入
IT人材の育成
DXを導入する最初の段階として、デジタル化を理解する人の存在が挙げられます。仮に一部の業務においてデジタル化を始めるとしても、最終的に企業の変革を目的とした場合は人材を巻き込むことが重要です。最終的に、すべての従業員がDXの目的や重要性などを理解することが求められます。
アイデアの向上
次にDXを導入するにあたり、具体的にどのようなことから進めていくかを考える必要があります。アイデアの質が低くて投資するべきか判断できないといった状況である場合は、DXを導入するための施策における質を高めることが重要です。現場において有益なアイデアでも、最終的に収益性がなければ投資判断をすることがむずかしくなります。
そのため、DX導入をするために必要な投資をすることで、どれほどの収益が見込めるかを判断出来る必要があるのです。正しく判断するためには、現状の企業における課題とDXを導入することで解決できるかを明確にすることが求められます。
DX導入
DXを導入してすぐに企業変革をできるわけではありません。定期的に効果測定をおこない、必要があればその都度修正を加えることが必要です。このように改善を重ねることによって、企業にとって効率的なDX導入となり、企業の改革につながります。そのため、DX導入において企業を改革するためには、長期間かかることがほとんどです。
まとめ
DXを導入する上で現在の進捗状況を明確にできない場合があります。そこで、デジタイゼーションやデジタライゼーションと段階に分けることでIT化をしている進捗状況を明確にすることが可能です。現状で人手に頼っている業務が多い場合は、デジタル化を導入することでデジタイゼーションを実現できる可能性があります。デジタル化した業務をインプットしてシステム化すればデジタライゼーションと次の段階に進むのです。
このように、1つずつ段階を進めていくことで最終的にはDXの導入ができビジネス全体として変革につながる可能性があります。企業全体で変革を実感できると、業務単位ではなくすべての業務において生産性の向上や業務効率化、そのほかさまざまな違いを実感できるようになります。