2023.07.18

ソーシャルマーケティングとは

ソーシャルマーケティングとは、企業による社会貢献や非営利目的の運動を認知させることを目的としたマーケティング手法です。ソーシャルマーケティングを導入すれば競合他社との差別化につながったり、優秀な社員の確保につながったりします。

また、ソーシャルマーケティングを実施する際はすぐに成果を出すことがむずかしいので継続的に活動できる内容にしたり、非営利目的の事業であるため営利目的の事業とバランスよく取り組む必要があります。

ソーシャルマーケティングとは

ソーシャルマーケティングとは、企業による社会貢献や非営利目的の運動を認知させ、共感を得ることを目的としたマーケティング手法のことです。企業はソーシャルマーケティングを実施して社会的利益に重きを置いた活動をすることで、消費者からの好感度を高められるため、自社の商品やサービスに興味を持ってもらいやすくなります。

従来のマーケティング手法では、顧客のニーズに適した商品やサービスを開発していました。しかし、ソーシャルマーケティングではより良い世の中を形成するためにはどのような活動をすればよいのかを検討したうえで、実行する必要があります。

つまり、ソーシャルマーケティングは企業にとって直接的な利益にならない事業を間接的な利益を獲得するために実施するマーケティング手法といえます。

ソーシャルマーケティングが注目されている理由

ソーシャルマーケティングが注目されている理由は、日本の経済格差や性差別などの社会問題に問題意識を持つ人が増加傾向にあるからだと推測されます。SDGs(持続可能な開発目標)が国連サミットにて採択されたことから把握できるように、多くの人々が社会問題に対して関心を抱いていることが理解できます。

SDGsとは、2015年9月の国連サミットにて国連加盟国が2016年から2030年の間に達成することを設定した目標です。SDGsでは、性差別を無くしたり、世界中から貧困をなくしたりと合計17種類の社会問題を解消するために設定されています。

SDGsのように社会問題を解消するための動きは、国や地方自治体だけでなく、企業にも目を向けられている傾向があります。つまり、ソーシャルマーケティングを実施して社会問題を解消するための取り組みを実施すれば、消費者からの好感を獲得できます。そのため、ソーシャルマーケティングは消費者だけでなく、多くの企業から注目を得ているのです。

CSRの違い

CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が社会的責任を負う義務のことです。ソーシャルマーケティングは自社の利益に関係のない社会活動を実施することで、企業の認知度向上やブランディングを目的にしています。

一方で、CSRは営利活動の1つとして顧客と社会との関係性をより発展させることを目的に会社としてできる事業を実施しています。例えば、海外諸国での人材育成や廃棄物の大量削減による環境に対する負担軽減もCSRの1つです。つまり、ソーシャルマーケティングとCSRでは、実施する目的が大きく異なっています。

ソーシャルマーケティング実施のメリット

ソーシャルマーケティングを実施するメリットとして、次の3つがあります。

  1. 競合他社との差別化につながる
  2. 保険効果に期待できる
  3. 優秀な社員の確保につながる

競合他社との差別化につながる

ソーシャルマーケティングを実施するメリットとして、競合他社との差別化につながることが挙げられます。ソーシャルマーケティングを実施することで、自社の商品やサービスに対して社会貢献活動といった付加価値がつけられるからです。

例えば、同じ品質で同じ価格の商品が2つ並んでいた場合は、ソーシャルマーケティングを導入している企業の商品を選んだほうが社会貢献活動をしたといった満足感が得られます。そのため、ソーシャルマーケティングを実施することで競合他社との差別化につながり、商品やサービスの売上が向上しやすくなります。

保険効果に期待できる

ソーシャルマーケティングを実施すれば、保険効果に期待できます。社会貢献を重ねて消費者に良い企業であるとの印象を持ってもらえれば、自社でトラブルが発生したとしても大きな信頼を失いにくくなります。企業の保険効果をより高めるためにも、常に誠実な対応を心がけたうえで社会貢献活動に勤しんでください。

優秀な社員の確保につながる

ソーシャルマーケティングを実施すれば、優秀な人材の確保につながります。ソーシャルマーケティングで社会貢献活動を実施している良い企業であると労働者層に認知されれば、自社で働きたいと思ってくれる可能性があるからです。

ソーシャルマーケティングを実施する際の注意点

ソーシャルマーケティングを実施する際に2つの注意点があります。

  1. 継続的に活動できる内容にする
  2. 利益のある事業とバランスよく取り組む

継続的に活動できる内容にする

ソーシャルマーケティングを実施する際は、継続的に活動できるような取り組みにしてください。継続的にソーシャルマーケティングを実施することで、自社が社会貢献に意欲的な会社であるイメージが定着しやすくなるからです。

例えば、動物保護や植物保護に関する情報発信をSNSで定期的にしたり、訪問介護支援事業を展開したりと自社の業務内容と類似していて、かつ、継続できる内容を選んでください。

利益のある事業とバランスよく取り組む

ソーシャルマーケティングを実施する際は、利益のある事業とバランスよく取り組むことが大切です。ソーシャルマーケティングは、利益を獲得することを目的とした事業でないからです。

企業をさらに発展させることを目的としてソーシャルマーケティングを導入しているのにも関わらず、利益のある事業を疎かにして業績が低下してしまったら本末転倒です。また、ソーシャルマーケティングを実施するためには、人件費や活動費用などを確保しておく必要があります。ソーシャルマーケティングを継続的に取り組み続けるためにも、利益のある事業とバランスよく取り組むべきです。

ソーシャルマーケティングの活用事例

キリン

飲料メーカーのキリンは、2011年7月から復興日本 キリン絆プロジェクトとして東日本大震災の復興プロジェクトへ積極的に取り組んでいます。例えば、キリンでは東日本大震災が発生してから地域の食文化の復興支援や震災前の日常生活に戻れることを目的とした日常生活支援などを実施しています。

参考:東日本大震災 復興支援(KIRIN)

日本航空

航空会社の日本航空では、CO2削減を目的としてカーボンオフセットを導入しています。カーボンオフセットとは、温室効果ガスの排出について排出量を認識して削減する努力をしたうえで、削減が困難な分に対しては排出量に見合ったプロジェクトに投資することで埋め合わせる仕組みです。つまり、日本航空はカーボンオフセットを導入することで地球温暖化防止活動につながります。

参考:JALカーボンセットについて(日本航空)

まとめ

ソーシャルマーケティングとは、企業による社会貢献や非営利目的の運動を認知させ、共感を得ることを目的としたマーケティング手法のことです。企業がソーシャルマーケティングを実施することで、競合他社との差別化につながったり、優秀な社員の確保につながったりします。

しかし、企業がソーシャルマーケティングを実施する際は、継続的に活動できる事業内容にしたり、利益のある事業とバランスよく取り組んだりと注意点があるのも事実です。ソーシャルマーケティングは、注意点に気を付けたうえで導入する必要があります。

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